上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

●本日は詐害分割規制への対応について一言、二言。


●いつも思うのは、
定期的に更新されているブログの管理者の方々は、
ホントに偉いなぁ、と。

 ウチは、
敢えて言うまでもなく、
極めて不定期な気まぐれブログなので、
熱心な読者の方にはご迷惑をかけて申し訳ないという思いでいっぱいです。
(ましてやTwitterなど、とても×2という感じ…)

 ということで、
更新停滞の罪滅ぼしシリーズ(第2弾?)ということで、
先日からお送りしている会社法改正のツボですが、
ちょっとオモテの義理の問題があるのと、
後は読者の方からの強いリクエストがあるのとで、
本日はかなり飛んじゃいますが(笑)、
詐害分割規制について軽くだけ一言、二言。


●そもそも、
詐害分割って何だろう?、と。
 いまさら、
説明の必要はないかもしれませんがオサライとして。

 これは、
一言で言えば、
債権者保護手続の中で異議を出す権利を持たない残存債権者、
この残存債権者を害するような分割のことですね。

 ここでいう残存債権者というのは、
分割によって承継会社や新設会社には承継されず、
引き続き分割会社に対して債権を有する、
そういう債権者のことですね。

 典型的に問題となる場面というのは、
分割会社が、新設分割の手法によって、
主要な事業用資産と取引債務のみを新設会社に承継させる、と。
 この状態で、
分割会社が、新設会社の株式を、第三者に廉価売却してしまいます、と。
 そうすると何が起こるかというと、
分割会社の方には、不良資産とその他の債務のみが残るわけですね。
 当然ながら、
分割会社は残った債務全てを弁済しきれずに倒産、と。

 この場合の残存債権者は、
新設分割における債権者保護手続きの中で異議を全く出せない。
 分割無効の訴えも起こせないんですね。
 なのに、
分割会社が倒産してしまって、
倒産手続の中で少額な弁済しか受けられない。
 
 これでは、
さすがに残存債権者が可哀想すぎる、と。
 で、
これまでは詐害行為取消権とかで対応してきたわけですが、
いまいちスッキリしない議論が残っちゃうので、
じゃぁ、会社法の明文で対応すればいいじゃないということで、
今回、詐害分割規制が導入されることになったわけです。


●で、
今回導入される詐害分割規制。

 要は、
分割会社と承継会社の両方が、
分割によって残存債権者が害される、と、
そういう事実を知っている場合だけが問題となるわけです。

 ちなみに、
新設分割の場合には、
分割によって事業や資産などを承継する会社というのは、
分割会社と「一心同体」も同然ですよね。
 だって、
分割会社が新たに設立した会社が承継するわけですから。
 なので、
その承継する新設会社というのは、常に「知っている」と、
そうみなされることになるわけです。

 で、仮に、
分割会社と承継会社の両方が、
残存債権者を害するということを知っていれば、
残存債権者は、分割会社のみならず、承継会社に対しても、
債務の履行請求が可能とされることになる、と。

 ただ、
この履行請求には上限が付いてますね。
 承継会社が分割によって承継した財産の価額というものが、
残存債権者による履行請求の上限となってきます。
 ここで注意が必要なのは、
分割によって資産と負債の双方を承継している場合というのがある。
 その場合、
承継する資産から承継する負債を差し引いた残額、
この承継純資産が上限となるかというと、そうではないですね。
 単純に、
承継する資産の価額のみで上限が設定されることになっちゃう、と。


●さて、
まぁ、ここまではいいとして、
問題は、この先ですね。
 この詐害分割規制が導入されることによって、
分割スキームを利用して事業や資産を譲り受ける側、つまり買い手は、
ひょっとしたら残存債権者から履行請求を受けるかもしれない、と、
そういうリスクを抱えることになってくるわけですね。
 じゃぁ、
そのリスクにどう対応するのか、と。

 この点、
ダラダラ説明することもできるんだけど、
結論から先に言っちゃうと、
買い手がSPCを作って、
そのSPCが売り手から分割を受ける形(SPC承継スキーム)にするのが、
少なくともリーガルの観点からは一番安全かな、と。

 この場合、
まず買い手自身は、
別に承継会社ではないので、
詐害分割規制に基づく履行請求を受けることは無いよね。
 それからSPCですが、
これは承継会社なので履行請求を受けるリスクがあるわけですが、
売り手から「残存債権者を害さない」という表明保証をもらうなどして、
「知らなかった」というプロテクションを使う余地があるわけね。

 これが、
例えば買い手自身が直接自ら承継会社となる場面(直接承継スキーム)だと、
買い手は残存債権者から直接に履行請求される可能性が出てくる、と。
 仮に表明保証などをとっていたとしても、
そのような履行請求が出てきたときに、
それに対応すること自体が面倒だし嫌ですよね。
 SPC承継スキームのように、
一つ盾として法人が挟まってくれることは、
実務的には結構大事だし安心感があるかな、と。
 特に履行請求の上限が承継純資産ではないので尚更。

 後、
現在よく使われているスキームとして、
分割会社の方で新設分割なり吸収分割なりをして、
承継対象事業/資産を別会社に移した上で、
その別会社の株式を買い手に譲渡するというもの(株式譲受スキーム)もある。

 実は、
仕上がりの形だけで見れば、
この株式譲受スキームとSPC承継スキームは同じなんだよね。
 このスキームの場合にも、
買い手自身は承継会社じゃないから、
残存債権者から直接に履行請求されることはない。
 一つ盾が挟まってくれているわけね。

 だけど、
このスキームの残念な点は、
承継会社レベルにおいて、
「知らなかった」というプロテクションが使えない点ですね。
 だって、
この場合の承継会社というのは、
分割会社と「一心同体」のような会社ですからね。
 これは新設分割でも吸収分割でも同じ。
 この場合の承継会社は、
分割会社が用意した会社なんです。
 だから、
「知らなかった」というプロテクションを使う余地はなく、
ホントに残存債権者が害されている場面なら、
常に承継会社への履行請求が認められてしまう。
 これは、
買い手の立場からすると、
自分が譲り受ける株式の価値が、
自分が何も知らないのに変わってしまう可能性があるということ。
 これは困りますよね。

 なので、
一番最初の結論に戻ると、
・買い手自身は直接に履行請求を受けることはない
・承継会社レベルで「知らなかった」と言える余地がある
この2点からして、
一番最初に言ったスキーム、
買い手がSPCを用意して、そのSPCに分割で承継させるというスキーム、
これが少なくともリーガルの観点からは一番安全性が高い、と。
 もちろん、
別途、税務上の検討は忘れないでよね。


●本日のツボはここまで。

 多重代表訴訟を回避するために、
完全子会社の合同会社化が一部で提唱されていると聞き及びました。
 それも一つの「工夫」なのかもしれませんが、
「冗談でしょ?」と思ったのは私だけなんですかねぇ。。。
 そういうのが受ける時代なのでしょうか。


(2012年10月30日記)
関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://bookaholiclawyer.blog18.fc2.com/tb.php/114-8195f1d4
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。