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●タイトルはともかく、引き続き会社法改正の中間試案についての感想(not解説)。


●さて、
前回の「どこよりも早い…はず!?」というM&Aのツボに引き続き、
更新停滞の罪滅ぼしシリーズとしての本日のツボは、
会社法改正の中間試案のうち企業統治関係(特に社外取締役)について、
ホントに徒然なるままにですが個人的な感想を。


●でね、
出鼻から何なんですが、
実は企業統治関係については、
マニアックなブログとはいえ表に出るモノで書くのは余り気が進まない、と、
そういうのが正直な気持ちではあるのね。

 特に山口先生の「ビジネス法務の部屋」をコメント含め日夜読んでて痛感するんだけど、
やっぱりこの問題って余りに法理念と実務・現実とが乖離してるもんだからさ、
何か法律の話とかしてると歯が浮いてくるというか気恥かしい思いを禁じえないのよね。
 ちょっと理想論をブツと、
「会社の現実の中身とか知らないでしょ?」とか言われかねないし…。

 まぁ、
そうは言っても、
近時社会問題となった数々の事件を見ても、
企業法務を扱う弁護士のハシクレとしては、
やはり物申さないでは居られないかなということで、
少々感想めいたものでも書くことにしようかと。


●まずは、
社外取締役の選任義務付け(中間試案1頁)について。

 これについては、
B案の有報提出会社について一人以上義務付けに賛成の立場。

 社外取締役については、
まぁ色々と議論されてますわな。
 特にそのうち、
実務で根強いのが社外取締役無用論ですかな。
 確かに、
近時問題となった会社さんには、
社外取締役が3人いたなんて話もあって、
その点を強調する形でより一層強く主張されてる感もあるよね。

 ただねぇ、
そういう議論でいつも一つ違和感があるのは、
社外取締役が万能薬になり得るのかどうかという、
いわばAll or Nothing的な議論がされているように聞こえるトコね。

 社外取締役さえ導入すれば、
それだけで全てが解決するなんて、
そんな夢物語があるわけないでしょ、と。

 社外取締役の人数論にも関係するところだけど、
結局ガバナンスの本質は人事権と情報にあるはずなのよね。
 その人事権と情報を何も与えられない社外取締役なんて、
要は「牙を抜かれたライオン」と同じなわけですよね。

 「そんなの単なるネコでしょ!」、と。

 で、
そういう牙を抜くようなシステムを前提として、

 「だから社外取締役は役に立たない!」ってさ…。

 そりゃぁ、
お手盛りの議論なんじゃないの?というのが正直な感想。

 もちろん、
特に人事権という牙を生やすためには、
取締役の過半数を社外にするか、委員会設置会社を導入強制するかなんだけど、
さすがに現状そこまでは直ちに無理というなら、
「小さく産んで大きく育てる」という将来を見据えた発想で、
まずは一人からでもというのは実務的に理解するという感じ。


●次に、
ちょっと本論から横道にズレることになるけど、
監査・監督委員会設置会社(中間試案1頁以下)について。

 これさぁ、
結局は会社法を枝番条文とかで汚すだけで、
余り使われない制度になるんじゃないのかなぁ?、と。
 まぁ、いつもの如くだけど(爆)、
そんなシニカルな感想しか抱けないんだよなぁ。

 結局、
この制度の実務における最大のメリットってさぁ、
山口先生もブログ記事で述べておられるように、
社外取締役の選任を義務づける代わりに、
そのバーターと言っちゃぁなんだけど、
社外役員の総数を実質増やさないで良い機関設計を別途認めてあげる、と。

 でね、
確かに業務執行の取締役への一部委任OKとかもあるようだけど(中間試案3頁)、
この制度の有意なメリットというか実務上この機関設計を選択するインセンティブって、
ほぼ上記の点に尽きてる感があるのよね。
 「お土産」としての取締役への委任可能事項が、
今後、中間試案の内容から大幅に増えるなら別かもしれないけどさ。

 もちろん、
その他に常勤監査委員が不要とされれば、
それも大きな「お土産」になり得るとは思うけど、
これについては後述する「仕掛け」が必要!という議論に照らして、
ホントにそんなことしちゃって良いのか?という重大な疑問あり。
 部会の議論でも、
現場の問題を痛感している監査役協会の方が何度も問題提起してたところで、
中間試案でも要検討事項とされているところですね。

 現行の機関設計のままでは、
もう一人追加で社外役員を連れて来ないといけなくなるってのは、
確かにそれはそれで面倒なんだけどさ、
その面倒を避けるためだけに、
新たに馴れない機関設計を導入して従前の実務をイジくるなんてこと、
わざわざやる会社が果たしてどれほどいるのかなぁ?ってね。

