上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

●いわゆる「2009年問題」への対応策を、あくまでザックリとね(笑)。


●最近、各種媒体で取り上げられることの多い「2009年問題」ですが、
もはや「待ったなし」の感があるにもかかわらず、
余り対応が進んでない企業さんも少なくないようですね。

 私自身、このテーマについては、
色々と文献等に当ったりもしてますが、
毎回、どうもね、何かモヤモヤ感が残ったままの状態で終わるんですよね。
 
 そのモヤモヤ感を敢えて一言で言うとね、

 「んー、その対応って何か非現実的じゃないかな?」、と。

 ということで、本日のツボでは、
「2009年問題」への対応策について、ザックリと述べたいと思います。


●まず最初に、前提として、
「2009年問題」についての説明をザックリとやっときましょうかね。

 既にご存じの方が殆どかと思いますが、
2007年の3月1日よりね、
それまで1年間に制限されていた製造派遣の期間が、
最長3年間まで延長できることになったのですね。

 これによって、
多くの製造派遣に関する期間が3年間に延長されたわけ、
で、その延長後の期間末日の殆どが、2009年2月末あたりに一斉に来ちゃう、と。

 で、その期間末日が来ちゃった後ね、
これまで派遣労働者によって賄ってた業務をどうやって回してくのかい?、と、
まぁ、ザックリと言うと、そういう問題ですね。
  

●さて、そんな「2009年問題」ですが、
その対応策として現実的に考えられるモノとしてはね、
ここもザックリと言ってしまうと、

 (a)請負
 (b)直接雇用

この2つぐらいかな、と。

 この他にも、
理論的には色々と考え得るモノはありますが(同一業務性をイジるとかね)、
まぁ、結局は「頭の体操」にすぎないと思うので、本日は省きます(笑)。


●で、まず、(a)請負について。

 世に出回っている文献等を見ると、
この請負という対応策を勧めてるモノが意外に多いようですね。

 ただね、
もう結論から言っちゃうと、
「2009年問題」を、請負という対応策で切り抜けるのは避けるべきでは?、と。

 というのもね、
先日、「All or Nothing?」というツボでも触れましたが、
請負に関しては、どうしても「偽装請負」という問題が付きまとうわけですよね。

 特に厚労省さんや労働局さんはね、
派遣と請負の区別に関して、発注者が指揮命令しているかどうか、という、
All or Nothingに極めて近い判断基準を未だに固持しているようなんです。
 このような硬直的な判断基準の下ではね、
現実の製造現場は、とても耐えられないと思うんですよね。
 もちろん、
「偽装請負」に該当しないために、
作業区域を分割したりとか、一応の方策はありますよ。
 でも、どうしてもね、
現実の製造現場における落とし込みを考えると、
少なくとも現在の厚労省さんとかのAll or Nothing的な判断基準で見る限り、
「偽装請負」と判断されてしまう可能性が相当高いように思うんですよね。
 特に従前は直接に指揮命令できていた状態(派遣)から、
そのような指揮命令できない状態(請負)に変えるわけですから、
これは相当にドラスティックな変更なんですよ。
 このような変更を実務に落とし込むのは、無理難題に近いのでは?、と。
 従前、複数の派遣会社から派遣を受けていた場合は、なおさらですね。

 これに加えてね、先ほども述べたとおり、
2009年2月末には、多くの製造現場で一斉に派遣可能期間が切れちゃうわけですよ。
 そういう中で、
自ら指揮命令して製造請負をこなせるような業者が、どれだけ存在するんだ?、と、
そこの点も、かなり疑問なんですよね。 
 ちなみに、従前、派遣をやってた会社がね、
2009年3月から製造請負をこなすことはほぼ不可能でしょう。
 だって、それまで製造業務の指揮命令なんて経験ないんだから。
 仮にやったとしたら、
少なくとも今の行政基準の下では、
それは殆ど「偽装請負」になっちゃうのでは?
 発注者の管理職を請負業者に出向させるのも、
今の行政基準の下では難しい議論が出てくるでしょうしね。

 以上のような理由で、
請負という対応策を採るとなるとね、
現実の製造現場における落とし込みを考えると、
後に行政さんに入られて非現実的な改善を求められて回らなくなったり、
または合同労組さんに入られて「黙示の労働契約が成立だ!」とか言われたりなど、
トラブルに発展する可能性が相当高いような気がするんですよね。

