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●来店勧誘と見本品提供の微妙な関係について。


●もう一昨年になりますか、
消費者庁の発足とともに、
景品表示法(景表法)の所轄官庁が、
公取から消費者庁に移りましたね。

 それとともに、
景表法の目的としても、
競争秩序の確保というよりは、
消費者の保護という点が、
より前面に出されてきました。

 そうすると、
景表法に関する本日のツボについても、
ホントに「独禁のツボ」に整理していいのか、と、
一応そういう議論もあり得るトコロなのですが、
まぁ、依然として、
景表法を取り扱ってるのは、
主に独禁関係者となるので、
ここでは余りうるさいことは言わないようにしましょう。

 で、
この景表法ってのは、
一匹の蠅が作った法律」と言われるように、
どちらかというと表示規制に重みがある気もしなくはないですが、
実務上は景品規制もそれなりに問題になってます。

 本日のツボでは、
そんな景品規制のうち、
一番よく問題となる総付景品規制に関連して、
来店勧誘と見本品提供の微妙な関係を取り上げようかと。


●さて、
まずは基本的なトコロから。

 総付景品ってのは、
別名「ベタ付景品」と呼ばれるように、
懸賞によらずに取引に伴って提供される物品等のことですね。
 
 典型的なのは、
商品購入を条件として購入者に漏れなく提供される物品。

 ただ、
必ずしも常に商品購入が条件とされなくてもいい。

 要は、
お客さんの商品購入決定に直接結び付く可能性のある形で、
物品等の提供がなされているかどうかがポイント。
 もっと言うと、
お客さんに対して、
商品購入のプレッシャーをかけられるかどうかがポイント。

 なので、例えば、
お店への来店者に対して物品を渡す場合にも、
そのような物品で店舗の中に誘い込むことで、
上で述べたような商品購入のプレッシャーがかけられるので、
やはり総付景品規制が適用されることになる。

 で、
総付景品規制が適用されるとどうなるか?というと、
取引価額の20%(最低200円)を超過する物品等はアウトに。


●さて、
問題はこの先。

 上で述べたように、
来店勧誘としての物品提供については、
総付景品規制が適用されちゃう。

 その場合、
そのお店での通常の最低取引価額の20%(最低200円)、
これを超える物品は渡せなくなっちゃう、と。
 例えば、
そのお店では通常、
最低でも800円程度の取引があるのなら、
800円の20%は160円だけど最低200円まではOKなので、
その場合は200円までの物品が渡せる、と。

 でもね、
お店の人からすると、

 「うーん、200円じゃ十分な販促にならんなぁ」、と。

 そういう場合もある。

 では、
どうやったら、
200円超の販促品を反則せずに渡せるのか?


●これについては、 
実は色々な法的テクニックがあって、
それを駆使することで回避できる場合もある。

 そのような法的テクニックの中で、
一番シンプルで飛びつきやすいのが、
「見本品その他の販促品」(見本品)に関する適用除外。

 この見本品ってのは、
商品の購入を促すことを目的として、
その商品の内容、特徴、品質等について知ってもらうべく、
試しに使わせるために提供されるモノ。

 今、
来店者に配ろうとしてるのが、
この見本品に該当すると言えれば、
総付景品規制の適用は無くなるわけですね。


●ただ、
そこでの問題は、
どのようなモノが見本品に当たると言えるのか?、と。

 まず分かりやすいのは、
販売している商品の一部(一部機能)のみを提供するもの。
 例えば、
普段は180mlの容器で販売されている化粧品を、
30mlの容器に入れ替えて配る、と。
 このようなものは、
明らかに見本品と言いやすい。

 問題は、
販売している商品そのものを、
そのままの形で配る場合。

 お店側の考え方としては、
見本品の対象となった商品そのものの販促にはならなくてもいい、と、
とにかく店舗の中に一度入ってもらいたい、
そしてウチのお店のことを知ってもらいたい、
それを通じてお店が扱ってる商品全体の販促につながればいい、と、
そういう風に捉えている場合も少なくない。

 ただ、
そのようにお店が扱ってる他の多くの商品の販促のために、
来店者全員に対してある商品そのものをタダで提供する、と、
それが全て見本品に該当するということになると、
来店勧誘に対する総付景品規制の大部分が吹っ飛ぶことに。
 つまり、
来店勧誘において渡すものを、
お店で扱ってる商品の中から選びさえすれば、
その来店勧誘には総付景品規制が一切かからない、と、
そういう結論にもなりかねないわけですね。

 なので、
見本品と言えるかどうか、
そのポイントというのは、
その見本の対象となった商品それ自体の販促につながるかどうか、
これで決せられることになる。
 要は、
そのお店全体の見本という意味ではない、と。

 例えば、
先ほどあげた例の延長で言えば、
普段は180mlの容器で販売されている化粧品を、
その180mlの容器のままで配ったらどうなるか?
 この場合であっても、
180mlを使い切った後、
その化粧品の良さを知った上で、
次はちゃんとお金を払って購入してくれる場合もある。
 なので、
その化粧品を180ml一本だけタダで配る場合なら、
次回の購入につながる可能性のある販促として、
それは見本と言える余地がある。
 ただし、
販売してる商品をそのままの形で渡すという点で、
いわば限界事例に近づいていくことになるので、
試用品であることを明確に表示しておく必要がある、と。

 他方で、
その化粧品を一本だけじゃなくて何本もあげちゃったら?
 もっと極端な例で言うと、
来店者全員に対して、
見本品という名の下で、
タダで電化製品をあげたら?、と。
 そのように、
電化製品をはじめとする耐久消費財を渡す場合ってのは、
タダで渡された商品それ自体についての販促にはなりにくいのですよね。
 それをもらったら終わり、
それが壊れたら今度はお金払って購入するかもしれませんが、
それって耐久消費財だと随分先の話になるわけでして、
その商品それ自体の販促とは言い難いよね、と。
 それと同じように、
化粧品を何本もあげちゃったら、
やはり次回の購入に結び付くまでに時間が空きすぎて、
それはその化粧品の販促って言いにくいよね、と。
 なので、
これらの場合は見本品とは認められず、
原則どおり総付景品規制が適用されることになる、と。


●ちなみに、
先に述べたお店側の考え方、つまり、
とにかく店舗の中に一度入ってもらいたい、
そしてウチのお店のことを知ってもらいたい、
それを通じてお店で扱ってる商品全体の販促につながればいい、と、
そういう考え方が認められる場合もある。
 開店キャンペーンの適用除外ですね。
 
 ただ、
開店キャンペーンって言うからには、
あくまで期間に限定があるわけであって、
開店から短期間の時限的な措置に留まることに注意が必要。

 それから、
総付景品規制において来店勧誘が問題となるのは、
「クリック&モルタル」で言うところの「モルタル」側。
 つまり、
「クリック」の方であるインターネット上のショッピングサイトの場合には、
サイトへの呼び込みのための無償配信コンテンツについて、
総付景品規制は原則として問題にならない。

 これは何故かというと、
インターネットの場合ってのは、
誰に対する気兼ねもなくサイト間を自由に簡単に行き来できるから。
 つまり、
そのサイトにアクセスしたところで、
実店舗を来店した際に見られるような、
商品購入に対するプレッシャーというのがかかりにくい。
 なので、
そのようなインターネット上のサイトへの呼び込み行為については、
敢えて総付景品規制の適用を図らなくてもいい、と。


●本日のツボは、ここまで。

 実務上は、
景品規制ってのは、
ギリギリと理論を詰めても意味ない場合も少なくないですがねぇ。


(2011年4月29日記)
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