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●会社法改正の中間試案についての感想(not解説)を興味あるところから。


●えーと、
本ブログの更新を楽しみにしていただいている全国のマニアックな皆さま、
かなり更新が滞っておりまして大変申し訳ありませんでした。

 まぁ、
以前に1年以上も止まったこともありましたので(爆)、
それに比べればまだマシだったということで何卒ご容赦を。

 ということで(?)、
その罪滅ぼしも兼ねて、
4日前の12月14日に公表された会社法改正の中間試案について、
今後、興味あるところから簡単な感想を書き連ねていこうかと。

 あぁ、もちろん、
中間試案のダイジェストとか、
補足説明についてタテのものをヨコにしたものとかってのは、
今後、雨後のタケノコの如く各種媒体で出てくるでしょうから、
そういうのはパスね。

 まず本日は、
M&Aのツボとして、
スクイーズアウト関係、
中でも少数株主を金銭対価で締め出すキャッシュアウト関係について、
思いつくままにツラツラと。


●まず最初に、
以前の復習として、
株式併合の改正(中間試案7頁)について。

 従前、
マネるなら命懸けで?」という、
何とも不遜なタイトルのツボでも述べたとおり、
株式併合について株式買取請求制度が導入されることが想定されてますね。
 
 これによって、
一時問題になったモックみたいな、
株式併合による濫用的なキャッシュアウトが防止される、と。
 
 まぁ、
それはいいとして、
株式併合について株式買取請求が認められるなら、
これからは全部取得条項付種類株式を利用したスキームではなく、
もっと簡明な株式併合によるキャッシュアウトを真正面から採用できるじゃないか、と。
 実は、
中間試案の補足説明24頁でも同趣旨と思われる説明があるんですね。

 ただ、
これについては、
上記ツボで詳細を説明したので敢えて繰り返しませんが、
キャッシュアウトの過程で普通株式と他の種類株式との取り換えが生じない、
つまりは普通株式がこの世の中から消えないことから、
対象会社が継続開示義務を免れるタイミングが株式併合だと遅くなっちゃうのね。
 具体的には、
全部取得条項付種類株式の場合は取得日で継続開示義務から免れられるけど、
株式併合の場合は効力発生日以降に到来する事業年度末日が来ないとダメ。

 もちろん、
株式併合とか他のスキームによるキャッシュアウトが終わった後で、
更に全部取得条項付種類株式を利用して普通株式をこの世の中から消す、と、
そういうことも理論的には可能だし検討したこともあるけど、
以前問い合わせた時には金融庁からダメよと言われたことあり。

 なので、
今でも金融庁が同じ見解だとすると、
継続開示義務から免れるタイミングが早いという点で、
全部取得条項付種類株式を利用したスキームの方に軍配が上がるはず。


●でもって、本題ですが、
キャッシュアウトを正面から認める、
特別支配株主による株式売渡請求の制度(中間試案14頁)について。

 この制度の売りは、
株式併合や全部取得条項付種類株式を利用する場合と異なって、
対象会社における株主総会決議が不要とされることね。
 一応、取締役会決議は必要。まぁ、状況的にコレは簡単なはず。

 これは、
もちろん非常に有難いんだけど、
先ほどの株式併合に関する議論と同様に、
キャッシュアウトの過程で普通株式と他の種類株式との取り換えが生じない、
つまりはやはり普通株式がこの世の中から消えないことになるので、
やはり対象会社が継続開示義務を免れるタイミングが遅くなっちゃうのね。

 対象会社の株主総会開催を免れることを優先するか、
継続開示義務を次の事業年度末日よりも前の時点で免れることを優先するか、
どっちが良いですか?という選択の問題ですかね。
 具体的に費用の点を比較したことが無いので正確には良く分からんし、
スケジュールの内容(どの程度次の事業年度末日に近い時期でやるか?)にもよるかな。

 ちなみに、
産活法が改正されて、その適用の下で、
全部取得条項付種類株式を導入するための株主総会開催を免れることも可能になってるけど、
これ想像通りというとなんだけど、
あんまり実務では活用されていないですよね…。
 まぁ、
申請とか面倒だから、
だったら総会やるよって話なんだよね。