 ということでね、
多くの文献等に逆らうようで申し訳ないですが、
少なくとも現在の行政基準を前提とする限り、

 「請負で対応するのは、非現実的じゃないかな?」、と、

そう思うんですよね。


●では、(b)直接雇用はどうかな?、と。

 至極当然の話ですが、
この直接雇用なら、直接に指揮命令して全く問題ないわけですから、
派遣からの変更ということを考えても、(a)請負と違ってね、
実務への落とし込みにも無理がないと思うんですよね。
 こなせる業者が見つからない、という問題もないでしょう。

 ですので、やっぱ(b)直接雇用で行きたいなぁ、と。


●さて、
そんな(b)直接雇用についてですが、
まず押さえてもらいたいのは、
「直接雇用」って言ってもね、
直ちに「正社員」にしろって言ってるわけじゃないんです。
 別に期間雇用でも良いんですよ。
 もちろん、期間雇用で人が集まるかどうかという、
ビジネス上の問題は別にありますけどね。

 それから次、
2009年2月末を以って、派遣可能期間である3年間が経っちゃったとしても、
以後ね、全く派遣が使えなくなるわけじゃないよ、と。
 この点、厚労省さんの基準によると、
3ヶ月我慢すればね、また派遣が使えるようになる、と、
そのように読めますかね。
 一般に「クーリング期間」と呼ばれてるモノですね。

 とするとね、
まず思いつくのが、
2009年2月末で派遣可能期間が切れた後、
3か月の期間雇用という形で、直接雇用する、
その期間雇用が切れた後、また製造派遣を3年間受け入れる、と。
 だって、2回目の製造派遣の受け入れまでに、
クーリング期間である3か月は経ってますからね、と。

 でもね、
厚労省さんは、どうも、この対応策を快く思ってないようです(笑)。 
 先のように、3か月の期間雇用を挟んで、直ちに派遣に戻すような対応については、
今後、厳しく取り締まっていくような姿勢を示してるんですね。
 その理由としてはね、
先のような対応はクーリング期間の脱法的な利用だ、と、
そのように言ってるようです。

 とすると、直ちに「正社員」とするわけにもいかないだろうし、
やっぱ(b)直接雇用ではダメで、(a)請負しかないのでは?、と、
そういう議論が出てきそうな気もしなくはない(笑)。


●ただね、

 「いや、ちょっと待ってください!」、と。
 
 そもそも論としてね、
クーリング期間が3か月ってのは、
特に法律に根拠もない、厚労省さんの独自解釈なんですよね。

 法律上はね、ザックリと言うと、
「継続して」3年超、派遣を受け続けちゃダメ、と、
そう言ってるだけなんです。
 なのに厚労省さんはね、
1回目と2回目の派遣の間が3ヶ月未満しか空いてなければ、
「継続して」いるものとみなしちゃうよ、と、
法律の根拠もなく独自に解釈してるだけなんですよね。

 ここまでのトコロでも、
ちょっとオカシくないかな?、と思うんですが、
さらに今度は、ちゃんと3ヶ月置いたのにね、
それでもクーリングされない、ってのは、
どういうことなのかな?、と。

 正直なところ、
そのような厚労省さんの解釈には、
法的根拠を見出し難いように思うんですよねぇ。

 つまりね、
厚労省さんの採る、「クーリング期間の脱法だ」という議論って、
元々、そんなに強いモノじゃないはずなんですよね。

 とすると、
やっぱ、そんな簡単に(b)直接雇用という対応策を諦めるべきじゃないと思うんです。


●じゃぁ、「具体的にどうすんのよ?」という点ですが、
まず言えると思うのはね、

 「そうは言っても厚労省さんと真正面からケンカすべきじゃないよね」、と(笑)。

 厚労省さんのみならず、合同労組さんなども入ってくるかもしれませんので、
無用にトラブルを生じさせることは避けたいですよね。

 なのでね、
期間雇用を3ヶ月というような形で、クーリング期間とギリギリ一緒にはせずに、
その2倍、6ヶ月にしたらどうですか?、と。
 で、6ヶ月経過したら、原則としては再び製造派遣に戻す、と。

 というのもね、先に見たように、
元々、「脱法」っていう議論の法的根拠が、そんなに強くないんですから、
期間雇用がクーリング期間の2倍に設定されてる場合にまで、
厚労省さんらは、その議論でホントに対抗できるのかな?、と。

