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●「2009年問題」への対応策に関する厚労省の新通達の読み方について。


●既にご存じかと思われますが、
先日、「対応策は決まったかな?」という労働のツボでも取り上げた、
いわゆる「2009年問題」への対応策に関して、
平成20年9月26日に、厚労省から新たな通達が出されましたね。
 「いわゆる『2009年問題』への対応について」と題するものです。 

 この新通達が出されたことを契機として、
労働法に携わる実務家の間で、
「2009年問題」への対応策に関し、
またもや議論百出といった感がありますね。。。

 まぁ、「民主的」という意味では、
皆さんで広く議論するのは大いに結構だと思うんですが、、
この問題に伴うタイム・リミットとの関係上、
いい加減、議論する段階は終わりにして、
腹を括って準備を進める段階に来てると思うんですよね。

 当ブログにも、少なからずお問い合わせが来ているようなので、
先日の「対応策は決まったかな?」という労働のツボに関するアップデート版として、
上記新通達の読み方について、少し書きつけておこうかと思います。


●さて、あくまでアップデート版という位置づけですから、
結論から先に言ってしまおうと思います。

 まず理解してもらいたいのは、
どの対応策についても、実務上、一定の法的リスクは避けられないということ。
 つまり、どの対応策の色も、実務的に見れば全てグレー。

 その上で、じゃぁ、どの対応策で行くべきなのか?、というと、
相対的にね、グレーの色が白に比較的近いもの、
すなわち、法的リスクが比較的低いものということで言えば、
やはり、先日の「対応策は決まったかな?」という労働のツボで書いたとおり、

 従前の派遣(Aさん) ⇒ 6ヶ月の直接雇用(Aさん) ⇒ 新たな派遣(Aさん以外)

この対応策ではないかな、と、
そう思ってます。

 ちなみに、先日も書いたとおり、
期間雇用の6ヶ月が経過した後で、
全てをそのまま製造派遣に戻すのではなく、
一部の優秀な期間雇用社員については、
そのまま期間雇用を継続したり、正社員化したり、と、
そのような多様な途を確保してあげられるなら、
より一層、法的リスクは低くなっていくような気がします。


●で、既にお聞き及びかと思いますが、
以上に述べたような対応策に関しては、
前述の厚労省の新通達を以って、
否定的に捉える実務家もいらっしゃるようです。

 ですが、私は、
実務的な観点から、そのような見解には同意しかねます。

 ということで、
以下では、厚労省の新通達の読み方から説明していきましょう。


●まず、注意してもらいたいのは、
この厚労省の新通達は、以下の2つを書き分けているという点。

 ①当該対応策が法違反となる場合
 ②当該対応策が直ちに法違反とはならないが、派遣法の趣旨に反する場合

 この2つを並べて、まず何が言いたいか、というと、
この上記②の場合には、あくまで、行政としても法違反は認め難いということ。


●じゃぁ、上記①の場合として、どのような場面が想定されているかというと、
以下のようなアレンジがですね、
派遣元と派遣先との間、又は派遣元と派遣労働者との間で、
事前に握られているような場合です。
 
 従前の派遣(Aさん) ⇒ 直接雇用(Aさん) ⇒ 新たな派遣(Aさん)

 ここでのポイントは、
従前の派遣が終了した後、
当該派遣の対象であった派遣労働者(Aさん)が、
クーリング期間を満たすために派遣先によって一定期間、直接雇用された後、
再び派遣元に戻って、派遣労働者という形で、当該派遣先に再度派遣される、と、
そのようなアレンジが、派遣先による直接雇用の段階で既に、
派遣元と派遣先との間、又は派遣元と派遣労働者との間で、
事前に握られているという点。

 これは言い換えればね、
新たな派遣の対象となる派遣労働者の方が、
従前の派遣、それから直接雇用の対象となる労働者(Aさん)と別の方であれば、
上記①の場合には該当しなくなるということですね。

 ちなみに、厚労省の新通達は、
上記①の場合、労働者供給業として職安法違反が問題になると言ってますね。
 この点も、少なからず議論があり得るかもしれませんが、
先日の「対応策は決まったかな?」という労働のツボで書いたとおり、
いずれにせよ、この新通達が出る前からね、
上記①のような場合、
特に、従前の派遣、直接雇用、新たな派遣のそれぞれでの対象者が全て同一の場合は、
クーリング期間の脱法的利用として、
少なくとも派遣法違反が問題となる可能性は、
複数の実務家から指摘されていたところですね。


