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●中村直人先生の資料版商事法務の論文について「感想」を少し。


●えっと、
まぁ言わずと知れた有名弁護士の中村直人先生が、
資料版商事法務の最新号(357号)において、
「平成26年株主総会の心構え」と題する論文を寄稿されてる。

 その中身は、
タイトルとちょっと違って(?)、
会社法改正案の話が80%くらいでして、
特に社外取締役と監査等委員会設置会社について、
色々と書き込まれてますね。

 この論文は、
「さすが」というと何ですが、
ありがちな「金太郎アメ」みたいなのではなく、
ちゃんと独自のご見解を踏み込んで書かれてあるので、
中村先生の個性全開という感じで、
さすが読んでて面白いなぁ、と。

 ただ、
個人的に興味があるのは、
やはり論文の中身なのですが、
正直なところ、
この論文の方向感については、
個人的に少なからず疑問がなくはない。

 ということで、
本日の会社のツボでは、
既に「オリザはいかが?」というツボでも少し触れたんだけど、
社外取締役に関する自民党法務部会での修正内容、
中でも例の「理由」と決議取消リスクの関係について、
さらに一言二言ぐらい追加しとこうかな、と。


●でね、
オリザはいかが?」を書いたときは、
まだ噂レベルで聞いただけの話だったんだけど、
その後の岩原先生の商事法務解説会でも説明されてたとおり、
社外取締役を置いてない公開大会社かつ有報提出会社が、
社外取締役候補者を含まない取締役選任議案を総会に提出する場合は、
その参考書類において例の「理由」を記載しなけりゃならん、と。
 後は、
例の「理由」の記載ルールとして、
①各会社の各事業年度における個別事情に応じた記載にしろ、
②社外監査役2名以上がいることだけでは理由になってないとみなすぞ、とか。
 そういうのを、
法務省令レベルで入れるらしいんだよね。

 この点、
中村先生の論文では、
ご自身でも「杞憂であればありがたい」(前掲7頁)とおっしゃってるんだが、

・例の「理由」に関する記載ルールについて、
「これは実体規制のようにも見える。社外監査役が2名いることだけでは『相当でない理由』にはならないというのであるから、これは、記載された内容が『相当でない理由』かどうかを判断するという前提に立っている。そして、記載された内容がそうでない場合には記載として不適法だというのである。」(前掲7頁)
・その上で決議取消しリスクについて、
「仮に実体規制と解されると、もし株主総会参考書類で説明した『相当でない理由』が相当でない理由に当たらないと後日いわれてしまったら、株主総会参考書類の虚偽記載あるいは記載不備ということになる。裁量棄却にでもならなければ、決議取消事由になってしまう。取締役選任決議が決議取消しとなったら大変だ。」(前掲7頁)
「やはり省令だから実体規制のはずはなく、単に文字通り『社外監査役が2名いること』のみでなければ何を書いても良い、ということかも知れない(単なる形式審査)。筆者の杞憂であればありがたいところである。」(前掲7頁)

 要は、
この記載ルールは、
記載内容にまで踏み込んだ上で、
その記載の適法/不適法を判断する、
いわゆる実体規制ではないのか、と。
 もしそうだとすると、
事業報告の中で記載するだけではなくて、
取締役選任議案の参考書類にまで、
例の「理由」が記載される形となると、
後で参考書類中の記載が不適法とされるなどして、
決議取消しとなってしまわないか、と、


●さてさて、
「実は」というと何だし、
「後出しジャンケン」的で何とでも言えるだろうという感じだけど、
この自民党法務部会での修正内容と決議取消リスクの関係、
特に事業報告だけではなくて取締役選任議案の参考書類にまで、
例の「理由」の記載が要求されたことで、
決議取消しリスクが高まってしまうとか、
きっと誰か言い出すんじゃないかなぁ~とは、
実は思ってたんだよね。
 まぁ、
予想に反して、
意外なトコロから出てきた感じではあるが。

 でさ、
どこから話するのが良いのか、
ちょっと迷いが残ってるんだが、
とりあえず一番ダイレクトなトコロから始めると、
例の「理由」についての記載ルールですね、
①各会社の各事業年度における個別事情に応じた記載にしろ、
②社外監査役2名以上がいることだけでは理由になってないとみなすぞ、とか。

 これってさ、
その中身が今後どうなっていくのかは知らんが、
その規制の性質如何にかかわらず、
そんなに大した話なのかなぁ?、と。

 例えば、
上記②のように具体的なものなら、
少し頭ヒネれば回避可能だろうし、
上記①のように抽象的なものなら、
不適法認定しようにもハードルがねぇ、と。

 もちろん、
虚偽はいかんですよ、虚偽は。
 だけど、
それはそんなに回避が難しくないでしょう、と。
 残るのは、
合理性の話ですよね。

 で、
この合理性の点はさ、
オリザはいかが?」の冒頭部分を書いてるときも、

 「ホントに『大したことない』とか言ってよいのかな?」、と、

ちょっと怖くなって一旦は筆を止めようとしたんだわ。 

 ただ、
その時にね、
さらに筆を進める上で拠りかかったのは、
現行法における類似規制の解釈だったんですね。

 この総会での理由説明義務については、
現行の法律レベルでも色々と似たようなのがあるんだよね。
 その中でも、
実務上かなりシビアに問題となり得るのが、
有利発行を必要とする理由の説明義務。

 これ、
まず法律レベルで理由説明が義務づけられてるし、
また法務省令レベルでも参考書類への理由記載が義務づけられてる。

 で、
肝心の解釈なんですが、
一般的にどう考えられてるかというと、
説明された理由に客観的合理性がなくても、
それ自体で決議取消事由になるわけじゃないよ、と、
あくまで議決権行使の判断材料を提供させるのが目的で、
それをどう判断するかは株主の自由だ、と、
そのように解釈されてるんですよね。

 何が言いたいかというと、
たとえ法律レベルで理由説明が義務づけられてても、
この程度の話なんですよね。
 もちろん、
有利発行の場合と違って、
今回はご丁寧に記載ルールが入るなどするわけですが、
所詮は法務省令レベルでの話。

 以上からすると、
この場合の決議取消しリスクってのは、
そんなに大ごとにするような話じゃないんじゃない?、と。


●この他、
監査等委員会設置会社の記載についても、

「監査等委員会設置会社になれば、国際的には、『アメリカと同じ制度ですよ』といえばガバナンスの説明は済んでしまう」(前掲9頁)というあたりとか、

正直なところ、
個人的には「どうなのかな?」と思う箇所も複数あるんだが、
そこらあたりは「決死の覚悟はあるの?」というツボを参照のこと。


●まぁ、
余り言いすぎるとボロが出るので(笑)、
本日のツボはここまで。

 いずれにせよ、
どっかで読んだことある内容をまとめただけのとかよりは、
断然こういう論文の方が面白いし付加価値あるなぁ、と。
 私も、
向こう傷など気にせず、
こんな論文を書ければなぁ、と。


(2014年1月15日記)
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