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●基本合意書(MOU)について、軽く一言二言。


●さて、
今年の6月も後ちょっとですが、
この「後ちょっと」がなかなかキツい…。

 ということで(?)、
本日のツボは、MOUについて軽く一言二言。
 ちなみに、
ここで言う「MOU」ってのは、
Museum of Osaka Universityではなく、
Memorandum of Understandingのことね。


●で、
MOUっていうと、
まず思い付く基本問題ってのは、
法的拘束力の有無ですかね。
 
 これについては、
既に色々と論文なども出てるトコロでして、
議論の詳細はそれらにお任せしちゃいますが、
実務的には以下の一言に尽きるトコロですね。

 「ちゃんと法的拘束力に関する条項を規定しておけ」、と。

 一般的には、
誠実交渉義務や独占交渉権、DD協力義務などに関する条項、それから、
守秘義務をはじめとする一般条項などについては、
通常の契約と同じように法的拘束力があるとする一方で、
想定取引条件などを規定した条項については、
単なる目安で法的拘束力は全く無いのよ、と明示的に規定する、と。
 そんな感じで、
法的拘束力の有る無しを逐条的に明確化しておくのですよね。


●で、まぁ、
そういう試験管の中でのお話は置いといて、
本日のツボの本題はここから。

 最近は、
MOUってのも随分と市民権を得てきておりまして、
いっちょM&Aでもやろうか!ってなると、
これはもうお決まり事のように、
どっかで見たようなMOUのドラフトが回ってきたりするんですが、

 「いや、ちょっと待って下さい!」、と。

 そもそも、
そのMOUって、
法的拘束力が云々の前に、
敢えて締結する必要あるんですか?、と。

 例えば「DDをやるため」って言うのなら、
意味ないじゃん?」という契約のツボで述べた、
秘密保持契約(CA)を締結するだけで足りる場合もあるんですよね。
 隠密裏に進めるのが大事とかで、
敢えてMOUは避けるという案件もある。

 もちろん、
DDを実施するために対象会社から広範な協力が必要となる場合には、
事前に公表しておいた方が実務的にスムーズに行くので、
その関係で敢えてMOUを締結するってことも少なくない。
 後は、
まだ何も熟してないんだけど、
どうしても今のタイミングで公表したいという時に、
とりあえずMOUを締結するって場合もあるよね。
 ただね、
そのような目的のためだけなら、
何も詳細に想定取引条件を定める必要も無いかもね、と。
 たとえ法的拘束力が無いとしても、
誠実交渉義務を前提に事実上の拘束力はあるんだから、
この段階でホントにそんなの発生させるのが得策か?、と。

 他方で、
今回のDDには結構お金がかかる以上、
せめて想定金額の目線を合わせておきたいし、
あわよくば独占交渉権まで欲しいなぁ、とか、
独占交渉権を云々言うのであれば、
たとえ法的拘束力が無くても想定金額を示せと言いたくなるし、
そうで無くても公表するなら変に逃げられないように、
できるだけ事実上でも拘束しておきたい、とか。
 
 このように、
そもそもMOUの中身ってのは、
何も法定されていない以上、
極めて個別具体性が強い類の契約なんですよね。
 もちろんCAと同じように
ドッチの立場かによっても理想形は変わってくる。

 なので、
「皆がやってるから」とか、
「あの案件ではこうだったから」とか、
「あの本の雛型でこうなってるから」とか、
そんな思考停止な感じで何となく流されていくのではなくて、
まずは一旦ゼロベースに戻った上で、
以下のように自問自答して欲しいのね。

 ①ホントにMOUが必要なのか?
 ②仮に必要だとして当方サイドで最低限必要な条項はドレなのか?

