上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

●法務デュー・ディリジェンス(法務DD)のメリハリについてのお話。


●「デュー・ディリジェンス(DD)」、
この言葉は、ここ十数年ぐらいの間に、
すっかり市民権を得てしまいましたね。
 さすがに説明不要ってことで定義省略。

 このDD、特に法務DDですが、
具体的にどんなことをするのか?という点についても、
近頃は簡単に情報が手に入るようになりましたね。
 まぁ、
おかげさまで、
新人弁護士の教育も以前よりは少し楽になりました(笑)。

 でもね、
世に出回ってる法務DDに関する情報ってのは、
残念ながら玉石混交なのが否めないのと、
後はやはりね、
費用や時間などの制約が無い前提での、
いわゆる「フルDD」を想定したものが殆どということ。

 もちろん、
常にフルDDをやれるんなら、
それはそれで、
企業はもちろん弁護士にとっても(笑)良いことなんですが、
現実はそう甘くないわけで、
ある程度メリハリをつけた「簡易DD」が必要なことも少なくない。

 ただ問題は、
どうやってメリハリを利かせるのか?、と。
 たとえフルDDは上手く出来てたとしても、
このメリハリが下手っピでは実務は回せないわけでして。
 
 んなもんで、
本日のツボでは、
簡易DD、特にそのメリハリの利かせ方について、
晩酌で眠くなるまでの間、徒然なるままに。


●で、まずは、
法務DDの方法の点。

 やっぱりね、
簡易に終わらせたいのであれば、
現地DDは避けましょうよ。

 つまり、
対象会社やその近くのデータルームに、
わざわざ弁護士を乗り込ませて行うDDってのは、
どうしても無駄に時間と費用がかかりますよね。

 特に、
スタート直後なんてのは、
何人もの弁護士を引き連れて気合い入れて乗り込んだのに、
現地に着いたら大きな机の上にキングファイルが一つだけとか(笑)。
 そんな笑い事のようなことが、
コミュニケーション不足などを理由に、
現実に起ったりすることもあるんですよねぇ。
 
 なので、
できるだけ、
現地DDは避けて、
資料はコピーを法律事務所に送ってください、と。

 ちなみに、
最近はバーチャル・データルーム(VDR)ってのもありますよね。
 アレでも良いんだけど、
印刷ができなかったりすると最悪…。
 私がアナログ人間だからかもしれませんが、
PC上だと読み落としたりマーキング出来なかったり目がチカチカしたり…。
 明らかに効率悪いと思いますよぉ。


●次に、
法務DDのプロダクト(最終レポート)の点。
 ゴールのイメージですな。

 まぁ、
特にフルDDの場合ってのは、
本文は当然100頁以上とか、
別紙が鬼のように無駄にくっ付いてるとか、
本文のサマリーが2種類以上あるとか、

 「誰が読むの?コレ…」、と(笑)。

 そんなのは茶飯事なわけですが、
簡易DDでは当然ヤレないしヤル必要もない。

 イメージとしては、
フルDDの最終レポートの冒頭に付いているサマリー、
通常はどんなに長くてもA4で10枚~20枚前後のモノですが、
その程度のプロダクトだけを想定してください、と。

 つまり、
法務DDを通して発見された、
法的問題点や法的リスクだけを、
文章で書き連ねたイメージ。
 それ以外の情報は原則省略、と。


●さて、
ようやく本題、
法務DDの範囲の点。

 当然ながら、
ここが一番のメリハリの利かせドコロなわけ。

 まぁ、
全てを語り尽くすのは、
本ブログの趣旨に反するので(笑)、
思い付いた限りでポイントを拾っていきましょうか。
 

●まずは組織関係、
特に対象会社の子会社・関連会社の見方。

 これ、
全部見てたら、
そりゃ切りがありまへんで。

 なので、
収益貢献度とか資産性とかビジネスの観点で、
重要なのと重要でないのとを切り分ける作業も必要。

 後は、
仮に切り分けができたとしても、
ホントに対象会社と同じレベルで法務DDすんのか?、と。
 特に海外の子会社・関連会社だと、
現地法律事務所の起用が必要になったりして、
ここでまた費用と時間がかかることも多い。

