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●エクスチェンジ・テンダー・オファーについて一言二言。


●近時の産活法改正で、
巷で盛り上がりを見せてるのが、
エクスチェンジ・テンダー・オファー。

 横文字にするとカッコ良いけど、要は、
株式を対価とする公開買付け(TOB)のこと。
 「自社株対価TOB」と呼ばれることもあるけど、
今回の産活法改正は親会社株対価とかも想定してるね。
 いわば、
対価柔軟化のTOB版ってな感じかな。
 組織再編での対価柔軟化ってのは、
株式から金銭ってな方向だけど、
今回のは金銭から株式っていう方向ね。

 もちろん、
TOBで株式を対価とすることってのは、
別に元々禁止されていたわけじゃないのね。
 
 ただ、
私の記憶が正しければ、
過去にエクスチェンジ・テンダー・オファーの例で知られてるのは、 
フリージアさんの1件だけなんじゃないかなぁ。

 これってのは、
エクスチェンジ・テンダー・オファーに、
色々と面倒臭い法的論点が多々あったので、
事実上使えない制度と化していたことが理由。
 
 で、
その一部改善を図ったのが、
まさに今回の産活法改正なわけですね。
 
 というわけで、本日のツボでは、
そのようなエクスチェンジ・テンダー・オファーについて一言二言。


●で、まずですが、
M&Aに携わる一実務家として率直な疑問を一つ。

 「今回の産活法改正だけでホントに流行るんかな?」

 いきなり読者の意欲を削いで恐縮ですが、
色々とお祭り騒ぎしてる向きもあるものの、
今回の産活法改正には肝心の税法改正が伴ってないんですよね。
 
 もう説明不要かもしれませんが、
エクスチェンジ・テンダー・オファーってのは、
対象会社の株主に対し対象会社株式の応募対価として買付者株式が渡される、と。
 これが典型的な形ですが、
応募の結果として対象会社の株主には譲渡益課税がかかるのね。
 もちろん、
株式交換のような課税の繰り延べも無い。
 そうすると、
お金もらってないのに納税しないといかんと…。
 後は、
プレミアムについて受贈益・寄付金の問題も。

 エクスチェンジ・テンダー・オファーには、
他にも現物出資規制とか有利発行規制とか色々と法的論点があって、
それらについては今回の産活法改正で一定の手当てがされてるんだけど、
最大の論点は上で述べた税法だったはずなんですよねぇ。
 それなのに、
税法の点は放置プレイってのは、
一体どういうことなんかいな…。
 そもそも、
税法改正が伴わないままで今回の産活法改正を通す意味って…。

 上で述べた疑問は、
おそらく多くのM&A実務家が共有してるものかと。


●もちろん、
今回の産活法改正では、
対価として株式と金銭を併用するTOBってのも対象とされてる。

 そうすると、
対象会社の株主の納税資金分については金銭で、
後の残りの分については株式で、
そんな二刀流な感じもできなくはない。
 有利発行規制の特例を使う上でも、
このような二刀流は有効みたいですね。

 でも、
対象会社の株主の納税資金分って一体いくらなのよ?、と。
 取得原価は株主によって違うよね、と。
 
 そもそも、
三角を含めて株式交換だってあるわけだから、
対象会社の株式全部を株式対価で取得する場合には、
こんな面倒臭いエクスチェンジ・テンダー・オファーなんて敢えて使わない。
 そうすると残るのは、
対象会社の株式一部を株式対価で取得する場合。

 ただ、
「一部」って言っても、
TOBで3分の2以上を狙うなら全部買付義務の関係で上限設定ができんし、
それで集まり過ぎて上場廃止とかになるとスクイーズ・アウトしないと怒られそうだし、と。
 そんなことも考えると、
結局もっと小さいポーションが念頭にあるのかなぁ、
であれば全体でも通常そんなに大きな金額規模にならないのかなぁ。

 もしそれが正しいなら、
出来るだけ多くの株主の納税資金を確保してあげるために、
安全を見て金銭の割合を多めに!とかってやってると、
他にも面倒臭い論点が色々あるんだから、

 「あぁ~、もうだったら通常のTOBで行くよ!」って(笑)。

 そういうことにもなりかねんのかも!?、と。


●で、まぁ、
色々と他にも言いたいことはあるけど、
エクスチェンジ・テンダー・オファーが流行るという前提で、
何点かモノ申しておきましょうか。

 冒頭で、
組織再編との比較を持ち出しましたが、
TOBと組織再編の最大の違いを一つ挙げろと言われたら、
皆さんは何を挙げますかね?

 私はコレ。
 よっぼどなことが無い限りTOBは撤回できないってこと。

 エクスチェンジ・テンダー・オファーを実務に落とし込んでいく上では、
このTOBに伴う撤回制限との関係を常に念頭において検討しないとね。


●で、
巷で論じられてる典型的な論点の一つが、
一定数以上の株式を有する株主から反対された場合、
有利発行に関する株主総会の特別決議取得が避けられないことかな。

 これって、
株主総会の特別決議が通らなかったらTOB撤回できるの?とか、
株主総会のスケジュールとTOBのスケジュールはどう合わせるの?とか、
まぁ色々と論点を挙げ出したら切りがないんだけど、
余り真面目に悩んじゃダメなのよ。

 実務上は、
株主総会が不要であることを確認してから走り出せばOK。
 要は予告TOBの形式でやれってことね。
 予告して株主の反対期限の経過を待つ、と。
 
 これ以上の議論は不要でしょう。
 この論点で貴重な地球資源を無駄にしないように。


●はい、次。

 今度のは、
さっきの話より厄介。
 何かというと、
株式買取請求の話。

 どうも、
条文を読んでる限り、
株式買取請求の状況について、
TOBで走り出す前に確認するってのは無理みたいね。
 つまり、
予告TOBの形式を採ることで問題回避はできない。

 じゃぁ、
何が起こるかというと、
株式買取請求が相次いでなされたとしても、
既に走り出してるTOBを止めることはできないのよね。

 コレ、困るんじゃないかなぁ。
 上手い回避方法、
今のところ思いつかないんだよねぇ。
 発行中止してもTOBは止まらないのよぉ…。
 この法律に限った話じゃないけど、
この問題って事前に検討されてたのかなぁ…。

 ちなみに、
組織再編の場合ってのは、
合併契約のような法定契約の中に、
ヌル~い内容の解除特約を入れておいたりなどして、
株主総会の承認決議の前後を問わず、
イザって時はサッと止められるように作り込んでるのよ。
 もちろん、
もっと丁寧にやってる案件では、
一定数以上の株式買取請求がなされたら止めちゃうよ!って、
明示的に条件を書き込んでるモノもあるけどね。

 本気でエクスチェンジ・テンダー・オファーやろうってなら、
上で述べたような組織再編の場合には存在する安全弁が、
撤回制限のあるTOBの場合には確保されてないってことを、
ちゃんと認識・覚悟してから走り出すようにしないとね。


●同じようなことは、
株式価値変動リスクについても言えるよね。

 組織再編の場合のように、
変動交換比率を導入するとして、
実務的には変動幅に上限や下限を付けるだろうけど、
上限・下限を超過した時には止めるってな選択肢は、
エクスチェンジ・テンダー・オファーの場合には原則無いんですよ。


●本日のツボは、ここまで。

 もう一息ですな…。


(2011年6月27日記)
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