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●2012年版のISS議決権行使助言ポリシー、本日は役員報酬関係。


●前回、
もう待ったなし?」というツボでも触れたように、
近時、取締役会の権限・裁量が拡大するにつれ、
定総への付議議案は減少傾向なわけでして、
このような傾向に対応する形で、
ISSでは役員の選任議案や報酬議案の内容を重視するようになってきてる。

 このうち、
役員選任関係については、
前回サラッとポイントだけ触れましたので、
今回は役員報酬関係について気になる点を中心に。


●さて、
いきなりISSさんのポリシーを見ていくのもアリですが、
実は色々な会社さんと話してて少なからず思うのは、
役員報酬議案に関する会社法上の整理について、
基礎的な理解が追いついてない場合が結構ある、と。

 なので、
その点について自信が無い方は、
昨年まさに盛大に(!?)開催した「総会祭り」、
その一環としての「夢見れるんじゃない?」というツボ、
こちらをまずはご確認いただければ、と。


●で、
まず役員賞与。

 これは、
「夢見れるんじゃない?」でも述べたように、
旧商法下での利益処分案の名残りを引きずってか、
会社法の下でもなお、
定総で毎年、賞与支給決議を獲っておられる会社さんが、
未だに相当数いらっしゃいますよね。

 理論的に言えば、
既に以前決議を獲った月額/年額の金銭報酬枠内に賞与額が収まる限り、
それに加えて敢えて別に賞与支給決議を獲る必要はないよね。

 ISSさんも、
そのことは百も承知のようでして、
敢えて株主総会の承認を求めるスタンスはプラス評価に値する、と。
 なので、
通常は賛成推奨しますという立場。

 で、
ここまではいいんだけど、
上記スタンスを撤回する場合に、
どういう立場なのかは不明。

 つまり、
これまでは会社法上の必要は必ずしもないにもかかわらず、
敢えて株主総会の承認を求めてきたんだけど、
いい加減さすがに面倒なので今年からは止めよう、と。

 こういう場合、
これまで賞与支給決議を毎年の定総で獲ってきた以上、
いきなり何も言わずにそれを止めるのは適切じゃない。
 なので、
月額/年額の金銭報酬の枠内に賞与も含める旨の「報酬改定の件」について、
総会の決議を獲ってから初めて止める、と。
 そういうのが実務では通常かと。

 この「報酬改定の件」については、
特に報酬枠の増額などが伴わないという前提であれば、
やはり原則賛成を推奨してくれるという理解でよいのかしら?
 そこはポリシーからは必ずしも明確じゃないですが、
これに反対されるのは会社としてイマイチ納得いかないかもね。

 後、
役員賞与との関係では、
月額での枠取りより年額での枠取りの方が助かる。
 枠取り額の年間合計額が増加しない限り、
月額から年額への変更についても反対は勘弁して欲しいなぁ。


●次に、
退職慰労金。

 この点、
「夢みれるんじゃない?」で述べたとおり、
ISSさんの退職慰労金関係のポリシーってのは、
かなり多くの会社が反対の網に引っ掛かり得るんですね。  

 何かというと、

 「金額開示されない場合は、原則反対!」、と。

 退職慰労金については、
未だに多くの会社が額を示さない一任支給決議を獲ってるよね。

 一応、
個別開示でなくて総額開示でも良いし、
正確な金額でなくて丸めた形での最大金額を示す感じでも良いので、
実務的には総額での丸めた最大金額を示す形で対応することになりますわな。

 後、
これも伝統的な日本企業の感覚とズレがある所のようですが、
支給対象者が社外役員の場合には原則反対されてしまいますからね。
 社外役員の独立性確保の観点から、
そのようなポリシーになってるようです。


●で、
先ほどの役員賞与の枠取りとの関係や
今の退職慰労金制度の廃止との関係もあり、
お次は取締役報酬枠の増加について。

 取締役報酬枠の議案って、
もうかなり昔のをそのまま使ってますという会社さんも未だに多くて、
なかなかお目にかからないということもシバシバですね。
 
 もちろん、
賞与を枠内に含める場合とか、
退職慰労金制度を廃止して定例報酬を増額する場合とか、
後は流行りの業績連動報酬を導入する場合とか、
そういう場合には報酬枠の議案が必要になってくる。

 で、
ISSの2012年版ポリシーを見ると、
増加の具体的理由の説明がある場合や
業績連動報酬の導入・増加を目的とする場合に限り、
原則として賛成を推奨する、と。

 名言だなと思うのは、

 「日本の報酬の問題は絶対額ではなく、
  株主価値創造との連動性の低さにある」、と(15頁)。

 なので、
固定報酬の増加を目的とする場合には、
原則賛成ではなくて個別判断という立場ですね。

 「夢見れるんじゃない?」というツボで述べたとおり、
特に機関投資家をはじめとする一部の株主さんからの強い不評を受けて、
ここ数年、退職慰労金制度の廃止が相次いだわけですが、
その代わりに何が起こったかというと、
定例報酬を増額している例も多かったようですね。
 この点については、
業績不振や不祥事発生などによって、
退職慰労金支給決議が通らない可能性なども考え合わせると、
このような流れが上記株主さんの意図した方向と言えるのかどうかは、
いまいち良く分からないなぁ、と、
そういう個人的感想を書き込んだものです。

 ですが、
このように退職慰労金制度の廃止の代わりに、
定例報酬の増額目的で単純に取締役報酬枠を増加させようとすると、
この2012年版ポリシーに引っかかっちゃう可能性がありますね。

 後は、
先ほどの賞与分を枠取りするために、
取締役報酬枠を単純に増額することについても同様かな。


●最後に、
ストックオプション。

 まず、
通常のストックオプションに関する賛成要件については、
①完全希薄化率が成熟企業で5%以内であること、
②対象者に株主価値増大への寄与が期待できない社外の第三者が含まれていないこと、
これらに留意が必要ですね。

 このうち、
上記①については、
「夢見れるんじゃない?」で述べたように、
ストックオプション付与枠を確保する形(今後は役会決議のみで付与OK)の場合には、
今後10年間にわたり毎年の付与可能最大数が付与されると仮定して、
完全希薄化率が計算されることになってるので注意。 
 後、
上記②については、
社外役員は「社外の第三者」ではないという整理ですね。 

 ちなみに、
2012年版ポリシーを見ると、
付与時から1年以内に行使期間が開始しないこと等の要件が外れてますね。
 まぁ、
元々余りヒットしない要件だったように思うので、
大勢に影響は無いでしょう。

 次に、
報酬型ストックオプション(1円ストックオプション)ですが、
退職前の行使が禁止されている場合には通常賛成してもらえるようですね。

 この報酬型ストックオプションについては、
退職慰労金制度廃止の代わりに導入されてる例が多いという認識でして、
退職前の行使を禁止することがむしろ通常の形態なので、
特に問題となることはないという理解です。


●本日のツボはここまで。

 ちなみに、
2012年版ポリシーの主な変更点は、
取締役選任関係と報酬関係だけのようです。
 逆に言えば、
それほどこの2つの議案に注目が集まってるということですな。


(2012年2月12日記)
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