上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

●「マネるなら命懸けで?」に似たような話を一つ。


●気づけばもう2年前ですか、
2010(平成22)年1月1日より、
新しい企業結合規制が導入されてますね。

 目玉は色々あったけど、
特に世間の注目を集め影響も色々とあったのは、
①株式取得について事後報告制から事前届出制にしたこと、
②企業結合集団ベースでモノを考えるようにしたこと、
この2つだったわけね。

 このうち、
上記①については、
急かしちゃダメ?」というツボでも少し述べたように、
TOBをはじめとしてM&A実務に少なからず影響を与えたのは、
おそらく周知のとおりかと。

 ということで(?)、
本日は残る上記②の点について、
実務上よく勘違いされやすい点をサラリと。


●さて、
まず「企業結合集団」についてオサライ。
 概ね、
自社と子会社、
(親会社がいれば)さらに親会社とその子会社も、ってな感じ。
 もちろん、
親会社の上に更に親会社がいるような場合は、
ホントの頂点にいる親会社(Ultimate Parent Company)まで遡り、
そのような一番偉い親会社の子会社も全て含まれることに。

 まぁ、
この企業結合集団ベースでモノを考えるようにしたことで、
届出書の記載が面倒になった部分もあるんだけど、
その一方で合理化された点もある。

 それは何かというと、
株式取得届出のトリガーとなる議決権保有率(20%超/50%超)について、
企業結合集団ベースでの議決権保有率を用いて判断するとされた点。
 この点、
従前は株式取得会社のみの議決権保有率が用いられてたのね。

 これにどういう含意があるかというと、
必ずしも明文からは明らかじゃないんだけど、
自社と同一の企業結合集団に属する会社からの株式取得について、
事前届出義務が発生することは無いと解釈できるようになったのね。
 だって、
企業結合集団ベースで見れば、
全体としての議決権保有率に動きはないよね。
 まぁ、
同一グループ間での株式の異動について、
届出しなきゃならんてアホらしいわね。
 その感覚が法的にも反映できるようになったということ。

 ちなみに、
2010(平成22)年より以前から、
親子間や兄弟間での合併等については、
届出義務が免除されていたわけですが、
株式取得についてはそういうのは無かったのね。
 で、
そのような合併等についても、
2010(平成22)年1月1日からは、
同一企業結合集団に属する会社間のものは届出免除と、
免除される範囲が広がってますわな。


●でさ、
ここまでは皆さん、
どっかで聞いたことありますわな。

 で、
多分アタマの中の引っ掛かりとしては、

 「同一企業結合集団内なら届出不要!」、と。

 そんな感じで記憶されてるのかと。

 だけど、
この引っ掛かり方だけだと、
思いっきり間違っちゃう場面が少なくとも一つある。

 さて何か?分かりますかね?


●実は、
会社法上の組織再編の中で、
一つだけ独禁法の中にそのままでは出てこない類型がある。
 
 それは何かというと、
 
 「株式交換」。

 では、
この株式交換については、
独禁法上の事前届出が全く要らんかというと、
全然そうではない。

 この株式交換については、
これを通じて対象会社の親会社となる会社(株式交換完全親会社)、
この株式交換完全親会社による株式取得と捉えられるので、
株式取得についての事前届出制度が適用になるんですよぉ。
 
 だけど、
株式交換の場面ってさ、
株式取得会社たる株式交換完全親会社と、
対象会社たる株式交換完全子会社、
この2つが既に親子関係に立ってる場合が少なくない。
 既に親子関係に立ってる場合って、
株式交換前に株式取得会社側が50%超保有している場合が多い。
 で、
そうであれば、
株式取得の事前届出義務をトリガーすることはない。
 なので、
株式交換の場面で、
株式取得についての事前届出が問題になる場面って、
実はそんなに多くないはずだし、
前例でも出してないのが結構多い。

 だからなのか、

 「株式交換の場面では届出不要!」って、

そんなこと言っちゃう人もいるらしいけど、
先ほどのとおり株式取得の事前届出制度の適用はあるのよ。

 なので、
たとえ既に親子関係であっても、
株式交換前における株式取得会社側の保有比率が40%とかだと、
株式交換によって株式取得の事前届出義務が問題になっちゃうんですね。


●でさ、
そんな基本的なことは分かってるという人でも、
結構よく間違えちゃうのが次の勘違いなわけさ。

 「今回の株式交換で初めて議決権保有率50%超となるけど、
  平成22年改正後は同一企業結合集団内のディールは届出不要でしょ?」、と。

 コレって、
さっきのアタマの引っ掛かりを単純に適用した結果ね。

 でさ、
コレ、何が間違ってるか分かるかね?

 まず、
株式交換については、
先ほど述べたとおり、合併とかと違って、
独禁法上、特別な規定は置かれていない。
 当然ながら、
同一企業結合集団に属する会社同士での株式交換について、
事前届出免除なんて規定も全く無い。

 次に、
株式交換については、
先ほどのとおり株式取得についての事前届出規制が課されるんだけど、
この場合の「同一企業結合集団内では届出不要」ってのは、
具体的にどんな場面だったか?思い出してみてください。
 そこでの、
「同一企業結合集団内」とは、
株式を譲渡する会社と株式を譲り受ける会社とが、
同一企業結合集団に属するという話なのです。

 他方で、
先ほど問題にした株式交換の例で、
株式交換の当事者である株式交換完全親会社と株式交換完全子会社は、
既に親子関係にあるなら確かに同一企業結合集団に属してるんだけど、
ここでの株式交換完全親会社ってのは、
別に株式交換完全子会社から株式を取得するわけじゃないよね?
 株式交換を通じて株式を取得する際の相手方は、
株式交換完全子会社の少数株主なわけです。
 なので、
たとえ株式交換の当事者が既に親子関係にあったとしても、
その株式交換は「同一企業結合集団内のディール」ではないんですよね。

 コレ、
意外でしょうがないのですが、
結構よく間違える人が多いみたいなので、
ホントに要注意ですよぉ。
 事前届出だから、
スケジュールにも凄く影響しますからねぇ。


●本日のツボは、ここまで。

 そう言えば、
独禁ではないんだけど、
「マネるなら命懸けで?」とか「どこよりも早い…はず!?」とかで指摘した、
継続開示義務が消えるタイミングの問題、
これを軽視してるかのような発言を最近聞き及びましたが、
やっぱり“Out of Touch”な天上人さんには理解できないのかしらねぇ…。


(2012年2月19日記)
関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://bookaholiclawyer.blog18.fc2.com/tb.php/111-72d9093e
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。