●それから、
この新しいキャッシュアウト制度ってのは、
「特別支配株主による」ってタイトルにも入ってるとおり、
9割以上を保有している株主だけが行使できるようになってるのね。
 しかも、
中間試案を見る限りは、
間接保有分については完全子会社の保有分のみを合算するよう。

 ただね、
最近の実務では、
90%持ってないとキャッシュアウトしちゃダメ!という、
俗に「90%ルール」と呼ばれる何とも根拠のない都市伝説が力を弱めてきていて、
TOB後に間接保有分を含めて80%台だったとしてもキャッシュアウトする事例も出てきてるよね。
 しかも、
そこでの間接保有分って、
別に完全子会社の保有分のみでなく、
TOBでの特別関係者に該当する子会社・関連会社等の保有分も含めて考えてたかと。

 そうすると、
実務上、この新制度を使ったキャッシュアウトが出来ない場面ってのも、
結構残ってきそうかなぁ。
 その際に、
この制度の示した「90%」という数字が、
変に一人歩きして他のキャッシュアウトの適法性に影響しなきゃいいけどね。
 一応、
中間試案の補足説明41頁には、
そのような影響を及ぼす意図は無いと書いてくれてはいるけどね…。

 ちなみに、
言わずもがなですが、
この90%という数字からも明らかなとおり、
通常はこれまでと同様、TOBを先行させることになりますよね。


●さらにもう一つ言うと、
この新しいキャッシュアウト制度の最大の売りってのは、
株主総会の省略よりも新株予約権の売渡し請求にあるんじゃないかな、と、
そう個人的には思ってますね。

 特に新株予約権の取得条項がキャッシュアウトを想定して作り込まれてないものだと、
キャッシュアウトに際してその処理に手間取る可能性も結構あるんだけど、
この売渡し請求が出来ればそういうものも一方的に取り上げられるわけで、
最終的にどのぐらい使いやすいモノに仕上がるかにもよるけど、
実務としては非常に有難いのではないかな、と。

 ちなみに、
他のスキームによってキャッシュアウトした後に、
新株予約権だけを対象として売渡請求するってことも認めてくれると有難いが、
中間試案の記載だと株式売渡請求とセットじゃないとというようにも読めるね…。
 ここは手当てしてほしいねぇ。


●さらに細かい点を言うと、
この新しいキャッシュアウト制度の下で、
特別支配株主って、どういう形で金銭を少数株主に渡すんでしょうね…。

 対象会社の協力がないと難しいと思いますが、
これって法令で手当てしていただけるんでしょうね…。

 その点と関係して気になってるのが、
いつから遅延利息が発生することになるのか?という点。
 
 売買価格を裁判所で争った株主に対しては、
取得日後から年6%というフザけた法定利息を払えとされていますが、
そもそも他の株主に対しても同じタイミングで遅延利息が生じることになるのかしら??
 
 でも、
実務上さぁ、
取得日(の前日)の少数株主を確定するには時間かかるでしょ?
 その確定に要する間も遅延利息払えってか?それはあり得んよね。

 条文構造は全く違うけど、
全部取得条項付種類株式を利用したスキームでも、
全部取得日から実際に金銭が交付される日まで2ヶ月前後かかってるはずだけど、
実務上特に利息なんて話は通常してないよね。
 それとの均衡も配慮して欲しいね。


●この他、
全部取得条項付種類株式を利用したスキームに関して、
開示規制が追加されるようですが、
従前から先行TOBの段階でそれなりに詳細に開示してきたこともあり、
殆どそのコピーで対応できるんじゃないかな。

 後、
取得価格決定申立について、
条文の不備が手当てされてるけど、
他方で、
会社法116条の株式買取請求が全部取得日の到来で飛んでしまうように読めるという、
条文の不備については何も手当されていないようですね(爆)。


●本日のツボはここまで。

 今回の中間試案の書き振りを見てると、
かなり法案化まで漕ぎ着けられない項目も結構ありそうだなぁ、と。
 そういう意味で、
せっかくのお勉強が無駄になる可能性もありますが、
まぁ、そうは言っても最新動向を語れないとオシャレに見えないしねぇ…。


(2011年12月18日記) 
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