 で、
ここでのポイントは、
親会社である対象会社が、
日頃から子会社・関連会社に、
実際にどんぐらい統制を効かせていたのか?、と。

 仮にキッチリ統制が効いてたのなら、
対象会社を法務DDするだけで済む場合も結構ある。

 他方で、
仮にちゃんと統制が効いてないなら、
もうこれは案件に応じて工夫していくしかない。
 担当弁護士さんの経験とセンスが試される点ですね。


●次に契約関係。

 特に事業関連契約の部分ってのは、
できるだけ多く見た方が良いに決まってるんですよ。
 でも、
そんなの無理というのも少なくない。

 一つ言えるのは、
対象会社が取引相手より力が強い場合は、
通常使ってる契約フォームだけしか見ないということもある。
 典型的には仕入関係の契約ね。
 もちろん、
独禁・下請法の問題とかもあり得るんですよ。
 でも、
ホントにエグいことは契約には出て来ないのが多いしね、と。
 少し余裕あれば、
以下で述べるように年間取引額の上位何社かを見るとかね。

 それから、
対象会社より取引相手の方が力が強いという場合、
典型的には販売関係の契約とかですが、
フルDDの場合であっても同じなんだけど、
これだって全部を見るんじゃなくて、
年間取引額が上位5位とか10位とか、
そういう絞り込みをしていくんですよ。
 ここでのポイントは、
その上位何社かで全体の取引額の何割を占めるのか?、と。
 これで適宜調整していくわけですね。


●お次は資産関係。

 まず言えるのは、
何か特別な事情でも無い限り、
動産は無視しちゃって良いかと。
 動産リース契約とかあるけど、
どうしても大事なモノがあればベース。
 コピー機とか見てもしょうがない。

 不動産は、
その数にもよりますが、
登記簿謄本は法務部とかで見ちゃう場合も。
 賃貸借契約とかは、
やはり法務DDで見た方が良いでしょう。

 知的財産権も、
ライセンス契約とかは、
法務DDで見た方が良いけど、
その他の点は工夫の余地が大アリ。
 場合によっては、
特に突っ込まないこともある。
 ちなみに、
たとえフルDDであっても、
包袋書類を紐解いて…ってのは、
かなり例外ですよ。
 知財鑑定ってのは、
通常の法務DDでは想定されてませんので、
それが必要なら別途ご相談を。
 

●で、労働関係。

 この部分も、
ちゃんと現実を見据えましょうね。
 経験の問題か意図の問題か、
ドッチなのか知りませんし興味もありませんが、
かなり非現実的なDDのやり方を唱える向きもあるので要注意。

 たとえフルDDであったとしても、
対象会社での未払い残業代の額なんて、
そんなの分かりっこないし予測も不可能。
 法務DDにおいて、
管理監督者性の判定なんてのも期待しちゃダメ。
 特に、
管理監督者として十分な権限を持ってるか?とか、
そんなの法務DDで調査してもナンセンスでは?、と。
 できるのは、
何個かのポイントから方向感を示すぐらい。

 年金も、
基本は会計DDの観点から確認を。

 他方で、
労働組合があるのなら、
労働協約とか従前の労使関係とか、
必ずちゃんとチェックしなきゃね。
 後は、
個別労使紛争絡みや労基署絡みもチェック。


●この他、
許認可・環境・税務とかは、
主に紛争の有無という観点から見ていくに留めるとか。

 訴訟・紛争は、
それがホントにあるなら、
簡易DDでもソレなりに突っ込まなきゃね。


●以上、
ザァーと、
酔った頭で思いつく限りで、
ポイントを挙げ連ねてみましたが、
最後に気を付けて欲しいこと。
 
 簡易DDってのは、
当然ながら「簡易」なんだから、
その対象から外れた中に含まれる法的問題点や法的リスク、
これは発見できないわけですよね。

 もちろん、
M&Aの契約に表明保証条項などを入れたりして、
一定程度リスクカバーすることは可能かもしれませんが、
特に契約の相手が個人とか小さい会社とかの場合ってのは、
そのようなリスク回避手段が「絵に描いたモチ」で終わる場合も少なくない。

 そうすると結局、
簡易DDをやるってことは、
経営判断として一定のリスクをテイクしてることを意味し得る。
 ここをちゃんと理解してもらわないとね。
 ここで急にチキンになっちゃったら、
もう簡易DDだけでは先に進めなくなっちゃいますよぉ。
 もちろん、
法務DDのメリハリを付ける上では、
案件の特性を踏まえて十分に御相談に乗りますけどね。
 

●本日のツボは、ここまで。

 特に法務DDってのは、
案件に応じて結構やり方に工夫の余地が多いトコロです。
 経験も大事だけど、
それ以上に頭の柔らかさが大事なのかも。
 もちろん自戒を込めて。


(2011年6月6日記)
関連記事
Secret

TrackBackURL
→http://bookaholiclawyer.blog18.fc2.com/tb.php/85-fdedfcf4
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。