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●公開会社による支配株主の異動を伴う増資手続の見直しについて一言、二言。


●えーっと、
そろそろ改正要綱の話も飽きてきた感もあったのですが(笑)、
以前、「決死の覚悟はあるの?」という会社のツボで論じた、
例の「第三の機関設計」である監査・監督委員会設置会社について、
この機関設計をベースに、定款による任意の定めの形で、
指名委員会などを設置するという議論があるそうなんですが、
ホントにそんなモノを任意で設置するニーズがあるんなら、
そもそも監査・監督委員会設置会社なんて要らないんであって、
現行の委員会設置会社がもっと使われるんじゃないの?、と、
現行の委員会設置会社が使われない理由って何だったっけ?、と、
そう世界の中心で叫びたくなった自分にハタと気づき、
「このネタでまだまだ行けるな」と、
そう強く確信した今日この頃です。

 まぁ、
シニカルなのはさて置いておいて、
今回の改正事項は、
実務上ちゃんと掘って考えないといけない点が、
それなりに結構あるのでね。
 オモテに出てる雑誌記事をいくつか読んだだけで、
何か既に「分かった感」を出しておられる方は、
「ホントに大丈夫かな?」と、
老婆心ながらちょっと心配かも。
 実務の検討は、
むしろ「これから」が本番ですよね。
 先頭切って走ってると思ってたら、
いつの間にか周回遅れだったということにならんように。

 ということで、
本日もオモテの世界に抵触しない範囲で、
支配株主の異動を伴う増資手続の見直しについて一言、二言。


●さて、
中間試案段階の議論については、
説明になってるかな?」というM&Aのツボで論じたとおりでして、
総会決議が必要とされる場面の設定に関して、
特にA案(原則必要案)が採用される場合の懸念を色々と提示しましたね。

 結局、
要綱では、
B案(原則不要案)をベースにした形になりました。
 つまりは、
新たにマジョリティを握る株主を出現させるような増資の場合でも、
まず原則としては総会決議は不要ですよ、と。

 ただ、
例外として、
10%以上の株主から反対されたら、
総会決議が必要になっちゃいますね、と。

 さらにさらに、
例外の例外というか、つまりは原則に戻るんだけど、
10%以上の株主から反対されても総会決議が不要とされる場面が認められた。
 それは、
発行会社の財務状態が「すっげぇーヤバい」という場合ですね。
 総会を待ってたら倒産に至るような場面が想定されてるみたい。

 ちなみに、
今回の改正による手続加重は、
公募にも適用があるみたいだけど、
実際上問題となるのは第三者割当の場面に限られるようですね。
 仮に公募でホントに問題となっても、
それはキャピマ村の住民が何とかしてくれるハズなので、
住民以外は心配せんでいい。
 素人が下手に口出しすると、
ヤケドしちゃう分野ですな。


●さて、
まぁ、ここまでは、
オモテの記事にも書いてるよね。
 実務は、
この先からなんですな。

 要は、
今回の改正で、
ひょっとしたら株主総会決議が必要になるかもしれん、と。
 じゃぁ、
実務上のスケジューリングをどうすんのか?という話。

 ひょっとしたら株主総会決議が必要になるかもしれん、
だから予め公告/通知日と払込期日の間を相当空けておくべきだ、と、
そんなことを主張する向きもあるやに聞きましたが、
まぁ、正直、違和感が相当残るなぁ、と。
 そもそも、
引受人がそんなスケジュールに通常は納得しないんじゃないかしら。
 一旦公表した以上は、
不確定要素は出来るだけ排除して早くマジョリティ握りたいんじゃない?
 その間に株価もどう動くか分からんし、
早くお金を払い込んで欲しいし、
発行会社としても変に空けるのは気持ち悪いよね。

 通常は、
10%以上の反対が出ない前提(総会不要の前提)でスケジュールを組んだ上で、
引受契約で発行/払込の前提条件を定めるんでしょうな。
 10%以上の反対が出てないことを発行/払込の前提条件とする、と。
 10%以上の反対がホントに出ちゃったら、
タイミングや価格などをもう一度検討しなきゃいけないので、
どちらからでも一旦そこでストップできるようにしてあげる、と。