 もっと言うとね、この6ヶ月での期間雇用の下でなら、
厚労省さんらによって「脱法」とされる法的リスクの方が、
少なくとも、請負に切り替えたとして「偽装請負」とされる法的リスクに比べて、
相当に低いんじゃないかなぁ、という気がするんですよね。
 ちなみに、「偽装請負」に関する法的リスクについては、こちらへ。

 それに6ヶ月という期間ならね、
ギリギリ見通しも付き得るものですし、
いわゆる「解雇権濫用法理の類推適用」との関係でも特に怖いことはなく、
下手なことしない限りは、通常、期間の満了によって雇止めできるはずでしょうよ。

 もちろん、
期間雇用の6ヶ月が経過した後で、
全てをそのまま製造派遣に戻すのではなく、
一部の優秀な期間雇用社員については、
そのまま期間雇用を継続したり、正社員化したり、と、
そのような多様な途を確保してあげられるなら、
より一層、法的リスクは低くなっていくような気がします。
 ですので、
余裕があるなら、そのような途を確保して、
無用なトラブルが生じないようにしましょう。

 あ、後、
期間の設定をね、
「3ヶ月(特に問題児じゃなければ1回に限り更新予定)」、と、
そのように原則は実質6ヶ月の期間雇用なんだけど、
3ヶ月経ったところで問題児と認められた方とはサヨナラできるようにする、と、
そのような形に設定する方法も提唱されてるようですね。

 でも、これだとね、
やっぱ「脱法」という議論を盛り返させちゃうような気がして、
個人的には、避けた方が良いんでは?、と思います。
 そもそも、従前より派遣で直接に指揮命令していたのなら、
その労働者が問題児かどうかも事前に分かってるのが通常だと思うので、
そのような問題児は、そもそも直接雇用をしない、と、
そのような方針で行くべきかな、と。
 で、やはり期間はストレートに6ヶ月としておくべきだと思います。


●ちなみに、すぐ上のトコロとも少し関連しますが、
以上のような直接雇用による対応を図る際に、
①1回目の製造派遣、②直接雇用(3ヶ月~)、③2回目の製造派遣、
それぞれにおいて、対象となる労働者を変えておくべきだ、と、
そんな議論があるようですね。

 つまり、①ではAさん、②ではBさん、③ではCさんに来てもらいましょう、と。

 まぁ、ひょっとしたら、それが理想的なのかもしれません。
 でも、現実的に見て、それって可能ですか?、と。
 
 特に①と②について対象となる労働者を変えるとなると、
2009年3月1日までに、今の派遣労働者さんの数分を、
どっかで見つけて、来てもらわないといけないんですよ?
 まぁ、やれても極一部でしょうね。 

 とすると、実際上はね、
①と②では両方Aさん、と、そういう可能性が高いんでしょう。
 でも、これ自体は、別に問題とされる話ではないはずです。
 だって、派遣法上の直接雇用申込義務だって期間雇用の申込でいいんだから、
①1回目の製造派遣が終了した後に、その派遣労働者がね、
続けて②6ヶ月の期間雇用に入ること自体は、
特に責められるべき話じゃないでしょう。

 なので問題はね、
①と②と③で、ずっとAさんだ、と、
そういう形になると、如何にも派遣可能期間をネグってる感があるよね、と、
そういう点にあるはずなんです。 
 まぁ、やっぱ、これは避けるべきでしょうね。

 ただ、③2回目の製造派遣ってね、
通常は普通の派遣なんですよ、紹介予定派遣とかじゃなくてね。
 だから、元々、派遣先はね、
「Aさんをウチに派遣してね」とか、
「Aさんはウチに派遣しないでね」とか、
そういう派遣労働者の特定行為はしちゃいけないんですね。
 なので、
Aさんを派遣しないという点は、派遣元の責任で、ということになると思います。
 もっとも、
派遣先が「Aさんをウチに派遣しろ」とか言った場合には、
派遣先も一緒に責任を負うことになる可能性があると思いますが。
 

●本日のツボは、これでおしまい。

 誤解しないでもらいたいのは、
本日のツボは、あくまで「2009年問題」への対応策を論じたものだということです。
 長期的に見ればね、
やはり厚労省さんらの行政基準などを合理化した上で、
もっと請負を適法かつ適正に活用できる環境を整えるべきかと思いますよ。
 で、そのような環境が整えばね、
「2012年問題」は請負で乗り切ろう、と、
そういうことになるのかも。


(2008年9月16日記)
関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://bookaholiclawyer.blog18.fc2.com/tb.php/38-f89a27b2
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。