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●第三者割当増資に関する難問について一言二言。


●上場会社のエクイティ・ファイナンスに避けて通れないのが、
SRS、すなわち有価証券届出書(Security Registration Statement)の提出ですね。

 「組織再編でSRS?」というM&Aのツボでも書きましたが、
SRSというと、本能的にか、とにかく、
「なんか面倒だなぁ」、と(笑)、
そう思われる方が少なくないようですが、
有価証券報告書を参照する方式が認められるようになってからは、
その事務負担が激減したのが実情だと思います。


●さてさて、そんなSRSに関連して、
実務上どうにも悩ましい問題が生じているのが、
上場会社の第三者割当増資の場合です。

 この場合、
SRSの効力発生よりも前に、もっと言えば、SRSの提出前から、
既にその割当先は確定しているのが通常です。

 そもそも、「第三者割当」という言葉それ自体からも明らかなとおり、
「公募」とは違って、既に割当先は決定しているんですよ。
 そのように決定しているからこそ、第三者割当増資の手続きを始めるんですね。

 もっと言えば、第三者割当増資って、M&A取引の一類型なんですよね。


●でも、です。
 
 金融商品取引法によると、
SRSの効力発生前においては、
そのSRSに係る第三者割当増資により発行される株式を、
当該割当先の第三者に取得させてはならないと、
実は、そう定められてるんですね。

 これ、何を意味しているか、わかりますかね?

 つまり、金融商品取引法を素直に読むとですね、
SRS提出後に最短でも中7日とってからでない限り、
当該割当先の第三者による株式の引き受けを法的に拘束できないことを意味するんですね。


●困るでしょ?これ。

 だって、先ほども述べたとおり、
第三者割当増資って、
SRSの効力発生よりも前に、もっと言えば、SRSの提出前から、
既にその割当先は確定しているのが通常なんですよ。
 そのように確定しているからこそ、第三者割当増資の手続きを始めるんです。

 そうであるのに、
金融商品取引法からすると、
SRS提出後に最短でも中7日とってからでない限り、
当該割当先の第三者を法的に拘束できない。

 それじゃぁ、
M&A取引の安全性が確保できないじゃないですか。
 SRSの効力発生日までは、いつでも逃げられちゃうってことでしょ?
 

●しかも、タチが悪いのが(笑)、
どうも金融商品取引法の前身である証券取引法の時代から、
停止条件付きの引受契約も禁止されているかのような解釈が一般的であること。
 
 ここで「停止条件付きの引受契約」とは何を言ってるかというと、
SRS提出後に最短でも中7日とってからでない限り、
当該割当先の第三者を法的に拘束できないと言うんであればね、
当該第三者との間での契約はSRSの効力発生前から締結しとくけど、
その契約の効力発生は、SRSの効力発生後としましょう、と、
つまり、SRS提出後に中7日とってからにしましょう、と、
そういうアレンジのことです。

 でも、そのようなアレンジについても、
SRSによる情報開示の意義を台無しにするのではないか?ということで、
どうも禁止されているかのように一般的には解釈されているみたいなんですね。


●こんな困った事態なんですが、
じゃぁ、実務はどう回っているかというと、
私の知る限りでは、事実上、
上記に述べたような「停止条件付きの引受契約」という解釈構成で、
各種案件を回してしまっているのが実情のようですね。

 こんなことが起こるのも、
そもそも、第三者割当増資の場面にまで、
SRSを中心とする募集規制がかけられていること、
そのこと自体がおかしいゆえなんですが、
法改正の気配は全く感じられませんね(笑)。


●本日のツボはここまで。

 まぁ、法改正って迷惑な側面もあるんですけどね(爆)。


(2008年2月10日記)
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