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●「総会祭り」、始めました。


●いやはや、
今年も近づいてまいりましたね、
定総(定時株主総会)の集中シーズンが…。

 先週ですか、
法務省さんからは先日の地震に絡めて定総に関する一定の発表がされてますが、
まぁ、余り役に立たないので敢えてチェックの必要もない内容かと思います。
 現時点では、
特に3末決算の上場会社さんは、
例年どおり、6末の定総に向けて淡々と準備をしていくしかないですね。

 本年は、
幸いにしてか、大きな法改正対応がありませんので、
こういう時にこそ、
ゆっくりと落ち着いて基本に立ち返り、
普段駆け足で通り過ぎてる実務をブラッシュアップすることが肝要かと。
 
 そういう意味で、
旬のものを新鮮なうちに取り上げるのが苦手な本ブログでも(苦)、
ホットな季節ネタとしての定総モノを連続で取り上げることにします!

 名付けて「総会祭り」、始めます!!
 
 手始めとなる本日のツボは、
頻出論点を多数抱える取締役選任議案について。


●さて、いきなり何ですが、
最近の会社法にまつわる最も重要なキーワードを一つ挙げろと言われると、
皆さんは何を挙げますかね?

 私はこれです。

 「利益相反」

 まぁ、「いまさら?」という感もなくはないですが、
近時問題になっている様々な会社法の問題を突き詰めていくと、
少なからず、この問題にぶち当たるかと。
 MBOの問題然り、親子上場の問題然り、独立役員の問題然り、と。

 利益相反問題ってのは、
取締役の側から見たときにも怖いものなんですよね。
 取締役のプロテクションとしての「経営判断の原則」ってのも、
法令違反が絡む場合はもちろんのこと、
利益相反問題が絡む場合も機能しないと言われていますしね。
 
 近時、
取締役会の権限・裁量が拡大するにつれ、
定総への付議議案は減少傾向と言われていますが、
このような傾向に対応してか、
特に機関投資家やその議決権行使アドバイザー(ISSなど)においては、
取締役の選任議案や報酬議案の内容を重視するようになってきてると言われてます。
 その中でも、
特に取締役の独立性をはじめとする利益相反の問題については、
かなりセンシティブになってきていますね。
 
 当日対応はもちろんのこと、
その前提となる役員選任議案に関連する書類の作成においても、
最も細心の注意を払うべきは、この利益相反問題に関連する部分です。
 ここを間違うと、下手すると決議取消しにもなりかねません。

 
●このような利益相反問題については、
取締役選任議案の参考書類において、
会社法により色々と記載が要求されているわけですが、
実務において一番その記載に悩みが生じやすいのは、
「会社との特別の利害関係」に関する記載部分ですかね。

 もちろん、何も指針がないわけではないのです。
 多くの上場会社さんが準拠している全株懇モデルの補足説明によれば、

 「職務執行に影響を及ぼす恐れのある重要な事実を記載すると考えられる」
 「たとえば、競業会社の役員であるとか、
  会社との間に重要な取引関係・貸借関係・係争等があることなど」   

 そのような事実があるなら記載せよと説明されておりますね。
 非常に参考になると思います。

 ただ、残念ながら、
この説明だけで実務上の悩みが全て解決するわけではないのですね。


●まず一つ言えることは、
「競業会社の役員」という事実が本当にあるのであれば、
原則、これを洩らさずに書かないといけませんね。

 しかし、まぁ、言うまでもないですが、
そのような事実が本当にあるのであれば、
そもそも、取締役候補者とすべきかどうかという根本に立ち返るべきでしょうね。

 前述のとおり、
最近は特に利益相反問題について、
株主さんがセンシティブになってきてますからね。


●で、次。

 よく問題となるのは、

 「うちと重要な取引・貸借関係がある会社の役員をやってたら全部書くの?」、と。

 まぁ、一つの保守的な案として考えられなくはないのは、
その会社の役員をやってることが同じ参考書類の「重要な兼職」として記載されるなら、
やっぱり書いておいた方が安全かな?というもの。
 
 確かにそのようにしておくのが安心だとは思うけど、
実際は、必ずしもそこまでしなくてもいいのではないかなぁ、と。

 そもそも、「重要な兼職」かどうかの判断にあたっては、
利益相反の要素だけが問題になるのではなくて、
貴重な時間を兼職先にとられて職務専念できないかも?というような別の要素もあるしね。

 あと例えば、他の会社の社外役員をやってる場合であっても、
その会社がうちと重要な取引・貸借関係があるというだけで、
「会社との特別の利害関係あり」とまで言うのは、
利益相反取引の取締役会承認に関する議論との比較からいっても、
ちょっとバランスが悪いなぁ、という気がします。

