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●まだまだ続く、「総会祭り」。


●2008年のリーマン・ショックを契機として、
特に外国の投資ファンドさんの活動が停滞しているようですが、
その煽りを受けてか、
株主提案権の行使もさほど活発ではありませんね。

 ただ、
そのように行使される可能性は低いとは言っても、
総会担当者としては、
この株主提案権への対応の仕方というのを、
予めしっかりと固めておかなければなりません。
 一応、
5月の頭ころまでは、
可能性としては残ってるわけですからね。

 後、
株主提案権への対応の全体像が頭に入っていれば、
総会当日の動議対応もスムーズに理解できますね。
 
 で、実務上、
このような株主提案がなされやすいのは、
剰余金配当と取締役選任、
この2つなんですね。
 ただ、取締役選任の提案ってのは、
候補者を見つけてこないといけないのですよね。
 なので、
単にエイヤで金額を言えば足りる剰余金配当の提案よりは
株主からみた場合のハードルは高い、と。
 
 そういう状況を踏まえて、本日のツボでは、
剰余金配当に関する議題・議案の一般的説明は簡単なので省くとして、
これに関する株主提案への対応について、
何点か確認しておきたいと思います。
   

●まず手始めの確認として、
株主総会に剰余金配当の決定権限があるかどうかの確認。

 取締役の任期が1年とか一定の要件を満たした会社は、
定款の定めにより、株主総会から剰余金配当の決定権限を奪うことが可能です。
 この場合、
剰余金配当の決定権限は、取締役会に移ります。

 このような特別の定款の定めがある場合には、
そもそも、剰余金配当に関する株主提案は不可能となります。
 だって、そもそも、
株主総会に剰余金配当の決定権限がないだから、
議題・議案を提案されたとしても、どうしてあげようもないのですよね。

 ただ、
このように株主総会から剰余金配当の決定権限を奪ってる会社というのは、
昨年の株主総会白書を見ても、かなり少数派ですね。
 ちなみに、
先ほど述べた一定の要件を満たした会社というのは、
株主総会の有する剰余金配当の決定権限を維持しつつ、
取締役会にも当該決定権限を付与することも可能です。
 ただ、
このような仕組みを採用している会社も、やはり少数派のようです。

 このように少数派に留まっている理由の一つとしては、
ISSが上記のような仕組みを採用するための定款変更について、
反対の意思を表明していることが挙げられるかもしれません。
 後、より大きなものとしては、
定総の決議を経ている限り、
その配当があった事業年度において最終的に欠損が生じても、
取締役が欠損填補責任を負わなくて済むという点が挙げられますかね。


●で、そろそろ本題に入ります。

 例えば、
会社提案が10円の配当とします。
 その場合に、
株主提案として20円の配当というものが出てきました、と。

 で、こういう場合に問題となるのは、
その株主提案が具体的に意図するところなんですよね。

 教科書的に言うと、
この場合においては、3つの可能性がある。

 ①会社提案の10円に加えて20円を更に欲しい(合計30円)
 ②会社提案の10円に加えて10円を更に欲しい(合計20円)
 ③会社提案の10円ではなく20円が欲しい(合計20円)

 で、
当然ですが、
会社としてまず最初にやらないといけないのは、
提案を行った株主が具体的に上記3つの何れを意図しているのか、
これを確認しないといけないわけですね。

 ただ、
これを確認する前提として、
会社としても、当然、上記3つの違いを押さえとかなければいけません。

 上記3つのうち、
上記①と②の違いは明らかですよね。
 合計金額が異なってくるわけです。

 他方で、
上記②と③の違いには留意が必要ですね。
 合計金額は一緒なのですが、
上記③の方が株主に不利となるリスクがある。

 つまり、
上記②の場合には、
各株主さんは、
会社提案と株主提案の双方それぞれに、
賛否の意思を表明することができます。
 これが何を意味するかというと
会社提案が通るかと株主提案が通るかは全く別個の問題でして、
両方に賛成、両方に反対、片方に賛成で片方に反対でも全く問題なし。
 ちなみに、
同じことは上記①の場合にも言えます。
 
 でも、
上記③の場合には、
各株主さんは、
会社提案と株主提案の何れか一方にしか、
賛成と言えないのが原則なんですよね。
 この場合、
特に両方に賛成としてしまったら無効票と扱うのが通常。
 そのため、
上記②の場合と比べて上記③の場合には、
そのような無効票リスクがあるがゆえに、
会社提案と株主提案のどちらも可決されないリスクが高まる、と。
 加えて、
そのような無効票のリスクを捨て置いたとしても、
会社提案と株主提案のそれぞれに賛成票が分散することで、
会社提案と株主提案の合計だと決議に必要な賛成票が集まってるのに、
それぞれを見ると、必要な賛成票が集まっていないということで、
やはり、どちらの提案も可決されないリスクが高まる。
 そうなるとどうなっちゃうかというと、
当然ですが、会社提案よりも低い配当、つまり0円になってしまう。

