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●ご無沙汰のツボは、リニエンシーについて最低限押さえておきたいことをいくつか。


●改めて説明不要かもしれませんが、
独禁法上のリニーエンシー制度(課徴金減免制度)とは、
価格カルテルを代表とする「不当な取引制限」などに対する課徴金を、
違反事業者からの一定の自主申告を条件に免除・軽減するという制度ですね。

 今からもう約5年前の2006年1月から導入された制度ですが、
立法過程では日本的な風土に合わない等と言われ、
その活用が疑問視される雰囲気も一部でありましたが、
蓋を開けてみれば、一部のカルテル等を除いて、実際、かなり申請がなされました。
 ただ、最近は、少し申請件数が落ち着き気味の感はありますかね。

 そんなリニーエンシー制度ですが、
特に申請経験のない企業法務担当者の方とお話をしていると、
最低限押さえておかないといけない点が未だに共通認識となっていない感があるなぁ、と。
 
 そういうわけで、
本日のツボは、リニーエンシー制度で最低限押さえておきたい点のうち、いくつかを。
 ちなみに、制度概要の説明は、公取さんのHPにお任せしますので、そちらを。


●で、一つ目。

 それは、調査開始前の申請か後の申請かを問わず、

 「まずとにかく報告書を出す、資料は後からでOK!」ってこと。

 これはリニーエンシーの実務に携わっている人間からすると至極当然のことですが、
意外に浸透していないというか、理解されていないことなんですかね。
 
 言うまでもなく、リニーエンシーは「早い者勝ち」なのです。
 その順番は、所定の「報告書」(not「資料」)のFAX到着順なんです。
 「資料」は、所定の「報告書」を出した後で、一定期間内に作成・提出すれば足りるんです。

 なのに、まずは「資料」を丹念に…、などとやってたら、
すぐに課徴金の減免を受けられる枠は埋まっちゃいますよぉ。

 特に調査開始後の申請の場合には、
通常、関係する違反事業者さんは皆さん、早朝に立入調査を受けてるはずで、 
その立入調査の当日中に、リニーエンシー申請が一斉に検討・実行されることになります。
 法律上は、調査開始後の申請は調査開始から20営業日以内に、とか規定してますが、
実際は、大体、当日の夕方前くらいには、枠が全部埋まっちゃう感じですからね。
 そもそも、このようなタイムスパンの中で、
関係者の供述調書を含めた「資料」の準備なんて無理ですし、求められてもないんですよ。
 
 ちなみに、調査開始後の申請の場合には、
公取に事前相談してる時間も勿体ない場合がありますね。
 この場合に敢えて事前相談するかどうかという点については、
減免枠(仮順位)が既に埋まってる場合でも申請するかどうかという問題と表裏一体ですが、
実際に違反してるということが明らかなら、
仮順位の繰り上げの可能性や、排除措置命令の回避の可能性などもあるので、
やはり申請しておいた方がいいのでは?、という感覚ではあります。
 まぁ、あくまでケースバイケースですし、弁護士さんによって考え方は分かれるかも。

 
●はい、で、次。

 リニーエンシー申請ってのは、いうまでもなく、手続きなんです。
 このような法的な手続きをする時の留意点というのを押さえときましょうね。

 それは、 
 
 「どちらの手続きで行くか本気で迷ったら後で修正できる方をまず検討」ってこと。

 典型例は、平成21年改正で入ったグループ企業による共同申請の場面。
 
 グループ企業が一定の要件を満たすことを前提に共同申請をすると、
その共同申請者が全て同じ順位で扱われます。
 例えば、同じグループ企業に属するAとBがいるとします。
 調査開始前にAとBが1位で共同申請できたとすると、
AとBの両者ともが、1位申請者として課徴金を全額免除されますね。   

 で、この場合に問題なのは、
そこで共同申請する企業が、本当に共同申請の面倒くさい要件を全て満たしているのか、
必ずしも良く分からない場合があるってこと。

 その場合の判断に当たって念頭におくべきことは、以下の点。

 ・共同申請した後で、共同申請者の一部が申請を取り下げることは可能
  (Bが共同申請を取り下げることで、Aの単独申請(順位は1位のまま)に切り替え可能)
 ・単独申請した後で、共同申請に切り替えることは不可能
  (Aが1位で単独申請した後で、当該単独申請を共同申請に切り替えは不可能)

 分かりますかね?
 この場合に、本当に迷ったら、時間がない中で、まずは共同申請しておく。
 その後で共同申請の要件を満たさないことが判明したら直ぐに、
まずは、その共同申請を、より想定課徴金の高い方の単独申請に切替えた上で、
共同申請を取下げた方は別途、単独申請を行って、出来るだけ良い順位を確保、と。

 もちろん、調査開始後になると、
先に述べたような厳しい時間的制約があるわけなので、
常に巧くワークするわけではないのですけど、
発想としては常に持っておくべき点かと。
 
 ちなみに、以上のような場面以外にも、
リニーエンシーのような手続きの問題については、
色々と実務上の工夫の余地がありますねぇ。
 経験はもちろんのこと、発想力が試されます。
 後、そのような工夫を凝らす際には、
あくまで最高の結果を追求するのか、それとも最悪の結果の回避に重点を置くのか、という、
なかなか難しいジレンマもあります。
 私は、どちらかというと後者のスタンスですが、考え方は分かれ得るところですね。


●最後に3つ目。

 これも言うまでもないかもしれませんが、
国際的色彩のある事件、特に米国やEUが絡んでる事件であれば、

 「自分が今いる国が日本であることを一旦忘れましょう」(笑)。

 何が言いたいかというと、
個別国における最適の対応が、全体最適につながるとは限らないということですね。

 特に米国の場合は、容赦なく刑務所にぶち込まれ得る刑事罰のほか、
民事訴訟による損害賠償金額が洒落にならん可能性があります。
 そのような民事的制裁を可及的に抑え込むために、
ディスカバリー対策などを行わないといけないわけで、
日本で取るべき手続きすらも変わってきます。
 具体的には、一部を書面報告から口頭報告に変えるとかですが、
その口頭報告ですら、少しやり方を間違えちゃうと
ディスカバリー対策上不適切になる可能性すらもあるので、
やはり米国弁護士との緊密な連携の下に手続きを進めていかなきゃならんのです。

 日本の弁護士からすると、もちろん忸怩たるものがないわけではないのですが、
実際上、国際カルテルのような場合には、
全体最適を踏まえつつ、やはり一番制裁が厳しくなりそうな国の弁護士の主導の下で、
事件対応を組み立てていかないといけませんね。
 

●本日のツボは、このぐらいで。

 えぇ~と、決してブログ閉鎖したわけじゃありませんよ!
 ただ、はい、日々の業務と営業活動と自分の甘えとそれから…、
まぁ、色々な要素のために、ちょっとだけ(?)時間が空いてしまいました。
 
 ちなみに、企業結合の事前相談制度を廃止するというニュースが最近出てましたね。
 まだ詳しく内容見てませんが、
・かえって時間かからないかな?
・使いにくくならないかな?
・従前やってた「事前相談の事前相談」的なものまでシャットアウトされちゃうのかな?
等など、色々と疑問は絶えませんね。
 追って、本ブログでも取り上げる予定です。


(2011年3月7日記)
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