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●硬直的な発想は禁物かと・・・。いわゆる「偽装請負」の話です。


●2006年の夏に始まった、某マスコミの一大キャンペーンを契機として、
一躍、「時代の寵児」(?)の如く、世間を騒がしたのが、
いわゆる「偽装請負」の問題。

 「名ばかり管理職」という用語とともに、
近時の労働問題を象徴する用語の一つと言ってよいでしょうかね。

 本日のツボでは、
このような「偽装請負」の問題に関して、
この期に及んで未だに各関係者の誤解が根深いと思われる、
基本的な問題に触れたいと思います。


●さて、この「偽装請負」の問題、
果たして何が「偽装」なのか?という点から、
やはり説明しなきゃならんのでしょうね。

 簡単に言えば、
本来的には「派遣」に当たるところを、
形式上、「請負」又は「業務委託」という形に整えて、
「派遣」にまつわる各種規制を免れる、と、
でも、実質上は、やはり「派遣」に該当してますね、脱法行為だよ、と。
 まぁ、そういう問題です。

 で、この「派遣」ってのは、
①派遣元と当該労働者の間に、労働契約がある、と、 
②派遣先(受入側)と当該労働者の間には、労働契約はないんだけど、
③派遣先(受入側)は、当該労働者を指揮命令してもいいんですよ、と。

 他方で、この「請負」又は「業務委託」ってのは、
①’請負人(or受託者)と当該労働者の間に、労働契約がある、と、
②’注文主と当該労働者の間には、労働契約はないんだから、
③’注文主は、当該労働者を指揮命令してはいけないんですよ、と。

 この両者の違いは③と③’のところですね、と。 

 でね、
「請負」又は「業務委託」の場合であっても、
実際は、やはり注文主は当該労働者を指揮命令してるんじゃないかい?、と。
 だから、それは「偽装請負」で、脱法行為だ、と。

 まぁ、一般的な説明は、こんなもんでしょう。
 非常に二項対立的でわかりやすいですね。


●で、何が言いたいか?というとね、
その「二項対立的でわかりやすい」という点に危うさがあるんじゃない?、と。

 そもそも、世の中って、そんな単純じゃないはずなんですよね。
 世の中の出来事って、基本的には「複雑系」で動いているはず。
 
 もっと言うとね、
「請負」又は「業務委託」の場合には、
注文主が当該労働者を指揮命令しちゃいけないなんてホントなの?、と。
 
 注文主が、
当該労働者の出してくる成果に利害関係あるのは当然であって、
それに口を出したくなるのは当然でしょうよ、
それなのに、「一切口を出すな!」なんて言う方がおかしいんじゃないの?、と。

 そういう素朴な疑問を、当然、抱くべきなんじゃないかなぁ、と。


●でね、
そういう素朴な疑問を抱きつつ法律を見てみると、
法律のどこのどこらへんにも、
「請負」又は「業務委託」の場合には、注文主は指揮命令しちゃダメなんて、
そんなこと、一言も書いてないはずなんですよね。

 むしろ、職安法とその施行規則に書いてある、
「労働者供給(派遣を含む。)」と「請負」の区別基準を読んでみると、
むしろ、「請負」の場合であっても、
注文主が当該労働者を指揮命令できる、と、
そういうことを前提にしている記述が現にあるんですよね。

 ちなみに、これは解釈じゃないですよ。現に、そう書いてあるんです。
 気になる方は、職安法4条6項と職安法施行規則4条1項を読んでみてください。


●で、そうすると問題はね、
要は、「程度」の問題なんですよ。
 
 つまり、注文主が当該労働者を指揮命令しているかどうか、
そういうような、いわば「All or Nothing」の問題ではなくて、
注文主が当該労働者をどの「程度」指揮命令しているのか、
その「程度」が、ホントに「請負」又は「業務委託」にふさわしいレベルにとどまっているのか?、
そういう点が問題なはずなんですよね。

 だからね、ホントに微妙な問題なんですよ。
 基本的には、白と黒の間に、奇麗なグレーのグラデーションが出来ちゃうような問題。 
 
 
●で、そういう視点からするとね、
厚労省等が出している行政解釈の問題点も見えてくるはずなんです。
  
 本日のツボで、そのような問題点を全て説明し切ることは、
当ブログの性格に反するので勘弁いただきたいのですが(笑)、 
私が最も問題だと思う点は、注文主による技術指導に関する行政解釈です。

 この点、厚労省は何と言っているかというと、
設備の導入当初や、「請負」又は「業務委託」の開始当初においてなされる、
注文主による当該労働者に対する技術指導については、
例え、それがなされても「派遣」とはみなさないよ、と、
そのようにだけ言ってるのです。
 言い換えれば、それ以外については何も言ってくれてないのです。

 何が言いたいかというとね、

 「余りに狭すぎるか、又は誤解を引き起こす記述じゃないですか?」

 先に述べたとおり、
「請負」又は「業務委託」であっても、
一定程度は当該労働者を指揮命令することは当然できるはずで、
それを法律も当然の前提としていたはず。
 
 特に技術指導については、
それが「請負」又は「業務委託」の成果に影響するなら、  
当然、注文主として行えて然るべきことでしょう。
 それを、何で、設備導入当初や請負開始当初に限定されなきゃならんのか?、と。
 特に、日々の業務過程において詳細な「手取り足取り」でなされるものは問題あるとしても、
設備導入後一定期間が経過したところなどで、
請負人又は業務受託者の責任者の立ち会いの下、
注文主が、当該労働者に対して技術指導を行うことは、
「請負」又は「業務委託」にふさわしいレベルの枠内に十分とどまっているはずでは?、と。

 何故、このようなことを、ちゃんと行政解釈で示してあげられないのかな?、と。

 特に、日本の製造業の大きな強みの一つは、
きめ細やかな「カイゼン」の部分にあるはずなんですよね。
 そのきめ細やかな「カイゼン」を、
「請負」や「業務委託」で行われる業務においても十分に実現できるようにしなければ、
もはや、製造業は日本から出ていくしか無くなるんじゃないでしょうか。

 そういう意味で、
「カイゼン」を禁止するか、少なくとも委縮させてしまう恐れのある上記行政解釈は、
「2009年問題」を前に、早急に改められるべきではないでしょうか。


●本日のツボは、これでおしまい。

 経産省さんにも
もっと、こういう問題について、企業側の立場から頑張って欲しいですね。


(2008年9月1日記)
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