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●なかなか止まりませんね、インサイダー取引。


●昨日も、またまた摘発があったようでして、
各種報道で、それなりに大きく取り上げられていたようですね。

 既に一般用語として定着した感のある、このインサイダー取引ですが、
最近のいくつかの摘発事例について、
一実務家の目からみた感想をザックリと言ってしまうと、

 「う~ん、そりゃアウトだろうなぁ~」、と(笑)。

 未だに結構プリミティブなものが多いような気がしますね。


●さてさて、そんなインサイダー取引との絡みも含めて、
本日のツボでお話したいと思ってるのは、
TOB期間中に重要事実っぽいのが発生した場合の対処方法です。
 
 このような場合の実務的な対処方法について、
まとめた形では余り論じられていないように思ったので。

 ちなみに、ここでいう「重要事実」とは、
上場会社に関してインサイダー取引規制の網がかけられてる事実としときます。
 つまり、それを一定のルートで知っちゃったら、原則論としては、
その上場会社に公表してもらわない限り、株取引できなくなるようなもの。


●まず、前提として確認しときたいのは、
TOB開始前に、重要事実っぽいものを知っちゃった場合の対処方法。

 例えば、今ですね、
ある会社(B社)が、他の上場会社(T社)の発行する株式に関して、
TOBをかけようとしてます、と、
で、B社は、そのTOBをかける前に、秘密保持契約とか基本合意書を巻いたうえで、
T社に対して買収監査をかけました、と、
そしたら、その買収監査の結果として、
未公表の重要事実っぽいもの(例えば環境問題らしきもの)を知っちゃいました、と。
 
 こういう場合に実務上よく起こるのが、

 T社:「それって公表する必要あるの?」
 B社:「いや、うちは重要事実に当たる可能性があると考えてるんで。」
 T社:「うちは、そう考えてないのでね。」
 B社:「それじゃぁ、この取引は進められませんよ!」
 T社:「ご要望に応じて、未公表の重要事実はないと、表明保証はするんですけど?」
 B社:「いや、刑事リスクだから、それじゃ足りないのでね!!」

 何で、こんな議論になっちゃうかと言うと、
TOBの場合は、インサイダー取引規制の抜け道をうまく使えないため、
B社は、先ほどの例のような形で、T社に関する未公表の重要事実を知っちゃったら、
その重要事実がT社によって公表されない限り、TOBをかけられなくなるからなんです。

 既にご存知の方も多いかと思いますが、
インサイダー取引規制においては、
たとえ未公表の重要事実を知っちゃったとしてもですね、
同じ重要事実を知っているインサイダーな人との間で取引するなら、
規制の網はかけませんよ、と、特別に抜け道を通してあげます、と、
そういう整理になってるんです。

 でも、TOBの場合は、不特定多数を相手方とするために、
上記のような抜け道を実務上うまく使えないんですね。


●さて、本題はこの先です。
 
 先ほどの例で、T社によって未公表の重要事実らしきものが公表されました、と、
で、B社は、T社の株式に関してTOBをめでたく開始しました、と、
まぁ、普通なら、ここでプチ打ち上げなどして、マッタリしておくところなんですが(笑)、
TOB開始から2、3週間ぐらい経った後に、
T社からB社へ、それぞれの財務アドバイザーを通して、一本の連絡がありました、と、
どうもT社において、重要事実っぽいのが発生したらしい、と。

 わかりますよね、TOB期間中に重要事実っぽいのが発生しちゃったという場面です。
 
 ちなみに確率的にいうと、これって、そんなに稀な場面でもないように思えるんですね。
 というのも、一昨年の12月にTOBルールが改正されて、
最短のTOB期間が営業日ベースで20日となったんですが、
この20営業日ってのは、けっこう長いですからね。


●で、まずはB社の対処方法から。

 こちらは結構シンプルですね。
 インサイダー取引規制の枠組みに沿って考えとけばよいんでしょう。
 
 この点、インサイダー取引規制によれば、
B社がTOB期間中に未公表の重要事実を知っちゃったとしてもですね、
その前から既にTOBは開始してたんだから、
それを知った後にTOB条件を変更したというのでない限り、
そのTOBに伴う取引は規制の網に引っ掛からない、と、
そういう整理になります。