 私が実際にどうアドバイスしているかというと、
あくまで世間相場を見据えつつという条件付きでありますが、
他の会社の代表取締役とかそれに準ずる地位(創業者とか黒幕?とか)にある場合に限り、
その会社がうちと重要な取引・貸借関係があることを記載する、と。

 ちなみに、
そこでいう「重要な取引関係」ってのは、
「関係」という言葉からも明らかなとおり、一定の継続性があることが前提という理解です。
 例えば、株式譲渡取引などの単発の取引モノがあっただけなら、
原則としては敢えて記載する必要はないかなぁ、と。

 ただし、
以上のような「取引関係」や「貸借関係」と違って、
うちと「重要な係争等」がある会社の場合には、
たとえ、その会社の社外役員などにすぎないとしても、
その係争等に関する情報漏れの問題があるので、
「特別の利害関係」として記載すべきであって、
さらに言えば、そもそも論として、取締役候補者としての適格性を疑うべきでしょう。


●で、今述べた問題とも連続性を有し得る次の問題。

 これもよく聞かれるのですが、
全株懇モデルの説明に記載されていない「関係」について。

 何かというと、「資本関係」。

 つまり、

 「うちと資本関係のある他の会社の役員をやってる場合はどうするの?」、と。

 この点、
敢えて株懇モデルの説明に記載されていないのだから一切記載不要か?というと、
そのような直截的な反対解釈には直ちには賛成できないですかね。

 そもそも論として、「特別の利害関係」という広い網がかかっているわけでして、
資本関係のある会社の役員に対しては、株主として影響力を及ぼし得るわけですから、
取引関係や貸借関係があるときと似た利害関係が生じる可能性があり、
やはり、これを全て記載対象から除外とは直ちに断定しにくい、と。

 ただ、ここで認識していただきたいのは、
「資本関係」と一口に言っても、
その内容には色々あるし、その意味も文脈に応じて異なることなんですよね。

 まず、子会社の場合には、
実務上、特に何も記載してないのが多いのではないかな。
 確かに子会社の場合には、
取締役の選任権を握ってるのが通常なので、
株主としての影響力はもちろん強いわけですが、
他方で、親子関係において役員を兼任するというのは日常的によくあることで、
これを「特別」の利害関係として取り上げるのは何とも違和感あることが理由かと。

 他方で、子会社未満の会社の場合には、
まずもって持株比率の内容も様々だし、
その意味も他の株主の持株状況などの文脈に応じて様々。
 筆頭株主や主要株主かどうかというだけで割り切れるわけでもない。
 それを一々個別に判断していくのは面倒だし、
そうであるなら、せめて「株式を保有している」と一言書いておけば?、と。
 ただ、取引関係等との比較からしても、実際の取締役候補者の決まり方からしても、
単に「役員」をしてる場合ではなく「代表者・準代表者」をしてる場合に限定でいいかな、と。
 後、持株比率をそれぞれ明示できればベターだけど、
非上場の会社とかだと正確に調査するのが面倒な場合もあるし、
今の相場観からすると、持株比率を書かなくても、まぁ、まだ許されそうですかね。

 ちなみに、
さきほど述べた「取引・貸借関係」がある会社が資本関係もある場合については、
少なくとも子会社の場合は、敢えて「取引・貸借関係」も記載しなくていいという感覚。
 後、「競業会社」が子会社の場合も同様の感覚ですね。
 どちらも「特別」の利害関係とまで判断する必要はないと思われるから。
 もちろん、それらを記載してる例もありますけどね。

 以上とは逆方向の資本関係として、
親会社の役員を兼任してる場合はどうか?というと、
これは広く拾っておいた方が良いかなという感覚です。

 なお、
以上の議論は、あくまで「特別の利害関係」の有無を問題としてますので、
独立役員(一般株主と利益相反の生じるおそれのない役員)への該当性の議論とは、
その対象を異にしていることを一応念頭に置いておかれた方が良いと思います。


●蛇足ですが、
取締役候補者が社外出身の場合には、
参考書類の作成にあたって、何点か照会書を送付して確認する必要がありますので、
その点は早めに手配しておきましょうね。

 後、
ISSの議決権行使基準が変更になってますよね。
 親会社がいる場合のみならず、
支配株主がいる場合であっても、
ISS基準での独立社外取締役が2名確保してないと、
経営トップの取締役選任に反対されちゃいます、と。


●本日のツボはここまで。

 本日述べた実務の内容は、
利益相反問題に対する株主・投資家の目が厳しくなってきてる中で、
今後、大きく変わっていく可能性も相当ありますので、
とにもかくにも日本人らしく(笑)世間相場にはご注意を。

 後、
開示全般に関して、
半分は真実?」というM&Aのツボも参照されてください。
 ホントに悩んだ時には、
そこに書いてあるような抽象的な指針が役立つことが結構ありますので。


(2011年3月28日記)
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