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●もちろん、お金は払ってないですよね?


●ここ数年、特に上場会社の株主総会で、
株主提案権が行使されることが多くなりましたね。
 聞くところによると、
昨年は、30社以上の上場会社で行使されたそうです。

 この株主提案権、
狭い意味では、株主総会の目的事項を追加できる権利を指しますが、
ひょっとしたら意外なのかもしれません、その歴史はまだ浅く、
1981年になって初めて商法で制定されたものなんです。

 で、それまでは株主提案権なんて無かったもんですから、
株主としては、ある一定の目的事項について株主総会で決議したいと思えば、
会社側が、そのための株主総会を開催してくれない限り、
総会招集請求権という権利を行使せざるを得なかったのですね。

 この総会招集請求権というのは、
最終的には、株主が自ら株主総会を招集できることになるという、
えらく大げさな効果が発生するものです。
 なので、その行使条件はかなり重たいものになっており、
また、会社側の協力が得られない限り、
株主自らが招集手続きをしなきゃいけないことなども相まって、
特に上場会社では、なかなか使いづらいんですね。

 他方、総会招集を請求される会社側としても、
行使条件のうち、特に保有株数や株保有期間の条件をクリアされてしまうと、
その後は、けっこう劣勢に立たされてしまうという面があるんです。

 で、それなら、そこまでしなくても、
会社側が開催する株主総会、特に定時株主総会ですが、そこにおいて、
株主に、その目的事項を追加する権利を認めた方がよいんじゃないの?、と。

 ホントにザックリとですが(笑)、
まぁ、そんなところで作られたのが、この株主提案権なんですね。
 ですから、株主提案権は総会招集請求権の簡易版だ、なんて言われたりもしますね。


●さて、そんな株主提案権ですが、
最近、少なからず問題になっているのが、

 「いったん行使されたんですけど、もう撤回されたんですよ。」

 そんな場面です。

 株主提案権の行使要件の確認とかは、
けっこう気合い入れてやられる方が多いのに、
撤回されたとなると、途端に気が抜けるみたいなんですね(笑)。

 まぁ、わからなくもないのですが、
このような細かいところの処理も、
確かにつまんないんですが(笑)、けっこう大事ですよ。


●何よりもまずは、いつ撤回されたのか、
ここを確認する必要がありますね。

 実務上は、招集通知の印刷開始前なのか、その後なのか、
ここで分けて考えるべきでしょう。以下でも、それを前提にします。

 ただ、もちろん再度の印刷が間に合うのであれば、
招集通知の発送前なのか、その後なのかで分けてもよいですよ。


●で、まずは招集通知の印刷開始前に撤回された場合。

 この場合、会社側としては、以下の2つの対応があり得ます。

 ①.撤回を受け入れて、招集通知に株主提案事項を記載しない。
 ②.撤回を受け入れずに、招集通知に株主提案事項を記載し、総会決議にかける。

 注意していただきたいのは、
株主提案権を行使した株主が自ら、その株主提案を撤回したとしても、
会社側は、必ずしも常にその撤回を受け入れる必要はないということなんですね。

 つまり、株主提案権が、いったん適法に行使され、
その提案書などが会社側に到達した後は、
それを行使した株主自身によっても、
「アレ、なかったことにしてね。」、と、
そんな感じで、会社側の同意もなく一方的に撤回することはできなくなるんです。

 だから、会社側としては、
その撤回を受け入れるかどうか、判断できますし、判断する必要があります。

 で、そんな場面では、得てして、

 「せっかく撤回してくれたんだから、受け入れた方がいいに決まってない?」、と。

 まぁ、確かにそう判断する場合も多いでしょう(笑)。

 でも、是非この機会に知っておいて欲しいのは、
仮に、その株主提案による議案について、
株主総会で議決権の10分の1以上の賛成が集まらなかった場合、
株主総会の開催日から3年経過するまで、
その議案と実質的に同じ議案についての株主提案を会社は拒めるという点ですね。
(まぁ、総会の場で実際に賛否を数えないなら実際の意味はないですけどね。)

 また、特に法律で明確で定まっているわけではないのですが、
その議案と実質的に同じ議案を決議するために総会招集請求権が行使された場合、
「それは『権利の濫用』だから認められませんよ」、と、
そのように会社が言える可能性が高まるんじゃないかとも考えられるんですね。
 
 確かに、株主提案の撤回を受け入れないことによって、
その提案を行った株主との関係が若干こじれてしまうのかもしれませんが、
それでもなお、上記のような法的効果を得た方がベターではないのかどうか、
いちおう検討しておく必要はあるのだろうと思います。


●では次に、招集通知の印刷開始後に撤回された場合。

 この場合、会社としては、以下の3つの対応があり得ます。

 ①.招集通知の記載にかかわらず、撤回を受け入れた上、
   「株主提案事項は既に撤回済み」と総会前日までに株主に別途通知し、
   総会当日は、株主提案がなかったものとして粛々と議事を進める。
 ①’招集通知の記載にかかわらず、撤回を受け入れるものの、
   総会当日の場において、株主提案事項の撤回動議を出し、
   これが承認可決されたことを確認した上で、撤回を行う。
 ②.撤回を受け入れずに、招集通知記載の株主提案事項を総会決議にかける。

 先ほどと同じく、会社側としては、
その撤回を受け入れるかどうか、判断できますし、判断する必要があります。
 その判断において考えなければならない点は、先ほどと同じです。

 で、撤回を受け入れないとなれば、上記②のオプションとなります。
 
 他方で、撤回を受け入れるとなれば、上記①か①’か、
いずれかのオプションを選択することになりますね。

 で、問題は、いずれのオプションを選択すればよいのか。

 これは、まぁ、見解の対立があるところでして、
一部のマニアな方にとっては色々と興味深い議論があるのかもしれませんが(笑)、
実務をやる人間にとってみれば、その選択の基準はかなりハッキリしてきますね。

 「コンサバで行け」と(笑)。

 まぁ、特に上場会社の株主総会の場合には、
長時間を経過した後の審議打ち切りのような場面などを除いては、
基本的に上記方針で行きましょう(笑)。
 もちろん実務的に確立した方法があれば、それを採れば足りますけどね。

 ですから、上記のオプションでいえば、①’の方ですね。
 こちらで行かれた方がよいでしょう。


●ちなみに、冒頭でも指摘させていただきましたが、念のため。

 株主提案を撤回してもらうためにお金を払ったら、違法な利益供与ですからね。
 罰則は重いですし、会社の信用低下も著しいですから、絶対ダメですよ。


●本日のツボはこれでおしまい。
 なお、会社のツボは、季節的な要因もあり(笑)、
株主提案や委任状勧誘がらみをしばらくは続けたいと思います。


(2008年1月9日記)
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