 特にM&Aの場面では、
何かと慌ただしく時間が過ぎていくのですが、
たとえその渦中にあったとしても、
上で述べた2つのポイントだけは、
ちゃんと内部で詰めておく機会を一度は持ちましょうね。
 

●それから、
MOUは個別具体性が強い!って点を、
更に押し進めていくと、
これは当然なんですけど、
全体が法的拘束力を有するMOUってのも有るんですよね。

 例えば、
隠密裏にDDを終えた後で、
まだ最終契約の締結までには熟してないんだけど、
どうしても今のタイミングで公表したいってな場合が一つかな。

 この場合、
MOU全体が法的拘束力を有するとした上で、
その段階での暫定価格とかも規定されることがある。
 
 もちろん、
ビジネスとして呑めるなら規定してもいいんだけど、
特に買主サイドから見た場合、
この暫定価格の調整条項が結構よくミスってるのね。

 典型的には、
最終契約の締結日までに、
企業価値に影響を及ぼす事情が生じた場合には、
双方協議の上で暫定価格を変更できる、とか、
そんな風に書いてあるのが結構あったりする。
 
 これ、
何がミスってるか分かる?分からない?

 上のような規定の仕方だと、
そもそも暫定価格を変更するかどうかも、
双方の協議に係っちゃってるのね。
 これ、
協議が調わなかったらドウなるの?、と。
 十中八九、
現状維持という結論になっちゃいますよね。
 つまり、
MOUに明示された暫定価格のまま、と。
 もちろん、
誠実に交渉する義務だけで、
最終契約の締結義務までは通常負ってないわけだから、
最悪は最終契約を締結しなきゃいいんだけどさ。
 でも、
最終契約をどうしても締結したいって時に、
無駄に暫定価格の調整条項で文言ミスって、
変に法的にも事実上も拘束されたくないよねぇ、と。

 なので、
特に買主サイドでの理想的な形としては、
例えば以下のような感じかな。

 最終契約の締結日までに、
企業価値に影響を及ぼす事情が生じた場合、
第○条に定める暫定価格を変更するものとし、
当該変更の内容につき双方誠実に協議を行う、とか。
 
 もちろん、
実際はもっと細かく丁寧に規定するんだけど、
とにかく最低限押さえてもらいたいキモってのは、
一定の事由が生じた場合には変更する、と、
まずはそう言い切っちゃうってことね。
 とにかく変更するのが大前提なのよ、と。
 その上で、
変更の具体的な中身については、
通常なかなか事前にメカニズムを特定できないだろうから、
その点は誠実協議に委ねる形にする、と。
 後は、
最終契約の価格調整条項よりも緩くするのも大事かな。

 まぁ、
上で述べたような点は、
下らないっちゃぁ、下らないんだけど(笑)、
現場が無駄に悩む必要なく淡々と文言に従って処理できるように、
事前に細部にまでコダわって作り込んでおくのが、
いわゆる「職人」の仕事ではないのかなぁ、と、
そのように個人的には思ってます。


●本日のツボは、ここまで。

 ちなみに、
「MOU」ってのは、
本文で述べた2つのポイントに照らすと、
Minimum of Understandingという名で覚えておいた方がいいのかも(笑)。
 あくまで途中段階なんだから、
無駄に頑張る必要は無くてミニマムで良いかと。

 そう言えば先日、
久しぶりに小粋なイタリアンで食事してたら、
シェフが厨房から私らの後ろのお客さんに矢鱈とイタリア語で話しかけてて、
ソノ後ろのお客さんも矢鱈とそれに応えてる感じで、
「アットホームなお店だなぁ」という感想とともに食事を終えて出ようとしたら、
何とソノ「後ろのお客さん」とはザッケローニ監督!
 気の置けない友人とプライベートを楽しんでる感じだったので、
心の中で「日本代表をお願いします!」という想いを胸に店を後にしました。
 でも後から、
やっぱり素直にサインもらっとくべきだったか?とチョッピリ後悔(笑)。
 今度は、
サムライブルーのユニフォーム持って行こうかなぁ。


(2011年6月20日記)
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