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●事前相談廃止に伴うスケジューリングの留意点について。


●今年(2011年)の7月1日より、
長らく続いてきた企業結合の事前相談制度が
遂に廃止されちゃいましたね。

 今後、
独禁法の実体問題に関する公取の考え方ってのは、
正式な届出がなされた後に示されることになる、と。

 このような事前相談制度の廃止が、
公取による企業結合審査の短縮化につながるかどうかは、
今後の実務運用によるとしか言いようがないので、
現時点で外野が分析しようとしても余り益無いことかな、と。

 なので、
本日のツボでは、
新しい制度の下における、
実務上のスケジューリングについて一言二言。

 ちなみに、
新制度の詳細はこちらを御参照されてください。


●さて、
まずは問題の根ッコを押さえましょうか。

 事前相談が廃止されると、
正式な届出をしてからじゃないと、
独禁の実体問題に関する公取見解が分からん、と、

 じゃぁ、
公取見解を聞く意味って何か?、と。
  
 従前、
事前相談を飛ばす形で公取見解を聞かずに、
当事者で勝手に進めてた案件ってのも沢山ある。
 これは、
公取見解を敢えて聞くまでも無い、と。
 要は、
独禁の問題は無さそうだという確かな感触があるから。
 こういう案件については、
今回の制度変更で特に大きな影響は無い。

 他方で、
独禁の問題が有りそうだなぁ、と、
そういう微妙な案件については、
従前なら事前相談で公取見解を聞いてたわけね。

 で、
何で公取見解を聞くか?というと、
まず一つは「やっちゃダメよ」と言われる可能性を懸念して。
 この場合は、
問題となる企業結合を中止などしないといけない。

 もう一つは、
「やっても良いけど条件付き」と言われる可能性を懸念して。
 典型的には、
問題解消措置を条件にして、
公取からOKを引きだすような場合ですが、
この場合ってね、
問題解消措置を実施する当事者の企業価値が変わる可能性があるよね、と。
 その場合、
当然ながら企業結合の条件も変わる可能性がある。

 スケジューリングする上では、
この2つの可能性がどの時点で消えてれば良いのか?、と、 
そういうことを常に念頭に置かねばならん。
 

●で、
まぁ、一番分かりやすい例は、
公開買付け(TOB)におけるスケジューリングですかね。

 御存じの方も多いかと思いますが、
かつて独禁法改正で株式取得が事後報告から事前届出に変わった際に、
公取から排除措置命令の事前通知を受けた場合などはTOBを撤回できる、と、
そういう見解が金融庁からQ&Aの形で公表されたのですよね。

 そうすると、
TOBだって中止できるんだから、
その開始前までに公取見解を聞く必要は必ずしも無いんじゃないの?、と。
 実際、
従前はTOB開始と同じようなタイミングで、
正式届出してた案件もあったじゃないか!、と。

 いやいや、

 「ちょっと待って下さい!」、と。

 上で述べたように、
公取見解を聞く意味というのは、
2つの懸念される可能性を潰すため。

 そのうち、
「やっちゃダメ」と言われる可能性については、
中止できるなら始めちゃって良いじゃんという判断も無くは無いけど、
それまでに投下したコストが無駄になるという問題はあるよね、と。

 加えて、
「やっても良いけど条件付き」と言われる可能性に関しては、
単に中止できるだけじゃ満足できないんじゃないかな?、と。
 何が言いたいかというと、
既に投下したコストを無駄にしないためにも、
できれば中止じゃなく条件変更で続行したいよね、と。

 でもね、
TOBの場合って、
例えばTOB価格の引下げとか、
そういう株主に不利な方向での条件変更は禁止されちゃってる。
 そうすると、
「やっても良いけど条件付き」と言われた場合、
例えば問題解消措置によって対象会社の企業価値が下がる場合であっても、
TOB価格の引下げはできないことになるので、
そのままの条件で続けるか、又は、
問題解消措置の申出を取り下げるなどして事前通知もらって撤回するか、
そういうAll or Nothingな道しか残っていないんですよね。
 条件変更して続行したいなら、
一旦撤回してからもう一度最初からやり直す、と。

 コレ、
困らない?困るでしょ?
 実際のところ、
独禁の問題が有りそうな案件でも、
問題解消措置の申出によって公取からOKをもらってる例が多いので尚更。

 そもそも、
TOB開始と同じようなタイミングで正式届出してた従前の案件は、
その前までに事前相談で公取見解を聞き終わってるか、又は、
独禁の問題が無いという確かな感触があって事前相談不要なモノ、
このドチラかに該当するはずですよ。

 ちなみに、
問題解消措置を申し出ることで公取からOKをもらう場合について、
金融庁のQ&Aとかでは特に検討されてないようですね。
 まぁ、
金融庁のQ&Aについては、
他にも色々と言いたいことがあって、
小一時間ほど…なんですが、
時間の関係で本日はパス(笑)。


●以上に述べたことからすると、
微妙な案件ではTOB開始前までに公取見解を聞くべきなので、
正式届出はTOB開始前に行うことになるんでしょう。
 ちなみに、
正式届出を出しても必ずプレスが必要なわけじゃない。
 以前の案件でも、
TOB前に正式届出を出してるモノが複数あったけど、
正式届出時点でプレスは出してないですね。

 で、
第一次審査で公取見解が取れたなら、
晴れてTOBをスタートする、と。
 ちなみに、
必ずしも真正面からの説明は無いみたいなんだけど(苦)、
第一次審査中は公表回避はもちろんのこと厳に機密性が保たれるんでしょうね。

 他方で、
第二次審査まで行く場合は、
公取により公表されることになるんだけど、
でも公取見解は未だ聞けてないんだからTOBはスタートできない。
 なので、
そこで予告TOBのプレスを打つことになるんでしょうね。
 で、
最終的に結論OKの公取見解が出たら、
必要に応じて適宜調整するなどして晴れてスタート、と。
 ちなみに、
事前相談制度の時代には、
公表前提の第二次審査に入ることを避けるために、
第三者への限定的なヒアリングも取り込むなどして、
当事者側から「第一次審査の第二次審査化」を申し入れる場合などもあって、
それで第一次審査の終了までが長期化することもあったけど、
新制度の下ではワークしないのでしょうかね。
 まぁ、
パブコメによれば、
第二次審査に入ることを避けるために、
正式届出を一旦取り下げるということは認められてるみたいだけど。


●もう時間の関係で切り上げちゃうけど、
組織再編についても同じような問題が一応ありますね。

 特に株主総会の承認後は、
中止はともかく条件変更ってのは、
再度の承認を経ずには出来ないですよね。


●本日のツボはここまで。

 余り言うと怒られちゃうけど、
どうも審査に直接関連しなさそうな質問・資料要請が結構ある、と、
そんなことを見聞きすることがありますね。
 別に公取に限ったことじゃなくて、
他の行政機関や自主規制機関とかでも同じなんだけど、
その質問・要請を出した担当者のバック・グラウンドを調べると良いかも(爆)。


(2011年7月4日記)
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