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●えぇ、できましたね、一応は・・・(笑)。


●昨年の11月、長い長い議論を経て、ようやく労働契約法ができました。

 いつから実際に適用されるのかは、まだ決まってないようですが、
どうも今年の3月1日になりそうだという、もっぱらの噂です。


●で、問題は、この労働契約法が、
どのような実務上のインパクトを有するか、ということです。


●結論からズバリ言いましょう(笑)。

 この法律、私が見る限りでは、
使用者に対して、直ちには大きなインパクトを有さないんだろうなぁ、と。
そう思ってます。


●といいますのも、
既にご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、
この法律は、その制定過程、特に審議会レベルで、
激しい労使対立の中、文字どおり換骨奪胎されてしまったという経緯があるんですね。

 そもそも、この労働契約法の制定作業というのは、
労働契約に関する私法ルールをまとめあげようという非常に野心的な試みとともに、
2004年から、厚労省内の研究会で始められたんです。
 その研究会の名は、「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」!
 名前からして気合い入ってますよね(笑)。

 そこで1年と半年ぐらい議論がなされた後の2005年9月、
研究会から非常に大部な報告書が出されるのです。
 その報告書では、解雇の金銭解決を始めとする新たな立法提案とともに、  
これまでの判例法理を法律の形にまとめあげるという提案がなされていました。

 で、ここまでは、厚労省のほぼ予定どおり、順調だったんですね。
 問題は、その後、労働政策審議会での議論です。

 ここでは、労使の利害と思惑が真っ向から対立してしまい、
先ほどの研究会報告書は議論のたたき台ではない、とか、
こんな審議会には参加できないのでボイコットだ、とか、
それはそれは、もう、大いに盛り上がったわけです(笑)。
 
 そんなこんなで、2006年末ころ、ようやく労働政策審議会から報告書が出され、
労働契約法案の諮問・答申を経て、政府提出法案がまとめられるのですが、
結局は、判例法理のうち、労使双方に異議がない部分だけを
法律の内容にまとめあげるという方向で、
どうにかこうにか落ち着いたようなんですね。
 
 その後、2007年初めの通常国会では、年金問題などに押されて継続審議となり、
同年11月の臨時国会で、野党案の一部を取り込む形で修正した上、
ようやく労働契約法案が審議可決されたという次第です。


●そういう経緯でできた法律ですから、
直ちに大きなインパクトがあるとは考えにくいんですね(笑)。

 ただ、使用者側から見て、気をつけるべき点がないわけではないんです。


●まず、労働契約法第17条です。

 期間の定めのある労働契約について、
使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、
期間の途中で、労働者を解雇できない、
と明記されています。

 実は、ほぼ同じ内容が民法628条に定められているんですが、
労働契約法で敢えて明記することに、どのような意味があるのでしょうか。

 ひとつには、
民法628条の定めを労使の合意で変更できるのかどうか、
従前は少なからず争いがあったんですが、
それを解決したといえると思います。
 つまり、労使がいかに合意しようとも、期間途中の解雇は原則ダメですよ、と。

 次に、野党案の反映の結果でもありますが、
「やむを得ない事由がある」ことの立証責任が使用者側にあるんだ、と、
規定上も明確になったといえるのではないかと思います。


●その他、特に以下の規定ができたことについても、
一応、留意しておく必要はあると思います。

 (労働契約法4条2項)
  労働者及び使用者は、 
 労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、
 できる限り書面により確認するものとする。

 (労働契約法17条2項)
  使用者は、期間の定めのある労働契約について、
 その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、
 必要以上に短い期間を定めることにより、
 その労働契約を反復して更新することのないよう
 配慮しなければならない。

 これらの規定を使用者が守らなかったとしても、
何らかの法的効果が直ちに生じるとは考えにくいのですが、
4条2項の違反であれば、労働契約の内容の解釈に関して、
17条2項の違反であれば、いわゆる雇い止めの制限法理に関して、
使用者側に不利な影響が出てくる可能性を否定できないように思えるんですね。

 まぁ、労働契約法の制定前からでも、
同じように考えられていたのでは?という話もあるかもしれませんが、
やはり法律に明記されたということは、簡単に無視できないように思います。


●それから、将来的に何らかのインパクトを持ちうるかもしれないということで、
私が個人的に気になっているのが、労働契約法3条2項です。

 (労働契約法3条2項)
  労働契約は、労働者及び使用者が、
 就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

 この規定についても、これを使用者が守らなかったからといって
何らかの法的効果が直ちに生じるとは考えにくいように思われます。

 ただ、また別の機会に詳しく述べようかとは思いますが、
私が気になっているのは、
パート労働法の適用がないとされる、
正社員と同じ就労時間で、場合によっては同じ業務にも従事している「疑似パート」の方、
このような方に関してです。

 このような「疑似パート」の方と正社員の方との間で待遇格差があった場合に、
そのような格差が違法で無効なんだという主張の理由づけのひとつとして、
労働契約法3条2項が持ち出される可能性はあるのではないかな、と、
そして、場合によっては、それを無碍には排斥できないのではないかな、と。

 現時点では、そのように感じてます。
 なので今後の動向には少し注意を払う必要があると思ってます。


●本日のツボはこれでおしまい。
 う~ん、最近は新しい法律が目白押しで大変ですね・・・(笑)。


(2008年1月5日記)
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