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●分割を使う上場会社の企業再編に伴った、SRS提出義務について。


●かなり前になりますが、、、
組織再編でSRS?」というツボで、
金融商品取引法が出来たことにより、
合併などの組織再編に関して、SRS、
すなわち有価証券届出書(Security Registration Statement)の提出が、
一定の場合に義務付けられることになっちゃいました、と、
そういうお話をしましたね。

 本日は、
そんな組織再編に伴うSRS提出義務のうち、
分割を使う上場会社の企業再編に伴った、SRS提出義務について、
極めてテクニカルなツボをお話したいと思います。


●まずは前提として、
金融商品取引法の条文説明でもした方が良いんでしょうが、、、
ちょっと眠い議論なので飛ばします(笑)。

 ここではザックリと、
①分割をして一定の権利義務を他に承継させる側の会社(分割会社)が上場会社、
②その権利義務を承継する側の会社(承継会社又は新設会社)が非開示会社、
③当該分割に伴って総額1億円以上の株式が対価として出される、
この3つのポイントが満たされちゃうような場合には、
株式を出す側の会社(承継会社又は新設会社)にSRS提出義務が発生する、と、
まぁ、そのように押さえていただければよいと思います。

 ですので、
上場会社が、自らの事業の一部をね、
分割を使って、新会社その他の非開示会社に切り出すような企業再編を行う場合、
常に、このSRS提出義務が問題になり得る、と、
そう考えておかなければなりませんね。


●さて、
このようなSRS提出義務についてですが、
まずは何とか「SRS不要」という結論に持っていきたいですよね。

 そこで一つ考えられるのは、
上記③のポイントを何とかするということですね。
 ちなみにですが、
上場廃止とかは無理でしょうから、上記①の点は通常どうしようもないかと。
 また、
同じく上記②の点をスキームとして動かすことも通常は難しいし面倒でしょうね。

 で、上記③の点ですが、
要は、対価として総額1億円以上の株式が出ることが問題なわけです。
 なので、総額を1億円未満にできるなら、そうすべきでしょうし、
そうできないなら、対価として株式を出さなきゃいいわけですよね。

 とすると、まずは対価として金銭を出そうか?、と。
 ただ、これは税務上の問題があるよう。

 じゃぁ、いっそのこと、対価として何も出さなければ?
 つまり、企業再編なんだからね、
分割を行う前の段階において、事前準備としてね、
上場会社である分割会社が100%出資により「空箱」の会社(SPC)を設立しとく、と、
で、このSPCを承継会社にしちゃう、と、
んでもって、分割に際しては対価は一切出さないことにする。

 このスキームであれば、
上記③の点をかわすことができるので、
承継会社であるSPCにおいてSRS提出義務は発生しませんね。

 うん、
これで、めでたし、めでたし?


●さてさて、
上記のようなスキームの下でSRS提出義務を避けることも可能ですが、
どうも、このようなスキームは実務界で余り好まれてないようですね。

 その大きな理由の一つとしては、
上記のような吸収分割を使ったスキームでは、
新設分割の場合よりも税務リスクが高くなるとか、
そういう点にあるようですね。

 ということで、何とか新設分割を使いたい、と。

 でも、そうすると、
上記③の点を回避することは難しいですね。
 つまり、SRS提出義務はやむを得ない、と。

 ただね、このSRSってのは、特に上場企業にとっては、
従前も「組織再編でSRS?」というツボで述べたとおり、
そこまで心配するほど大した作業量ではないんですね。

 とするとね、
新設分割でイイじゃん、SRS出しゃイイんでしょ?、と。


●さてさてさて、、、
気をつけるべき問題は、この先。

 SRS、まぁ、それ自体を出すことは大したことない、と。

 ただね、
SRS、これを出しちゃうと、
その新設会社は、以降、開示会社になっちゃいますよ、と。
 つまりね、
有報と半報、これらを毎年出さないといけない会社になっちゃうんですねぇ。

 大変だし面倒でしょ?、これ。
 上場会社の100%子会社なのに、何故そんなの出す必要があるんだ?、と、
普通の感覚をお持ちの方なら、そう毒づくトコロですね(笑)。

 で、です。
 このうち、まず有報の提出義務については容易に回避可能、と。
 新設会社の最初の期末まで待って、
その期末における株主数が1名であることを理由に、
その期末から3ヵ月以内に開示免除の申請をすれば良いわけ。
 まぁ、普通は免除が下りますよ。
 これでね、
最初の事業年度に関する有報、
それから翌事業年度以降に関する有報と半報、
これらの提出義務はAll Clearできます。
 
 問題は、最初の事業年度に関する半報なんですね。

 半報ってのは、
新設会社の最初の事業年度の期間が6ヵ月超ある場合には、
その最初の事業年度から出さないといけないんです。
 
 だから、例えばね、
分割の効力発生日を、新設会社の第一又は第二四半期の初日とかに持ってきちゃうと、
最初の事業年度に関する半報の提出は通常避けられないんですね。
 先ほどのとおり、
開示免除の申請をするには、期末における株主の数字が必要なので、
最初の期末が来るまでは、開示免除の申請はできないのでね。

 ということで、気を付けるべきはね、
上記①から③までのポイントを満たす、新設分割を使った企業再編を行う場合には、 
分割の効力発生日を、新設会社における下半期の初日より前に持って来ないように、と。
 ここが大事ですね。

 ちなみに、以上の点に気をつけたとしても、
開示免除を受けるまでは、臨報の提出は必要です。。。


●本日のツボは、これでおしまい。

 ちなみにですが、
上記①から③までのポイントを満たすような、分割を利用した企業再編に関して、
そもそも、SRS提出義務を課すこと自体が、おかしいんじゃないの?
そんな議論が根強くありますね。

 私個人としては、
これも結構、スピード立法に伴った「悪法」かな?、と思ってまして、
先日の「お約束違反じゃないかな?」というツボにも一例として書こうとも思ったのですが、
金融庁は、一応、パブコメ回答で、色々と理屈を付けているようではありますね。
 ちょっと直ちには納得しがたい理屈のようではありますが・・・。


(2008年9月10日記)
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