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●2012年版のISS議決権行使助言ポリシー、本日は役員選任関係。


●改めて言うまでもなく、
株主として外国機関投資家を多く抱える会社さんにおいて、
その動向を絶対に見逃せない/見逃してはならないのが、
ISS(Institutional Shareholders Sevices)の議決権行使助言ポリシー。

 最近、
2012年版のポリシーが公表されたみたいで、
先週2月1日から発効してますね。

 で、
その内容ってのは、毎年、
色々とアップデートされてるんですが、
2012年版も結構それなりに注意して見た方が良いものが含まれてますね。

 もちろん、
外国機関投資家を現状さほど多く抱えてない会社さんでも、
海外から見た日本のガバナンスの問題点を理解する上で、
非常に参考になるはずですよぉ。

 ということで、
本日から複数回にわたって、
ISSの2012年版ポリシーについて、
特にポイントとなる点をご紹介などしていこうかと。

 第一回の本日は、
総会頻出の役員選任議案がらみを。


●以前開催した「総会祭り」、
この一環としての「私は特別かしら?」というツボの中で触れたように、
近時、取締役会の権限・裁量が拡大するにつれ、
定総への付議議案は減少傾向なわけですが、
このような傾向に対応してか、
ISSでは役員の選任議案や報酬議案の内容を重視するようになってきてるよう。
 
 その中でも、
特にセンシティブであり長年にわたり問題視されてるのが、
利益相反問題の一環としての、役員の社外性・独立性の問題。


●で、まぁ、
「社外取締役」っていうと、
単なるネコでしょ?」というツボでも述べたとおり、
現在、法制審議会・会社法制部会で、
延々とその義務付けが議論されてるわけですが、
例の「会社法制の見直しに関する中間試案」では、
この点について複数の提案を掲げる形で、かつ、
その中に「現行法の規律を見直さない」という極めて異例な現状維持提案も含めるなど、
かなり腰の引けたスタンスを採ってるわけよね。

 それはもちろん、
経済界からの反発が強いからなわけでして、
正直ホントに法案化まで漕ぎ着けられるかなという印象も無くは無い。

 ただ、
海外から日本を見る目は、
もうそんな生易しいもんじゃない。

 現に、
ISSの2012年版ポリシーを見ると、
さすがに今年は見送るけど来年2013年からは、
最低1名の社外取締役選任を事実上義務付ける、と。
 つまりは、
総会後に社外取締役が1人もいなくなるようなら、
経営トップである取締役の選任議案について、
反対の議決権行使を推奨する、と。

 ここでいう「社外取締役」ってのは、
いわゆる会社法上のそれであって「独立取締役」のことじゃない。
 さすがのISSも、
日本の役員マーケットの現状には配慮していて、
独立性までは現段階で求めないようにしてるのね。

 何で経営トップである取締役の選任議案に反対するかというと、
日本の典型的なガバナンス・システムにおいては、
役員の人事権が経営トップにあるからなのね。

 もちろん、
外国機関投資家を多く抱える会社さんでは、
もう社外取締役を確保済みというところも少なくないけど、
そうでない会社さんにとっては、
社外取締役の選任義務付けはまさに、

 「もう待ったなし!」、と。

 まぁ、
ISSさんからすると、
もう散々我慢してきたというのが、
正直なところなんだろうかもね。


●で、
以上述べたように、
社外取締役の義務付けに際しては、
日本の役員マーケットの現状に鑑みて、
その独立性までは問わないことにしよう、と、
そう「オトナな判断」をしているISSさんも、
社外監査役については独立性を要求するわけですね。

 ここでの「独立性」ですが、
「主要な取引先の関係者でない(現在要件)/なかったこと(過去要件)」が含まれてる。

 例の中間試案では、
存在感アリ?」でも述べたとおり、
現在要件ですら要検討事項として棚上げされているところですね。

 ちなみに、
ISS基準の中では、
自社が養ってあげてる取引先と自社が逆に養われてる取引先と、
その双方を明示的に問題にしてますね。
 後、
ちょっと厳しいなと思うのは、
「主要」かどうかの判断に関して、
具体的な金額基準が設定されてないのと、
取引規模が開示されてない場合は「主要」とみなされ得るとされてる点かな。

 
●それから、
「独立性」の関係で大事なのが、
親会社や支配株主を抱える会社について、
最低2名の独立取締役選任を事実上義務付けてる点。
 
 先ほどと同じで、
総会後に最低2名の独立取締役がいなくなるようなら、
経営トップである取締役の選任議案に反対推奨する、と。

 ここでの「独立取締役」ってのは、
先ほどの「社外取締役」よりも狭い概念で、
監査役のトコで述べた「独立性」の要件を満たす取締役のこと。

 要は、
親会社/支配株主と少数株主との間の利益相反問題、
これに対処するためには社外取締役では足りず独立取締役の存在が不可欠、と。

 これ、
「最低2名」って辛いなぁ~と思われるかもしれませんが、
おそらくはISSさんの立場からすると、

 「『過半数』って言わないだけでも感謝しろ!」、と(爆)。

 正直、
それぐらい厳しい目で見られてるのが実際のところかと。


●この他、
取締役会の出席率が75%未満の社外取締役や、
取締役会又は監査役会の出席率が75%未満の社外監査役、
これらについても反対推奨することになってますな。

 うん、
まぁ反論は難しいわね…。


●本日のツボはここまで。

 社外取締役の義務付け議論について、
「もう辟易気味です!」とおっしゃる企業の方々が多いという話が、
色んなトコからチラホラ聞こえてくるのですが、
う~ん、正直なトコロ、
そろそろ覚悟した方が良いかもしれないですよぉ。

 外から見る目は、
ホントに想像以上に厳しいかと。

 「大事なのは形式ではなく実質だ!」、と、
そういう日本的な感覚にも共感しないではないですが、
「形式を伴わない実質」というのは、
外から検証のしようがなく「信頼」(not「安心」)を確保できないのですよねぇ。
 そこに、
文化や価値観の違いが絡めば尚更かと。
 
 ちなみに、
当ブログの長年(!?)の読者なら言うまでも無いですが、
「信頼」と「安心」の違いについては、
例えば「よそ者を見たら泥棒と思え?」とか御参照くださいませ。


(2012年2月6日記)
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