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●早くも提出された、会社法改正の中間試案に対する日弁連の意見書について幾つか。


●つい4日前の1月18日、
会社法改正の中間試案に関するパブコメに応える形で、
日本弁護士連合会(日弁連)の意見書が、
早くも提出されておりますね。

 いや、
まずは何はともあれ、
この早期のタイミングで提出されたこと自体に、
敬意を表したいと思います。
 これから提出される各種意見との関係を含めて、
非常に価値があることかと思います。

 内容的にも、
どうしても立場の問題や分野の濃淡はあるとはいえ、
それなりに練られた上でのモノのようで、
企業の立場からも十分参考になると思います。

 ということで(?)、
個人的にはそろそろ飽きてきたネタですが(爆)、
この日弁連意見を素材としつつ、
マニアックな点を中心として「オトナの事情」を回避する形で(笑)、
連載のシメとしたいと思います。


●で、
まずは社外取締役義務付けの対象範囲について。

 この点は、
単なるネコでしょ?」というツボでも述べたとおり、
私個人としては有報提出会社という切り出し方で良いのでは?という立場。

 で、
日弁連意見3Pも、
同じ立場に立ってますね。

 ただ、
この日弁連意見4P以下にも出てくるとおり、
さらなる対象限定が必要ではないか?、と、
つまり有報提出会社のうち一部に限定すべきではないか?という意見も、
実務界でチラホラ聞こえてくるのですよね。

 ちょっと場面が違うんだけど、
その発想のヒントになってると思われるのが、
TOB規制における対象会社の限定方法なわけ。
 
 このTOB規制における対象会社ってさ、
単純に「有報提出会社」とだけ覚えてる方も多いんだけど、
これって厳密に言うとね、
株式や新株予約権のような「株券等」のために有報提出している会社に限定されてる。
 こういう対象限定があるので、
「株券等」に含まれない社債のために有報提出している会社、
要は、社債公募で有価証券届出書(SRS)を提出した結果、有報提出義務を負う会社、
こういうのはTOB規制の対象会社には含まれないのね。

 で、
これと同じような発想で、
公募社債発行会社については、
社外取締役義務付けの対象から外すべきではないか?、と、
そういう意見もチラホラ周りから聞こえてくるのよね。

 でもね、
TOB規制ってのは、
あくまで「株券等」の買付けをコントロールするものだからこそ、
上記のような限定が正当化されると思うんですよね。
 それと同じようなロジックを、
社外取締役義務付けの場面にそのまま持ってくることはできないはず。
 そうだとすると、
例えば公募社債発行会社の場合は、
たとえ投資家としての社債権者が不特定多数に及ぶことが予想されるとしても、
社外取締役義務付けは要らないんだ、
何故なら、株主が不特定多数いる場合と違って▲▲▲と。
 そういう別の積極的理由付けが必要なはずなんだけど、
そこんところがイマイチ明確に聞こえて来ないのよね。
 
 むしろ、
日弁連意見5Pに書かれているように、
倒産のような究極的な場面を想起すれば分かるように、
社債権者は株主より優先的に保護されるべき立場にあるわけですよね。
 そのような社債権者との関係で、

 「お前は株主じゃないんだから、
  社外取締役を通じたガバナンスによる保護は不要だ!」、と、

 そう言える根拠ってあるんだろうか?
 お恥ずかしながら、
現時点で私はその解を見つけれていないですね。


●次に、
社外要件について。

 日弁連意見15Pでは、
社外取締役として法律専門家の選任を義務付けるべきである、と。
 うん、
業界団体として、
よくぞ言ってくれたという感じはしますね(笑)。
 いや、
別に特に賛成でも反対でもないですが、
そうしてくれたら助かります(爆)。

