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●昨年(2010年)は、
特に東証さんによって、
独立役員制度や支配株主との取引ルールなどが導入されたこともあり、
社外役員さんに少なからずスポットライトが当たってたような感じ。

 そのような背景の下で、
事業報告中の「社外役員に関する事項」、特に「主な活動状況」の記載に対して、
一定の注目と期待が集まるのも理解できなくはないですかね。

 ただ、
冒頭に紹介した山口先生のエントリーで引用されている、
日経ヴェリタス(172号)の記事の締めくくり部分については、
オリジナル全文を読んでるわけではないものの、
ちょっと色々と言いたくなることもあるかなぁ、と。

 というわけで、本日のツボでは、
総会祭りのアンコール的なモノとして、
山口先生のエントリーを読んでの雑感を一言二言。


●で、まず、
法的な理屈の点で押さえておきたいポイントは、
取締役会議事録の閲覧謄写請求の要件。

 これってね、
原則として裁判所の許可が必要なんですよね。
 これって、
手続きとして重いでしょ?

 何でこんなことになってるかって言うと、
やっぱり重要な機密情報が含まれていると想定されるからで、
ヤタラメタラに外に出せるものじゃないよね、と。
 そういう法的判断が背景にあるわけですね。


●それから次、
理屈じゃなく現実の点で押さえておくべきポイントは、
やはり日本企業における典型的な意思決定過程の点かな、と。

 敢えて誤解を恐れずに言えば、
「根回し慣行」というか「ボトムアップ」というか、
取締役会の前までに社外役員を含めて根回しが終わっていて、
取締役会は根回しが終わったモノを決議する場というイメージかな。

 これは、
法務DDの過程で、
取締役会議事録と常務会議事録を見比べるなどしてると、
常々実感させられるトコロですかね。


●で、
上記のポイントから何が言いたいかというと、
以下のような感じ。

 まず法的な理屈からしても、
特に取締役会での発言状況について、
そんなに具体的なことを書くことが求められてるとまでも言えないかな、と。

 それから現実論としても、
取締役会という法的な場に上がってくるまでに、
既に実質的な議論や根回しは終わってることが多いので、
そこでの発言って言ったってネェ、と。

 特に、
社外役員の意見により変更された事業方針とかの記載に関しては、
上で述べたような意思決定過程の現実に照らして考えた場合、
社外役員の意見によって変更されたと明確に特定できるような場面って、
ホントにどれぐらい有り得るのかなぁ?、とかね。
 正直ちょっと無理があるかな、と。

  
●後は、
法令違反とか不当/不正な業務執行とかが行われた事実があるときに、
社外役員が行った予防行為とか発生後の対応行為とかの記載。

 これは、
実際に事が起こってしまった時に、
社外役員は現に何をしたのか、それから時間を遡って社外役員は何をしてたのか、と、
あくまで有事に限った話なんですよね。
 なので、まぁ、
平時であれば当然ながら問題にならない。

 ちなみに、
あくまで重要なモノ、現実に起ったモノだけが対象なので、
全ての不祥事や未遂事実を公表せよということでは無い。
 まぁ、個人的には、
ツイてなかった?」という会社のツボで述べたように、
公表のタイミングに違いがあり得るとしても、
出来るだけ積極的な形で公表した方が良いのかなとは思ってますけどね。


●で、
以上で述べてきたことを前提とすると、
事業報告に抽象的な記載しか無いことを以って、
社外役員が特筆するほどの素晴らしい活躍をしていないのかも、と、
そんな風に結論付けちゃうのは、

 「うーん、ちょっとドウなのかなぁ?」、と。

 少なからず疑問を感じるのが正直なトコロ。
 特に、
真面目に活動されてる社外役員さんも少なくないことからすると尚更かな。
 やはり、
山口先生のおっしゃるように、
社外役員の「姿の見える活躍」というのは、
平時の開示規制ではなかなか期待できないのが現実なのかなぁ、と。

 ただ一方で、
上記のような結論付けを単なる邪推と片付けてしまうのも、
それはそれでなかなか難しい面があるのかなぁ、と。

 やはり、
抽象的な記載でも足りるとされることで、
ある意味「守られている」面があることも否定できないんですよね。
 色々な事情があるとは言っても、
「取って付けた」ような抽象的な開示しかなされないのでは、
外野として「邪推」したくなるのも分からないではない。

 ここは、
開示を含めたAccountability(説明責任)の限界問題として、
なかなか明確に線を引くのが難しい問題のように思うのですが、
一つの解決策として考えられるのは、
個別論の開示・説明の代わりにシステム的な担保を図るということですかね。

 要は、
社外役員の独立性や全取締役に占める割合などの、
総論的な形式面での担保を図ることによってバランスを取る、と。
 外観的信頼性を確保するとでも言えるかな。

 まぁ、
余り実務界の受けは良くない議論なので、
このぐらいで留めておこうかと思いますが(笑)、
ただ突き詰めて考えていくと、
どうしてもソコに行きつくのかなぁ、とか。
 後、
そのような問題が解決されない限り、
海外の機関投資家をはじめとする無国籍マネー、
これらを強く惹き付けることは難しいのではないかなぁ、とか、
ちょっと身分不相応な大きなことを思ってみたり。


●本日のツボはここまで。

 この手の話、
嫌いじゃないんですが、
如何せん難しいなぁ、と。


(2011年7月1日記)
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