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●しつこいけど中間試案についての感想(not解説)を引き続き。本日は第三者割当関係。


●えぇっと、
いつもはウィットに富んだ前置きを目指してるのですが(?)、
クリスマスのせいで何かと忙しくて面倒なので取り急ぎ省略!
 で、本日のツボは、
新しい第三者割当規制について。


●上場会社を前提として、
現行会社法における規制枠組みをザッとおさらいすると、
有利発行に該当しなければ総会決議不要、
つまりは取締役会決議で発行OK、と。
 この取締役会決議で、
例えば支配株主の異動を伴う第三者割当だって出来ちゃう、と。
 もちろん、
不公正発行に対する差止めというのは考えられるけど、
裁判所の採用する主要目的ルールからすると、
資金調達ニーズがあれば原則OK、と。

 で、
このような規制枠組みを支えている法原則が、
いわゆる授権資本制度なわけですね。
 発行済株式数の4倍以内で定款に定められた株式数の枠ん中で、
取締役に株式発行権限を授与するという制度。

 以上のような既存の規制枠組みに大きな変更を加えようというのが、
支配株主の異動を伴う第三者割当に総会決議を必要とするとの改正案(中間試案6頁)。


●まず確認したいのは、
ちょっと屁理屈で恐縮ですが、
この改正案も別に授権資本制度を根底から覆そうというわけではないということ。

 取締役会に一定の株式発行権限を授与するという建付けを前提としつつ、
ただ一定の場合、つまりは支配株主の異動を伴う場合には追加で手続規制をかける、と。
 このような枠組み自体は、
別に有利発行規制と同じなわけでして、
有利発行規制が授権資本制度を崩壊させるとか、
そんな話は誰もしてないよね。

 で、
まぁ、個人的にも、
公開買付制度とか外国の制度とかとのバランスからしても、
やはり支配株主の異動を伴うような場合には、
現行の規制枠組みに対して追加での手続規制を課すというのは仕方ないかなぁ、と。
 外人さんに説明すると、
いつもビックリされるところでもあるしね。 
 

●次、
支配株主の異動を伴う場合とは何ぞや?、と。

 中間試案では、
既に親会社となってる場合を除いて、
引受人が仕上がりベースで議決権の過半数を有することとなるような場合、
これが支配株主の異動を伴う場合として整理されてますね。

 コレを見て、
まず気になったのが、
そこでの仕上がりベースでの算定って、
引受人単体で見るのか、それ以外の人とも合算するのか。
 合算するとして、
その合算範囲はどうするのか、
公開買付規制でいう特別関係者と同等になるのかどうか。
 さらには、
複数回発行が行われた場合にはどこまで合算対象にするのかなど。
 
 それから、
特に上場会社における総会での議決権行使の実態に照らすと、
別に議決権の過半数まで持たなくても支配株主となれる場合も多い。
 そういう場合まで捕捉しなくてよいのかどうか。
 まぁ、
公開買付規制とのバランスで言えば、
特別関係者と合算で仕上がりベース3分の1超かどうかが考えられるけど、
そこまでは無理としても40%ぐらいまでは捕捉しなくてよいのかな、と。

 もちろん、
「小さく産んで大きく育てる」という発想で、
まずは過半数からというのも分からんではないですがね。
 

●で、さらに次。
 ここらへんから段々難しくなってくるんだけど、
個人的に理由付けを含めてよく分からなかったのが総会決議要件。

 中間試案だと、
この総会決議要件って普通決議になってるよね。
 で、
この点についての捕捉説明18頁では、
会社の経営を支配する者を決定するという点で、
取締役の選任決議と類似するから普通決議で足りるのでは?、と、
そういう説明になってるね。

 でも、
この説明ってさ、
ホントにコレで説明になってるのかな?

 確かに、
取締役の選任決議が、
会社の経営を支配する者を決定するというのはそのとおりなんだけど、
そのような決定をする総会ってのは、
後でその者を解任したり再任拒否したり出来ることがそこでの前提でしょ?
 要は、
そこでの「会社の経営を支配する者の決定」っていうのは、
あくまで一時的なもので状況固定的なものではない。

 他方で、
今議論してる場面ってさ、
一度そういう第三者割当がされてしまうと、
それによる経営支配状況が固定されてしまうような場面ですよね。
 だって、
一度、支配株主が出てしまうと、
その支配株主が今後ずっと取締役の選任決議をコントロールできてしまうわけでね。
 もちろん、
再度同じような第三者割当が行われれば再び状況は流動化するんだけど、
そのような第三者割当を行うかどうかを含めて支配株主のコントロールに入るわけでね。

 つまり、
何が言いたいと言うと、
今問題にしている第三者割当の場面ってのは、
ゲームのルールを変えてしまうような話なわけで、
どちらかというと組織再編のような会社の基礎変動に近い話ではないのかな?、と。
 そうすると、
やはり理論的には特別決議の方向に流れるんじゃないのか?、と。
 
