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●前回、前々回と引き続き、会社法改正の中間試案についての感想(not解説)。


●えぇっと、
どこよりも早い…はず!?」と「単なるネコでしょ?」という二つのツボに引き続き、
今回も会社法改正の中間試案について感想(not解説)を続けていこうかと。

 お題としては、
組織再編全般、特に株式買取請求に関する改正試案ね。


●以前、
HOWマッチ?」とかでも詳細に述べた株式買取請求。

 昔は、
こんなの実際には行使されないよねぇって笑ってたもんですが、
いざ実際に行使されるようになって件数も増えてくると、
さすがに色々と条文の不備とかが目立ち始めたわけでして、
それに一部対応するためのが今回の改正。

 まず全体的な感想を申し上げると、
非常に期待が持てるステキな内容だなぁ、という印象。
 いや、
お前がそんなこと言うと気持ち悪いと言われるかもしれんが、
非常に問題だと思ってた部分に手が届いているんじゃないかなと。


●で、
まずは買取口座の創設(中間試案18頁)。

 要は法定エスクローでして、
株式買取請求を行う場合には、
その請求対象となる振替株式について、
買取口座と呼ばれる特別な口座に振替申請しなきゃならん、と。
 で、
株式買取請求の帰趨が決まるまでは、
この買取口座から請求対象となる振替株式を動かしちゃならんと。

 この制度趣旨について、
中間試案の補足説明48頁以下では、
会社の承諾がない限り撤回ダメという、
株式買取請求の撤回制限を実効化するためと説明されていますね。

 確かに、
そこで書いてあるとおり、
市場売却で事実上撤回できちゃうじゃない?という問題なのですが、
もっと具体的な場面に引き下ろして言えば、
実務上シビアに問題視されてたのは仮払いの際の二重譲渡リスクじゃないかと。

 後で述べる改正点とも関係するんだけど、
株式買取請求に伴う買取代金について、
現行法では年6%の利息がつくことになってまして、
これって会社にとっては非常に重い負担なんですよね。

 それを一部でも逃れるために、
会社から請求株主に対して会社が公正と考える金額を仮払いしたい、と、
仮払いをする代わりにその仮払い金の利息は支払不要との合意を取る、と。
 そういう実務上のニーズが会社側にあるわけよね。

 だけどさ、
そういう仮払いをするにあたっては、
当然それと対価関係にある請求対象株式について、
請求株主が市場売却とか第三者への売却をしないよう、
つまりは仮払いを受けた請求株主に後で二重譲渡されないよう、
予めしっかりとアレンジしておくことが必要なわけよね。

 その方法として巷の本とかによく載ってたりするのは、
請求対象株式を会社名義の口座に予め振り替えてもらうとか。
 ただ、
この方法については、
請求株主の立場からすると、
まだ全額払ってもらっていないのに、
何でこの段階で会社に振り替えないといけないんだ?と、
そういう言い分もある。

 その言い分に対応するための方法としては、
例えば請求対象株式に会社のための質権を設定するとか。
 ただ、
この方法については、
そもそも質権の被担保債権が何なのか?それって有効なのか?とか、
そんな理論上の問題が一応あるよね。
 まぁ、
別に抵当権じゃないんだから、
あんまりウルサイこと言わんでもいいんじゃないの?って、
個人的にはそういう感覚ではあるんだけどね。

 で、まぁ、
いずれにせよ何らかの方法で、
二重譲渡防止のアレンジが合意できればいいんだけど、
例えば請求株主の方で、
仮払い受領とその分の利息支払不要との合意はしてもいいけど、
請求対象株式について予め口座振替したりとかは嫌だ、と。
 どうしてもそれが条件というなら、
そもそも仮払いも受けなくて良い、と。
 そう請求株主から言われたらどうなるか?というと、
会社としては以下のいずれかを選択せざるを得ないジレンマに…。
 
 ①請求対象株式が二重譲渡されるリスクを甘受して仮払いする。
 ②仮払いは止めてその予定金額分についても年6%の利息を甘受する。

 こういうジレンマに会社を陥らせることは、
そもそも会社法としても想定してなかったはずだし、
やっぱりどう考えても不合理ですよねぇ。
 もちろん、
このジレンマの深さは、
仮払いの予定時期や組織再編のタイプなどによっても異なってくるんだけどね。

 で、
こういうジレンマの元凶となる二重譲渡リスクについて、
これを法律上ほぼ自動的に潰してくれるという意味で、
買取口座の創設ってのは非常に重要かつ有益な改正かと。


●さて、
更に仮払いの話を続けるとさ、
例えば請求株主から、
年6%の利息が魅力的なので、
仮払いについては一切受ける気はないと言われたらどうなるのか?、と。

 これ、
会社としては、仮払いしますよぉ、と言っているんだから、
当然、仮払い予定分について年6%の利息は止まるよね?という気がするかもですが、
この点はマニアには堪らないほど小難しい話があるところでして、
その説明は本ブログの趣旨に照らし涙を呑んで省略せざるを得ませんが(笑)、
とにかく現行法上はそれだけでは止まらないというのが素直な理論的帰結なのね。
 ちなみに、
現行法上、これも結論だけ言うと供託は難しいらしいのよね。

 個人的には、
権利濫用とか信義則違反とかを持ち出してでも、
会社が仮払いの申出をした金額分については、
現行法上も利息を止めるべきだと思うんだけどね。

 で、
今説明したような場面を含めて、
そういう権利濫用とか信義則違反とかを持ち出さなくても、
年6%というフザケた利息を止めることができるようなのが、
新たに創設される価格決定前の支払い制度(中間試案18頁以下)。

 これ、
中間試案の説明が簡潔すぎて必ずしも明確じゃないかもしれないけど、
価格決定前に会社が公正と考える額を支払うことが「できる」って書いてるので、
上記のような場面を含めて仮払いできるようになるはず。
 で、
そのように仮払いした金額分については年6%の利息が止まる、と。
 そうなってくれないと、
この制度の意味が実務上も殆ど無いはず。。。


●後は、
簡易組織再編の場合、
存続会社等や譲受会社の株主は、
株式買取請求ができないこととされるようですね(中間試案19頁)。

 これは、
会社の立場からすると、
特に文句のない改正ですな。


●この他、
組織再編の差止請求(中間試案19頁)って話もあるけど、
まぁ、個人的には、どうにでもしてくれ、という感じ。

 ちなみに、
株式買取請求に関する一連の裁判所決定、特に高裁決定ですか、
その随分なアグレッシブさが印象に焼き付いているみたいで、
組織再編の差止めについても裁判所は結構アグレッシブに来るんじゃないか、と、
そういう感想を持つ実務家も一部でいるみたいですが、
私は全く逆ですね。

 多分、
裁判所としては、
その影響の大きさからして、
むしろチキンになるんじゃないかな?、という感覚。

 株式買取請求ってのは、
アレはそもそもが非訟事件という裁判所に大きな裁量が認められるものだし、
その解決のされ方も結局はお金の問題にすぎないんだからね。
 それと同列に捉えてちゃダメでしょう。


●本日のツボはここまで。

 そもそも、
年6%という利息の定めがおかしいよねぇ。
 ここだけでも、
民法の年5%という定めと一緒にサッサと変えてくれないかなぁ…。


(2011年12月21日記)
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