 その「お約束」部分とは別に、
実務的にも少なからず重要だなぁと思うのは、
重要取引先の関係者でないことを要件として追加するかどうかという点。

 日弁連意見15P以下を見ると、
相当程度の猶予期間を設けることを前提に、
これに賛成の立場のようですね。

 まぁ、
この部分は、
昨今の企業不祥事の事例を踏まえて、
会社法制部会でも最後らへんに急遽盛り上がってきた点なのですが、
いかんせん「重要な取引先」というだけでは要件が不明確ですよね。

 仮に年間取引金額が一定額以上とか特定したとしても、
他の要件に比して任期途中で欠格となる可能性を会社でコントロールし難く、
社外取締役の欠員リスクに備える必要性が飛躍的に高まってしまうのは、
候補者が少ない現状の中で実務的には非常に辛いところです。

 一応、
任期途中の欠格問題に対処するために、
例えば要件判定基準時とか設けるというアイデアも無くは無いけど、
潜脱が容易になっちゃう可能性もあるだろうし、
任期途中でも要件満たさなくなった奴を維持できるとすると、
その要件の意味ってそもそもあるのか?とか。

 後、
そこでいう「取引先」ってのは、
常に双方向を問題とすべきなんでしょうかね?
 つまり、
当該会社が事実上養ってあげてる取引先だけを問題とするのか?、それとも
当該会社自身が事実上養ってもらっている取引先をも問題とするのか?、
 ここの点も、
不勉強ですみませんが、
いまいち議論の現状や焦点が良く見えませんでしたね。


●それから、
キャッシュアウトの新制度について。

 日弁連意見51頁以下では、
「なお慎重な検討を要する」という立場ですね。
 まぁ、
立場としてはそうなんでしょう。

 ただ、
その中でね、
会社法制部会の議論でも出てきてたんですが、
少数株主に対する周知方法として、
公告では足りずに各別の通知を強制すべきとする点。

 うん、
まぁ、これも立場としてはそうなんでしょうという感じですが、
仮に各別の通知を出すということになれば、
総会を開催する手間・コストとの間で、
さほど大きく変わりないことになっちゃう。
 そもそも、
この新制度の最大の売りは、
全部取得条項付種類株式を利用したスキームとの対比において、
株主総会を省略できることにあったはずであるのに、
その売りが大きく殺がれちゃうことになるのね。

 その上、
どこよりも早い…はず!?」というツボで述べたように、
この新制度によると継続開示義務を免れるタイミングが今より遅くなっちゃう。

 そうなると、
新制度を創設する意味が殆ど無くなりますわな。
 いや、
個人的にはどっちでもいいんですが、
ただ現実的にそうなっちゃいますよぉという指摘だけ。


●ちなみに、
監査・監督委員会設置会社については、
現時点で私は話題性の観点からだけしか重要性を認めてないので、
正直どうでもいいなぁ~とも思っているのですが(爆)、
日弁連意見5Pを見てみると色んな設置条件が並んでるね。

 特に目を引くのが、
①常勤監査・監督委員の強制や
④取締役会の必要的決議事項について特則不可という点でして、
私自身も個人的にはそうすべきような気もするのですが、
まぁ、この内容になるんなら尚更、
誰も監査・監督委員会設置会社なんて、
敢えて選択しないよなぁ~、と。

 いや、この点も、
現実にそうなっちゃいますよぉという指摘だけ。


●この他、
特に多重代表訴訟のとことかは、
正直かなり意見が違う部分も多いなぁ~という感じだけど、
まぁ、そこらへんは最後は立場論・政策論ということもあり、
こんなトコで議論してもしょうがない話なので、
本日のツボはここまでということで。

 いずれにせよ、
企業法務系の事務所が口にしにくいトコとか、
それとは反対の立場の意見を上手く検討・集約しているトコとか、
日弁連という組織の存在意義・存在感を如実に示すという意味で、
非常に意義のある意見書になってるんじゃないかしら。

 これで会費がもっと安ければ文句無し!(爆) 


(2012年1月22日記)
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