 ちなみに、
10%以上の反対がホントに出ちゃった場合であって、
でも例外の例外に基づいて総会決議はやっぱりスキップする、と。
 発行会社の財務状態が「すっげぇーヤバい」という場合ですね。
 ホントにこういう場合だったとしても、
引受人側では一応、
10%以上の反対が出たということに基づいて、
立ち止まれる権利は確保するんでしょうねぇ。
 だって、
引受人側としては争いに巻き込まれたくないと思う場合もあるもんね。

 この最後の点に関して、
一応、ちょっと言っておきたいのは、
そういう場合に引受人が常に逃げ出しちゃうというほど、
そんな絶望的なまでに例外の例外が使いにくいわけではないんじゃないか、と。
 確かに、
総会待ってたら倒産しちゃうとか、
かなり狭いんだけどさ。
 だけど、
発行会社が例外の例外を使えると判断して総会決議はやっぱりスキップする、と、
そのような状況で差止め請求が出て裁判所に認められれば、
逃げ出すも何も、そもそも前に進めないわけだし、
差止め請求がタイムリーに出ずに/裁判所に認められずに発行まで至れば、
後から無効になる可能性はないはずなんだよね。
 だって、
非譲渡制限株に関する新株発行無効の訴えにおける無効事由には、
手続上の法令違反は通常含まれてないはずだからね。
 なので、
引受人側としても、
一旦払い込んだにもかかわらず、
後から引受株式が無効となるリスクまでは被らないはず。
 その限りでは、
引受人側としても一定の安心感はあるのじゃないかな。


●もう一つ、
念のため、通知/公告日と払込期日の間を相当空けておくというのではなく、
念のため、最初から総会決議を取りに行く、と。
 そういう「為念総会」を、
予めスケジュールに組み込んでおくというやり方の是非。

 「為念総会」で思い出すのは、
簡易組織再編の場合にやる奴なんだけど、
アレってのはさ、
簡易性を判断する規模要件を満たしてるかどうか、
直近の最終事業年度末日ベースの数値での判定じゃないので、
実務上よく分からんのでヤってるはずなんですよね。
 今問題にしているケースとはちょっと違うんじゃないかしら。

 翻って考えてみるに、
そもそも10%の反対が出る場面というのはどんな場面なのかな?、と。
 まず、
有利発行場面じゃないのよ。
 有利発行だったら反対なくても総会必要。
 それから、
総会が面倒な場面が前提だから、まぁ、上場会社が典型ですよね。
 その上場会社で、10%の反対ってよっぽどだよね。
 金額的にすごい額になるだろうから、
普通の個人ではそう簡単には満たせないはず。
 結集するっつったって、そう簡単じゃない。
 結局は、
一部の大株主からの反対というのが典型。
 まぁ、
当然かもしれないけど、
既存の大株主との間での支配権争いが勃発するような場面が典型か。
 後は、
有利発行まではいかないんだけど一定のディスカウントについて、
大株主から不満が出るような場面かな。
 そうだとすると、
10%の反対が明らかに出そうという場面は分かるのかも。
 もしも、
ホントにそういう場面が分かるというなら、
スケジュール短縮のために、
予め総会を開く前提でスケジューリングするというのも分からんではない。
 ただ、
そういう場面ではないというなら、
要は大株主の顔からして明らかに反対が出そうという場面でないなら、
一つ上で述べたように、
やっぱり引受契約における前提条件などで対応するんじゃないかしら。


●本日のツボはここまで。

 最近、
個人的にツボにハマッた本が、
病的に自分が好きな人」(榎本博明著・幻冬舎新書)。
 煎じ詰めて言っちゃうと、
ソーシャル・メディア・ツールも一因として、
「サル山の大将」が増えてきているという話。
 凄く身につまされる思いで、
一気に最後まで読んじゃいました。
 もちろん自戒を込めて。


(2012年11月7日記)
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