上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

●「世間を知りたければタクシーの運ちゃんに聞け!」


●弁護士になった当初、
当時のボス弁からよく言われたのが、
冒頭に挙げた、この言葉。

 仕事柄、
タクシーに乗ることが多いのですが、
その際には必ず景気のこととか含めて、
色々とお話するようにしてますね。

 タクシーの運ちゃんって、
ホントに色々な人がいるわけでして、
特に昔は経営者やってたけど倒産しちゃって…という方のお話が、
個人的には一番面白いという経験則(?)アリ。

 そんなタクシーの運ちゃんから聞いた中で珠玉のが、

 「人間ってのは比較でしか物事を判断できないらしい」、と。

 脳科学者である乗客からの伝聞だとか。


●この言葉、
色んな場面で応用可能でして、
私はセミナーとか会議とかでよく使ってるのですが(笑)、
思えば自分自身も契約書ドラフトをレビューする際にも、
手許に過去の例を置いておかないと、
見落としてしまいそうになる場合がある。

 特に見落としがちなのは、
ドラフトに書かれてある契約条項の善し悪しではなくて、
ドラフトに全く書かれてない契約条項で他に必要なのが無いのかどうか。 

 一つのモノだけを見て、
そこに欠落している部分を見出すのは至難の業であって、
他との比較、特に理想形との比較をして初めて気づけることがある。


●さてさて、
前置きが随分長くなっちゃいましたが、
最近、何かと話題の経営監督機能を語る際にも、
実は上記で述べた視点が欠かせないんだと思うのですよね。

 従前、
単なるネコでしょ?」というツボでも述べたとおり、
社外役員にどんなに強力な権限を認めたところで、
肝心の情報が上がってこなければ上手く機能しないわけですよね。

 もちろん、
社外役員に情報が集まる「仕掛け」が構築できれば良いわけですが、
それが無い現状では特に社外役員の側から積極的に求めていかなければならん。

 その際に重要なのが上記で述べた視点、
もっといえばベスト・プラクティスとの比較という発想。

 例えば、
債権放棄の承認決議で言えば、
放棄した場合としなかった場合のシュミレーションとか弁護士の意見書とか。
 M&Aの承認決議で言えば、
各種DDレポートのエグゼクティブ・サマリーで指摘されていた問題は何かとか、
バリュエーションの前提はどうなっているのかとか、
関連契約において負担が予想される最大額はいくらなのかとか。

 そういうベスト・プラクティスとの比較があって初めて、
今回事務局から出てきた情報はちょっと足りないんじゃないか?とか、
ここは経営陣はどういう形で確認したんだろうか?弁護士には聞いたんだろうか?とか、
そういうことに気づけるわけですよね。

 と、まぁ、
偉そうに言ってますが、
所詮、欧米の実務の受け売りな訳ですが…(笑)。


●でさ、
こういうベスト・プラクティスってのは、
社外役員個々人が頭の中で構築すべき話なのではなくて、
何かの権威を以って構築・公表すべきモノなんだと思うのですよね。

 まず、
社外役員個々人が頭の中で構築すべきとなれば、
それは属人的な能力に寄り掛かることになっちゃうよね。
 それではさすがに制度システムとして落第点。

 それに、
そういう権威づけられたベスト・プラクティスであればこそ、
社外役員はコレを盾として経営陣らに情報開示を求めていけると思うのですよね。

 「あのベスト・プラクティスと外れたことやると後が怖いからさ、頼むよ」、と。

 もちろん、
そうなるためには、
具体的な場面に引き下ろした上でのベスト・プラクティスを作る必要があるわけでして、
監査役協会が出してる監査役監査実施要領の一部記載とかもそれになり得るけど、
もう少し場面を具体化・網羅化して権威付けたモノを作る必要があるんじゃないかな、と。

 要は、
巷で好んで議論されるような「心構え」とか「機関設計」とかじゃなくて、
もっと具体的な場面で、さぁ、社外役員は最低でも何を確認すべきか?、と、
こういう場面では社外役員は最低でもこの「三種の神器」を確保しろ!、と、
そういう点の具体的なイメージが湧く「ベスト・プラクティス」を作っていかないと、
正直言って実務には全く役立たないですよね。

 後、
そこでいう「権威」ってのは、
まぁハード・ローは無理だろうから、
自然とソフト・ローという形式でのものになるんでしょう。


●ちなみに、
一定の重要議題に関しては、
検討・審議に当たってのプロセス・時間的余裕についても、
ベスト・プラクティスの構築が必要なのかもね。

 取締役会の場合には、株主総会と違って、
当日に議題を追加することも法的に可能なわけですが、
どうも近時の不祥事例ではこの点が悪用されていたようですしねぇ。

 もちろん、
説明になってるかな?」で述べた第三者割当の話と同じで、
緊急性の高い場合の例外とかは必要だとは思うんですけどね。


●本日のツボはここまで。

 いつも、
この種の議論を聞いてて思うんだけど、
心構えとかマインドとか、そういう精神論ってさぁ、
もう散々議論し尽くしたんじゃないですかね?
 そろそろ、
次の具体的なステップに踏み出すべきかと。


(2012年1月30日記)
関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://bookaholiclawyer.blog18.fc2.com/tb.php/108-42285938
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。