 この点、
通常の提案株主の意図としては、
最低でも、会社提案の金額(ここでは10円)というのは欲しい、
でも、それ以上に上積みが欲しいという趣旨なのではないか、と。
 なのに、
上記③の場合になると、
自らの提案によって、無効票や票分散のリスクを惹起し、
その結果、最低ラインの配当すらも危うくしてしまう可能性がある、と。

 「提案したら却って不利?」、と、

そのような結論にもなりかねないのですよね。

 なので、
教科書的な説明としては、
上記のとおり3つの可能性があるのですが、
提案株主さんが相当にエキセントリックでこだわるような場合を除き、
株主さんの提案意図としては、実務上、
上記①か②の何れかに絞られるだろうと考えておいてよいと思います。
 つまり、
会社提案の金額(ここでは10円)は少なくとも欲しいということを前提に、
その上積みとして、
株主提案との差額の10円を求めるのか、
株主提案に記載した全額の20円を求めるのか。
 会社としては、
この二者択一で考えておけば足りる、と。

 で、
提案株主さんに、
その提案意図を明確に確認できる場合には一見落着ですが、
それが難しい場合というのも実務上はあるんですよねぇ。。
 その場合には、
株主提案の段階(総会の8週間前まで)では通常、会社提案の内容は不明だし、
合計金額が一番大きくなるということを考え合わせて、
上記①で進めるのが無難ですかね。
 いずれにせよ、
事前に提案株主には、 
上記①の意図という前提で行くけど文句あるなら●日までにお願い、と、
そのような確認レターを送付しておくのが良いかと。

 ちなみに、
上記①と②の場合には、
株主提案と会社提案のそれぞれについて、
普通決議が通ってるかどうかを淡々と確認すればよく、簡単。
 他方で、
上記③の場合には、
上記のとおり、無効票の有無を確認したりしないといけないので、
事務としても面倒なんですよね。
 そういう意味で、
会社の立場としても、上記③はなるべく避けた方が良いかと。


●以上に述べたことは、
あくまで総会の8週間前までに株主提案権の行使があった場合の話。

 では、
総会当日に同じような動議が出た場合はどうなるのか?
 つまり、
株主から20円配当の動議が出ちゃいました、と。

 この場合はですね、
可能性として1つしかないのです。
 どれかというと上記③の可能性。

 小難しことを言うと、
上記①と②の場合というのは、
会社提案としての「剰余金の配当」という議題(議案は10円配当)とは別に、
株主提案としての「剰余金の配当」という議題(議案は20円or10円配当)を追加するもの。
 なので、
各株主は、それぞれの議題について別個に賛否を表明できるんですね。

 他方で、
上記③の場合というのは、
会社提案としての「剰余金の配当」という議題の下で、
会社提案の議案(10円配当)を20円配当の議案に修正しようとするもの。
 なので、
各株主としては、議題は一つなので、どちらか一つにしか賛成できない、と。

 で、
当日の動議というのは、
議題追加はできないのです。
 当日、
勝手に議題が追加されちゃうと、
書面投票株主や欠席株主などの予測可能性を奪うことになりますので。
 あくまでも、
既に建てられてる議題の下で、
修正議案を提案できるだけなんですね。
 もちろん、
修正議案の内容にも一定の歯止めはありますが。

 なので、
当日の動議としては、
上記③の可能性しかない。
 提案株主としては、
無効票や票分散のリスクゆえに、
却って不利になり得ることを甘受しないといけないし、
それは動議が出た以上、他の株主さんも同様ですね。

 もちろん、
通常の実務では、
事前の書面投票や包括委任状などがあるので、
当日に真面目に採決結果の確認しないと結果がわからないというのはまれですが、
仮に当日に真面目な採決結果確認が必要となる場合には、
その前提として、
上記のような無効票や票分散のリスクがあることを
株主に対して採決に入る前に丁寧に説明しておかないといけませんね。

 
●蛇足ですが、
仮に株主提案によると、分配可能額を超えて違法配当となっちゃう場合には、
その旨を説明して、提案株主に配当金額の減額をしてもらうことになります。

 仮に提案株主がこれに従わない場合、どうするか?

 理論的な可能性としては、
株主提案の一切が違法ということで
当該提案を全く総会にかけないということもあり得るのかもしれないですが、
トラブルを誘発するだけで余り実務的ではないような気がします。
 実務上、賢明と思える方策としては、
違法配当とならないレベルまで減縮した上で総会にかけることかな。
 例えば、
上記①の場合であって、合計30円では分配可能額を超えている場合には、
株主提案が求める20円という上積み金額を14円とか15円とか、
分配可能額の範囲におさまるように調整した上で総会にかけることになるのかな、と。


●本日のツボは、ここまで。

 節電モードにも、
いつの間にか、慣れちゃいました。
 最近、
日常の些細なことにも、
幸せを感じることができるようになった気がしますねぇ。


(2011年3月31日記)
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