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●今日もマニアックに攻めていこうと思います(笑)。


●一口に「親子間」と言っても、
最近は、何を以って「親会社」または「子会社」というのか、
会社法上の「親会社」・「子会社」の定義が実質基準になってしまったので、
なかなか簡単には言い切れないところですが、
本日は、議決権基準で50%超を握っていることを前提しておきましょう。


●さて、そんな親子間における競争制限行為についてですね、
そもそも独禁違反という事態が生じるんでしょうか。

 ちなみに、ここで競争制限行為として念頭においているのは、
例えばカルテルや再販売価格の拘束などです。
 株式取得などの企業結合に関するものではないとしておきます。

 このような問題について、私の知る限りでは、
実務でも学説でも、実は余り詰めて考えられていないように思うんです。


●まず、公取の出してる各種ガイドライン、これらを俯瞰してみると、
私の知る限りでは、唯一、 いわゆる流通取引慣行ガイドラインだけが、
その一番最後に、おまけとして、この点についてサラッとだけ触れているんですね。
 で、それ以外には、どのガイドラインにも特に触れられていないんです。
 
 じゃぁ、その流通取引慣行ガイドラインに何と書いているのか?というと、
ザックリとまとめてみると、以下のようになります。
 
 ①100%関係にある親子間では、実質的に同一企業として一体であるとして、
  原則として、不公正な取引方法(再販売価格の拘束など)についての規制を受けない。

 ②50%超100%未満の関係にある親子間でも、
  以下のような事情を色々と考慮した結果として、
  実質的に同一企業として一体であると認められれば、
  原則として、不公正な取引方法についての規制を受けない。
  
  (a)親会社による子会社の株式所有の比率
  (b)親会社からの子会社に対する役員派遣の状況
  (c)子会社の財務や営業方針に対する親会社の関与の状況
  (d)親子会社間の取引関係(子会社の取引額に占める親会社との取引の割合等)
   
 ちなみに、流通取引慣行ガイドラインにおける上記の記載は、
再販売価格の拘束を始めとする不公正な取引方法に関してのものであって、
直接的にはカルテルなどを対象とするものではありません。
 ただ、おそらく、公取は、
カルテルなどについても同様の考え方を持っているのだと推測します。


●で、ここで問題だと私が思うのは、上記②のガイドラインです。

 上記①のように100%関係にある場合には、通常、
独禁はまず問題にならないと考えてよいでしょう。

 しかし、上記②のように50%超100%未満の関係にとどまる場合、
ホントに公取のいう上記(a)から(d)までの事情のみで、
実質的に同一企業として一体かどうかを判断していいのでしょうか。


●例えば、ある会社(P社)が、別の会社(C社)と親子の関係にあります、と、
具体的には、P社は、C社における議決権の67%超を既に握っている、と、
また、P社はC社役員の過半数を派遣している、と、
加えて、P社は、C社の財務についても役員を通して口出ししているし、
C社は、P社との取引、またはP社が紹介する取引先との取引に依存する割合が大きい、と、
そんな状況を想定するとします。

 で、このような状況では、
先ほどの流通取引慣行ガイドラインの記載からすると、
おそらく、P社とC社とは、実質的に同一企業として一体だ、と、
だからP社とC社との間で競争制限行為がされても、
あくまで独禁違反とはならない、と、
そのように判断される可能性がけっこう高いように思われるんですね。


●でも、ちょっと待ってください、
ホントにそれでいいんですか?、と。

 例えば、分かりやすい例でいうと、先ほどの例で、
C社が上場会社です、と、
P社以外にも、いわゆる少数株主がたくさんおられます、と、
そういう状況であれば、どうですか?

 これは十分にあり得るんですよ。
 特に東証では上場株式の流動性に関する上場廃止基準が最近ゆるめられたので、
より一層、起こりやすい状態となったといえます。

 このような状況では、
P社は、たとえ67%の議決権を握ってたとしても、
また、過半数の役員を送り込んでいたなどとしてもですね、
少数株主の利益に鑑みると、C社をP社の思い通りには動かせないんです。
 あくまでP社とC社との間の取引は、アームスレングスで行わなければならないはず。

 で、そうであればね、
先ほどの例であっても、
P社とC社が実質的に同一企業として一体だなんて、言えなくないですか?、と。

 
●これは何もC社が上場会社である場合だけではないですよ。
 C社が上場会社でなかったとしても、あくまで少数株主が残っており、
そのような少数株主が、何とでも好きにして、と(笑)、そう言わない限りは、
同じ問題が生じるんですね。

 だから、上記(a)から(d)までのような事情、
具体的には議決権比率の大きさや役員派遣状況などから、
親子間が実質的に同一企業として一体だと、
ホントにそう認められていいのか?、と。


●結局、何が言いたいかというと、
先ほどの流通取引慣行ガイドラインの記載は、
会社法上の議論に対する配慮が欠けているのではないか?、と。

 会社法上は、もちろん議論はありますけど、
やはり少数株主が残っている以上は、
親子間でもアームスレングスでの取引とすべきだ、と、
そういう考え方が強いはずなんですね。

 で、そういう考え方を前提とすると、
少数株主が残っている限りは、
また、そのような少数株主が「好きにして」と言わない限りは、
その親子が実質的に同一企業として一体とまでは言いにくいのではないか?、と。
 つまり、そこでの子会社はですね、
関連競争における独立した事業主体として、
まだ存在しているのではないか、と、
そう判断されてもやむを得ないように思うんですよね。


●本日のツボはここまで。
 いや、やっと一息つけました。後ちょっと・・・。


(2008年2月25日記)
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