 でも、例えば、対抗TOBがかかった場合などが典型的ですが、
B社は、TOB条件を変更できないということになると、
ちょっと身動きがとれなくなりますよね。
 まぁ、そんな極端な場合でなくてもですね、
市況の変化などを含めて、今のTOB条件を変更した方がよいかな、と、
仮にそう考えたとしても、自由に身動きが取れないというのでは、
やはり困るわけですよ。

 後、その重要事実っぽいのが、T社の株価を上げる可能性があるのなら、

 「あんた、知ってたのに黙ってたのか?」、と(笑)。

 そういうレピュテーションの問題も、そう簡単には無視できませんよね。

 だから、やっぱりT社に公表してもらうというオプションも持っていたい。
 ここは事前に契約で書き込めるなら、そうしておくべきでしょうね。
 もちろん、少なからず揉めるでしょうけど(笑)。


●次に、T社の対処方法です。

 一見するとですね、T社においては、
TOB期間中に発生した重要事実っぽいのを、
そのTOB期間中に率先して公表する必要はないようにも思われるんですね。

 だって、TOB期間中は、任意の自己株買いなんて通常やらないでしょうから、
T社がインサイダー取引規制を気にかける必要は余りないはず。

 もちろん、B社からの「公表しろ」という有言無言のプレッシャーはあるでしょうが(笑)、
契約で特に定めてないのであれば、B社から強制される謂われもないように思えます。
 また、そもそも、先ほどの例とは異なって、仮にB社に情報が伝わってないなら、
B社からの、そのようなプレッシャーすらもないわけですね。

 でも、です。
 ここで注意すべきなんだと思うのは、
T社として、インサイダー取引規制だけ気を付けとけば良いんじゃないでしょ?、と、
そういうことなんです。

 何が言いたいかというと、
TOBの開始時点か、それに近接する時点において、
T社は、何かTOBに関して、やってませんでしたか?、と。

 そう、意見表明です。当然やってますよね。
 一昨年の12月にTOBルールの改正があって以来、意見表明は義務ですから。
 この意見表明の中では、
TOBの条件、特にTOB価格が妥当かどうかという点についても、
通常は触れているはずなんです。
 
 で、そうであればね、
例えば、TOB期間中に重要事実っぽいのが発生しました、と、
で、その重要事実っぽいのがですね、
例えば株価を上げる方向に作用する可能性がある、と、
そういう場合、T社は、その事実をホントに公表しなくてよいんですか?、と。

 まず言えると思うのは、
その事実の発生によって、従前だした意見表明の結論を訂正する必要が生じた、と、
そう判断されるような場合には、
意見表明報告書の訂正報告書を出す際に、
やはり、その事実の公表が必要になってくるんでしょうね。
 別途、臨時報告書や適時開示をトリガーする可能性も高いのかもしれません。

 それから、
従前だした意見表明の結論を訂正する必要まではないだろう、と、
そう判断されるような場合であっても、
株価を上げる方向に作用する可能性があるんなら、その程度にもよりますが、
T社の株主に対して、TOBに応募するかどうかの判断材料の一つとさせるべく、
意見表明報告書の訂正(一部記載追加)という形で、
その事実に関する情報を提供する義務があるんだろうと思うんです。

 ちなみに、先ほどの例とは違って、
その重要事実っぽいのが株価を下げる方向に作用する可能性がある場合、
通常よくある賛同表明の場面では、意見表明の結論が変わるということはないのでしょう。
 ただ、上で述べたのと同じく、
その可能性の程度にもよりますが、
T社の株主に対して、TOBに応募するかどうかの判断材料の一つとさせるべく、
意見表明報告書の訂正(一部記載追加)という形で、
その事実に関する情報を提供する義務があるんだろうと思うんです。


●本日のツボはこれでおしまい。

 「リード・インベスターを超えられない?」というM&Aのツボでの編集後記に、
「次回は、最近も何かと話題のインサイダー取引に関するツボをお話する予定です」、と、
そんな調子のいいことを書いておきながら、随分と時間が経っちゃいましたね・・・。
 しかも、結構マニアックになっちゃったかも、、、すいません(笑)。


(2008年3月5日記)
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