上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

●知恵を生み出すのは良い意味での「粘り気」なのかも。


●以前、
つまみ食いはダメ?」というM&Aのツボで触れた、
サイバード(CB)事件の東京高裁決定ですが、
この決定を受けての当面の実務対応に少なからず迷いが生じてるよう。

 なので、
本日のツボでは、
そのような当面の実務対応のあり方について軽く一言。


●さて、
「つまみ食いはダメ?」でも述べたように、
CB事件の東京高裁決定において、
公開買付価格が独立当事者間取引による価格と認められなかった決定的理由は、
交渉型独立委員会に独自のFAや弁護士が付いてなかった点にあるように読める、と。
 このような点について、
比較的声の大きな方から言われているのは、

 「何ともけしからん判断だ!」、と。

 私自身は、
ちょっと異なる感想を持ってることも既に述べたとおりですが、
いずれにせよ一つ言えることがあるとすれば、
そういう感想だけでは実務は回せないということ。
 
 つまり、
感想はともかく、
そういう決定も出たという現実を前提として、
さて実務で当面どう対応していくのか?、と。
 実務家である以上は、
勇ましく吠えるだけじゃなくて、
そこを粘り強く詰めていかないといけない。


●もちろん、
理想的な形としては、
交渉型の独立委員会を設置して、かつ、
それに独自のFA/価値算定人や弁護士を付けるというもの。
 やれるんなら、
是非そういう形でやるべき。

 でもね、
常にそのような形が整えられれば良いんですけど、
実務ってのはそんな生易しいモノじゃないよねぇ…、と。
 専門家を二重に付けるのはコストが大だし。

 特にまだ当面は、
コストの点を含めた所与の条件下で、
各種リスクに相当程度耐えられる形を別途作り上げないといけなさそうだよね。 
 まぁ、それこそ、
まさに実務家の知恵の見せ所なんでしょうけどね。


●まず一つ思いつくのは、
「独自の弁護士」って常に必要なのか?、と。

 例えば、
独立委員会とかの中に、
弁護士資格を有する人間がいる場合であれば、
それで代替できる余地は結構あるのではないかな?、と。

 株式価値算定と法的助言との間での、
ブレ幅が結論に対して影響する度合いの差からいっても、
「独自の弁護士」を付けないリスクはさほど高く無いのかも。


●次に思いつくのは、
「独自のFA」ではなくて、
「独自の価値算定人」に留められるのでは?、と。

 FA業務と価値算定業務とだと、
フィーの額がそれなりに変わってくるよね。
 FA業務ってのは、基本、
「価値算定業務+アルファ」なわけなのでね。
 現状の実務におけるFA業務の内容からしても、
「必ずFAを雇え!」とまではさすがに言われないのではないかな?、と、
そういう個人的感覚はありますねぇ。


●更に考えを進めて、
「独自の価値算定人」すら不要と言える余地が全くないのか?、と。

 特にDCF法とかって、
少し変数いじるだけで結論が大きく変わるように、
株式価値算定にはかなり致命的なブレが生じ得る。
 そういう点からすると、
「独自の価値算定人」の必要性は、
「独自の弁護士」とかよりは高いと言えそう。

 例えば、
独立委員会とかの中に、
株式価値算定の専門知識を十分に有していることが明らかな人がいれば、
これも不要と言っても良いように思うけど、
言える余地が全くないかどうかという問題と、
それを裁判上立証できるほどに実務に落とし込めるかどうかという問題は、
全く別モノという意識が最低限必要なトコロかな、と。


●でもね、
ここまで色々と述べた上で何だけど、
そもそも論として翻って考えてみて欲しいのは、
何で「独立委員会に独自のFAや弁護士が必要!」という話が出てくるのか?、と。

 その最大の理由は、おそらく、
対象会社の取締役会が選任するアドバイザーってのは、
従前からの経緯や利害関係役員の影響力などを背景として、
買付者側の息がかかった専門家ともなりかねない、と、
そういう懸念があるからなのかな。

 でさ、
そういう懸念の当否はともかくとして、
上記理由がその懸念に概ね集約されるという前提で良いのなら、
例えば独立委員会とか独立役員とかに、
対象会社と独立委員会等に対する統一アドバイザーの選任権を付与したらどうなの?

 つまり、
CB事件でもそうだったように、従前はさぁ、
事務局が連れてきたFAや弁護士を対象会社のアドバイザーに選任した上、
それをそのまま独立委員会とかのアドバイザーにも流用するという流れだったわけでしょ?
 その流れを逆にしたらどうなの?
 そのように逆流させた場合、
対象会社と独立委員会等に対するアドバイザーは同一人であっても、
上記懸念はかなり払拭されるんじゃないのかしら?

 仮にそのような逆流形式で公正性がレベルアップするのなら、
CB事件の東京高裁決定に照らして理想的な形とまでは言えないにしても、
当面それなりに実務上も耐えられる形になる可能性があるのでは?、と。
 少なくとも、
二重にアドバイザーを付けなくて良いので、
コスト負担も合理化されるよね。


●本日のツボはここまで。

 コストの問題ってさ、
実務で知恵出して工夫できる余地も大なのよね。
 最近ホットな某議論もそうだけど、
コストという一つの軸だけで語るほど乱暴な議論も無いような…。

 ちなみに、
法律・制度の「一般的説明」は立案担当官の、
判例・裁判例の「感想」はエスタブリッシュされた学者の、
それぞれ事実上の専売特許なわけであって、
それ以外の実務家はもっと実務上の知恵を出すことを競うべきなんでしょうね。


(2011年10月17日記)
関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://bookaholiclawyer.blog18.fc2.com/tb.php/100-a6da427d
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。