●で、問題は、上記②の場合です。
 
 この上記②の場合として、厚労省が想定しているのは、
恒常的な業務について、特に事情の変化などもないのに、
派遣と直接雇用等を繰り返しているか、繰り返そうとする場面です。

 ここで言う「恒常的」とか「繰り返し」とかいう文言の解釈にもよりますが、
私が冒頭でお勧めした対応策も、この場面に該当する可能性は相当に高いわけですね。

 で、そのような場面については、

 「直ちに法違反とはならないが、労働者派遣法の趣旨から適切な対応を求める」、と。

 具体的に何をするかというと、

 「労働者派遣法の趣旨等を踏まえた適切な対応を求める助言を行う」、と。

 で、このような新通達の記述を以って、
私が冒頭でお勧めした対応策について、
否定的な見解を持たれる実務家が出てくる、と。


●さてさて、 
まず、ここで注意してもらいたいのはね、
最初にも指摘したとおり、
上記②の場面では、
あくまで、行政としても法違反は認め難いということなんですね。

 もっと具体的に言うと、
派遣法の理想としているトコロからはズレているよね、と、
法違反とまでは言いにくいんだけどね、と、
そういう場面というわけです。

 だからこそ、この新通達も、
上記①の場合には、「厳正に是正指導を行う」こととしてる一方で、
上記②の場合には、「適切な対応を求める助言を行う」こととするに留めてるわけ。

 もっと言ってしまうとね、この新通達は、上記②の場合について、
 
 「基本的には、クーリング期間経過後再度の労働者派遣の受入れを予定することなく、
  指揮命令が必要な場合は直接雇用に、
  指揮命令が必要でない場合は請負によることとすることとすべきものであること」、と、

あくまでも「べき論」を展開しているだけなんですね。

 つまり、何が言いたいかというと、
上記②の場合には、あくまで、行政としても法違反は認め難いわけですし、
むしろ、派遣法によれば、私のお勧めする対応策も許容されるように十分読めるわけでして、
「法律による行政」の観点からすると、行政としてホントは何もできないはず。
 もちろん、派遣法48条1項は広めに規定されてるので、
少なくとも「助言」ぐらいはできなくはないのかもしれないけど、
あくまで法的拘束力のない「助言」ですよね。

 私自身は、「法律による行政」の観点からして、
この新通達の内容それ自体が問題あり、と考えていますが、
その点を一旦、棚に上げるとしても、
上記のように読むことになると思います。

 で、そうするとね、
私が冒頭でお勧めした対応策(6ヶ月の直接雇用)には、
少なくとも対行政との関係でいうと、
事実上のやりとりの問題を除いて、
法的リスクというものではないはず。

 まぁ、行政が「助言」してくれるってなら、
とりあえず聞いてあげてもいいけど、
それに従う法的義務はないはず。

 ちなみに、この点は、
事実上のやりとりの問題を考えると、
弁護士をちゃんと間に立てるべきですよ。
 行政から睨まれる第一次的な対象は、弁護士にしとけ、ってこと。


●もちろん、
先日の「高裁リスク?」という諸々のツボでも述べたとおり、
派遣法の理想とするトコロと必ずしも整合しないという意味では、
民事上(not対行政)において、全く法的リスクがないということではない。

 でも、問題はね、  
他の対応策と比較した、その法的リスクの程度の問題なんですよ。
 
 この「2009年問題」に関連した一連の労働のツボ、つまり、
 「All or Nothing?
 「偽装の果てにあるもの?
 「対応策は決まったかな?
この3つのツボで詳細に述べたとおり、 
まず、請負という対応策については、
厚労省が現時点で採用する基準が非現実的すぎるので、
実務的には「偽装請負」と判断されて、各種トラブルに巻き込まれるリスクが相当に高い。
 また、単純に直接雇用(期間雇用を含む。)という対応策についても、
解雇権濫用法理(雇い止めに対する類推適用を含む。)の存在からして、
特にその解消の場面で大きな法的リスクが伴うわけです。
 
 なので、これら他の対応策に伴う法的リスクとの比較で言えば、
私が冒頭でお勧めした対応策(6ヶ月の直接雇用)に伴う法的リスクは、
実務的に耐えられる程度に、相当に低い方なはずだと思うんですよね。

 だからこそ、私は、
当該対応策を、実務的な観点からお勧めする次第。


●本日のツボは、これでおしまい。

 この「2009年問題」については、
「巧い対応策はない」と言い切ってアドバイスを終えてしまう論調も少なくないようですが、
それじゃぁ、実務は回せないわけでね。。。
 最後は、腹を括って対応するしかないと思うんですが、どうでしょう?


(2008年11月25日記)
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