 しかも、
山口先生のブログでのJFKさんのコメントと多分同趣旨だと思いますが、
外国人投資家の目から見ると、

 「何で今さらこんな中途半端な機関設計を追加するの?」って。

 ただでさえ、
日本の機関設計ってのは分かり辛いと言われるのにね。

 
●で、
ちょっと横道にズレたけど、
また社外取締役の議論に戻りましょうか。

 まずね、
コスト論だけで語るのは止めようよね。
 コストという一つの軸だけで結論が出せるほど単純な問題じゃない。
 学者さんでも平気でこういう議論をする人がいるけど個人的には正直???

 次に一言言いたいのが、
社外取締役に関して常に出てくる議論である人材確保の問題。
 今後「大きく育てる」のなら尚更避けては通れない問題ではあるね。
 この点については、
制度作れば出てくるんじゃねぇの?とか、
そんな勝手な見込みだけで作るのは無責任じゃないの?とか、
まぁ色々あると思うんだけどさ。
 一つ言えるのは、
やっぱり取締役会の役割をもう一度再検討すべきなんだよね。
 米国ではさぁ、
NY証券取引所のルールで、
取締役会を独立取締役で過半数充たすようにしろと強制されてんだけど、
この独立取締役の中身って、
他の会社の執行役のほか弁護士・会計士とかの非経営専門家が占めてんだよね。
 じゃぁ、
日本で同じように弁護士や会計士が社外取締役に進んでなっていくか?というと、
現状では正直ためらいがあると思うのよね。
 それは何故かというと、
主たる理由の一つとして挙げられるのは、
やはり取締役会の役割がモニタリングを超えたところにまで及んじゃってるからかと。
 モニタリング・モデルになれば、
ちょっと手前ミソ的で面映ゆい面もあるけど、
そういう非経営専門家を人材供給源として使えるようになるんじゃないかな?、と。
 ちなみに、
人数を増やす代わりと言っちゃぁなんだけど、
「小さく産んで大きく育てる」という発想からすれば、
現に親会社の関係者である人を抜くのは必須としても(中間試案4頁)、
社外要件について余り最初から高い理想を求め過ぎなくても良いかな?という感覚。
 特に過去要件だけど10年(中間試案5頁)じゃなく5年でもいいんじゃない?

 それから、
多分ここが一番問題であって、中間試案で具体的に触れられてない点だと思うけど、
社外取締役に人事権とか積極的・能動的な権利が仮に与えられたとしても、
その行使の前提としての情報が社外取締役に集まる「仕掛け」がないと意味ないと思うのね。
 ここについては、
「サラリーマン根性」とか精神論の問題として扱うのではなく(笑)、
監査法人との連携を含めてもう少し「仕掛け」について詰めて議論する必要があるかな、と。
 そもそも、
監査法人すら分からないことを社外取締役に発見しろって無理よね…。
 その反面と言っちゃなんだけど、
例えば監査法人が外部に通報したり公表したりまでの確信はないけど、
でも何かおかしいよね?という疑念を抱いた時とか、
後はそもそも開示までには馴染まない限界事例の時とか、
そういう場合に次善のアカウンタビリティを果たさせるシステムとして、
社外取締役を通じた追及というのが大事なんじゃないの?、と。
 もっと理念的なことを言っちゃうと、
社内取締役と従業員との間で形成された労使共同体、
この強固な共同体における価値観の硬直化に対して風穴を空ける役割かな。
 

●ちなみに、
何度も言及して恐縮ですが、
山口先生のブログでのJFKさんのコメントで、

 「社外取締役義務化の前に、
  なぜ監査役や社外監査役による監視監督ではだめなのか、
  機能していないならばそれは何故なのかといったところから
  メスを入れるのが先です」

とあって秀逸なコメントだなぁと思いました。 

 私の勝手回答としては以下の2つ。

 ①監査役にはトップの人事権がない
 ②外国人投資家の目から見て分かりづらい

 この他、
社外取締役と社外監査役に共通する問題として、
情報が集まってくる仕掛けがないという点が挙げられるかと。

 論点ズレてたらすみませんが…。 


●本日のツボはここまで。

 ちなみに、
前回のツボの内容もそうですが、
何か心に響いたものあれば私に代わって適宜パブコメを出していただけると。
 かく言う私は、
肝心なトコロに限って高裁判決バリの肩透かし回答を食らうのが、
精神衛生上、非常に良くないということもあり、
パブコメを出すのは控えざるを得ない身なのです(爆)。


(2011年12月19日記)
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