 特に中間試案では、
支配株主の異動を伴う場合として、
仕上がりベースで議決権の過半数を有することになる場合のみを切り出してるので、
このような切り出し方をするなら尚更、
やはり特別決議の方向に流れるのではないかな、と。

 他方で、
もう少し広く、
例えば3分の1超とかまで切りだすというのであれば、
これは比較法的に見ても普通決議で足りるとしやすいし、そうすべきかなと。

 まぁ、
実務家からすると、
普通決議にしてもらった方が助かるんですが(笑)、
特別決議を必要とする有利発行規制とのバランスを含めて、
もう少し丁寧に議論してもらった方が良いのじゃないかな?という感想。
 なんだったら、
議決権の過半数(又は40%)を有することになる場合には特別決議で、
それ以下の場合には普通決議で、
みたいな建付けだって考えられなくはないですよね。


●最後に、
株主総会を必要とする場面の設定(=限定)について。

 要は、
緊急性の高い資金調達にどう対応するのか?という話ですが、
デット(ブリッジローンとか)やデット的なエクイティ(無議決権株式とか)でもダメで、
それに加えて、株主総会とか開催してたんじゃぁもう全然間に合わねぇよ、という場面。

 抽象的にはよく分かるし、
実務上もそういう場面を否定はできないんだけど、
この場面の具体的なイメージって、
議論の前提として共通認識が大まかにでも形成されてるのかな?って、
それが一つ目の素朴な疑問。

 で、
そういう疑問とも関係するんだけど、
個人的にコレで実務がうまく回るんだろうか?と危惧するのが、
中間試案のA案なんですよね。

 これって、
原則は株主総会決議を要するとした上で、その例外として、
資金調達の必要性と緊急性等を考慮して特に必要と認めるときは、
総会決議不要で取締役会決議だけで足りる、と。
 前提としては、
そういう例外的権限を取締役会に認めるという定款の定めがあることが条件。
 
 このように総会決議を省略しようとしても、
総議決権3%以上を有する株主が異議を述べると原則に戻って総会決議必要になるけど、
そういう異議とは別に定款違反を理由とする発行差止めも可能なんでしょう。
 そうすると、
この発行差止めの仮処分申立てが出ると、
総会決議を待ってたんじゃぁ潰れちゃうのかどうかという点を主たる争点として、
仮処分申立てに関する攻撃防御活動が展開されることになるんでしょうが、
これって実際はどのような様相になるのかなぁ?、と。
 会社として緊急性を立証せいと言われてホントに実務上可能なのか?、と。
 他方で、
これは高度な経営判断のようにも思うけど、
それを理由に経営判断の原則を適用したら、
今度は逆にせっかくのルールがザルになっちゃうのかも。
 この問題は、
ひいては仮処分申立てがなされる前段階として、
取締役会が総会決議を省略するという決定を行うにあたっての委縮効果をハラむもの。
 一定のプロセスを経たら立証責任の転換とかも考えられるけど、
社外取締役1人じゃぁ、さすがにしょうがないし、
特別委員会とかになると、今度は法律に書きにくくなるしね。

 一方で、
中間試案のB案。
 これは、
先ほどのA案と異なって、
まず原則として総会決議必要というアンブレラをかけるのは止める。
 だけど、
総議決権25%超を有する株主が異議を述べると総会決議必要と。
 
 まぁ、
支配株主の異動を伴うような場合には株主の意見を聞くべき、と、
そういう元々の理論的背景からすると、
このB案ってのは余り美しくないのかもしれませんが、
こちらの方が現実的なのかな、という気はしますね。

 ただ、  
いまいち腑に落ちないのが、
総会決議が必要となる場合の異議要件でして、
A案では議決権3%以上を有する株主の異議で足りるのに、
B案でも議決権25%超を有する株主の異議まで必要、と。
 参照してる現行規制などが違うとはいえ、
この差はどう合理的に説明するのかな?という素朴な疑問アリ。
 さすがにもう少しバーを低くないと、
規制として殆ど意味がなくなるかもなぁ、と。


●本日のツボはここまで。

 ちょっと先取りしすぎかもしれんが、
独立取締役で過半数構成する取締役会の決議について、
立証責任の転換とか特別の効果を法律上規定してあげたなら、
独立取締役も今よりは少しでも普及が進むのかもね。

 立法の際には、
理論的な美しさも必要だけど、
それ以上に当事者のインセンティブをも十分に考慮して欲しいなぁ、と。
 「単なるネコでしょ?」で述べたような、
監査・監督委員会を例に挙げるまでもないけどね。
 特にガバナンスについては、
当事者の自律性に期待することに限界があるわけだから、
うまく制度設計でインセンティブを方向付けていかないとね。
 その最たる例は、
性質として立法じゃないみたいだけど、
米国の量刑ガイドラインとかかなぁ。


(2011年12月25日記)
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