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●60歳以上の高年齢者の継続雇用制度について軽く一言二言。


●今から約5年前の2006年4月1日、
いわゆる高年齢者雇用安定法が改正されて、
60歳以上の高年齢者の雇用確保措置が義務付けられましたね。

 この際、
殆どの企業が、
そのような雇用確保措置として、
従来の60歳定年制を触るのではなくて、
60歳定年制を維持しつつ60歳以降の継続雇用制度を導入したわけですが、
当時は未だ景気が良かったせいもあるのか、
継続雇用制度の作り込みが甘い企業が意外と多かったのですよねぇ。

 本日のツボでは、
そのような継続雇用制度の問題点について軽く一言二言。


●まず指摘したいのが、
再雇用基準に関する問題。

 継続雇用制度のミソは、
労使協定等によって対象者の基準を定めれば、
その基準に該当する従業員だけを再雇用すれば良いとされてる点。

 そうすると、
当然ながら再雇用基準の中身が、
重要な点としてクローズアップされてくるのですよね。

 この点、
個人的には正直全く理解できないんですが、
会社の業績要件、そこまで行かなくても業務上の必要性、
これを再雇用基準に盛り込んでない企業が相当数存在するという事実。

 どうしてこんな事態になっちゃったのか。
 その理由としてよく挙げられるのが、
厚労省のQ&Aにおける記載なんですけどね。
 このQ&Aが何と言ってるかというと、
「会社が必要と認めた者に限る」とか「上司の推薦がある者に限る」、
こういう基準っては基準が無いのに等しいからダメよ、と。
 会社による恣意的な対象者排除が生じるから、と。

 うーん、
この「理由」ってのが、
何で理由になってないのか、
コレ分かりますかね? 
 多分ねぇ、
人事労務にドップリ漬かってない法務心のある人の方が分かると思うだよなぁ。
 もっと言うと、
契約書をイジる機会のある人かな。

 上記Q&Aで言ってるのは、
「会社が認める」とか「上司が推薦する」とか、
要は「俺は思う」ってだけの基準がアウトと言ってるだけ。

 これって、
契約交渉とかでもよくある問題でしょ?
 いや、お前が思ったってしょうがないので、
客観的に事由が存在するとか、別の文言に変えてくれとか、
そんな契約交渉したことない?
 それと同じ発想すりゃいいんですよ。

 別に、
上記Q&Aの回答を前提としたとしても、
「業務上の必要性が認められないことが客観的に明らかであること」とか、
例えばそのような書き方だってあるわけであって、
これが上記Q&Aの回答から直ちに否定されてるわけじゃないでしょう。 
 
 業務上の必要性もないのに再雇用しなきゃならんなんて、
ただでさえ若年者と既得権者としての高年齢者との間での利害対立が背景にあるのに、
そんな◆◆な話があるわきゃないわけでして、
常識的に考えて必要と思われるモノについては、
少し知恵出して文言を考えつつ再雇用基準に入れとかなきゃ。

 ちなみに、
厚労省Q&Aがいう再雇用基準の「具体性・客観性」ってのは、
あくまで「望ましい」という話ですからね。


●で、お次の問題は、
再雇用した高年齢者の更新基準の問題。

 通常、
継続雇用制度の下では、
再雇用基準に該当した高年齢者を再雇用するとしても、
1年程度の期間雇用の形になってる場合が多い。

 そうすると、
次に何が問題となるかというと、
原則65歳に到達するまでの更新基準の問題。

 で、
さっきの再雇用基準について、
厚労省Q&Aの影響で業務上の必要性などを盛り込まなかった反動か、
上記Q&Aが更新基準については明示的に触れていないと読めることを前提に、
更新基準については自由に何でも定められるとか言う人まで出てくる始末。

 でもね、
それって正直バランス悪いと思うんだよねぇ。

 原則65歳までの雇用確保措置の一つとして、
定年の引上げとか定年制の廃止とかと同列に並ぶ形で、
継続雇用制度ってのが位置づけられているのに、
60歳時点でまず問題となる再雇用基準だけ厚労省Q&Aとかに無駄に忠実に従って、
それで最初の1年程度の雇用期間が経過したら後はフリー、と、
その後は再雇用基準ではなく更新基準の問題で恣意的な判断でもOKでしょ!ってのは、
どう考えても不合理じゃないかなぁ、と。

 そもそも、
そういう見解の前提には、
再雇用基準で業務上の必要性が加味できないのはおかしい、と、
そういう判断があるみたいなんだけど、
上記のとおり、その前提自体がおかしいんじゃないの?、と。


●それから最後、
60歳以上の高年齢者に対する事実上の措置の問題。
 
 従業員数がさほど多くない企業で見かけるのが、
就業規則等のルール上においては60歳定年制のまんま、 
だけど高年齢者雇用安定法を遵守する必要性があるので、
事実上60歳以降も従前と同じように漫然と雇用を続ける、と。

 これって、
何が怖いか分かる?

 そのような雇用継続のルールがない以上、
これはいわゆる「労使慣行」の問題になるのね。

 で、
労使慣行の問題ってのは、
たとえ労働者から主張されても、
通常は使用者として余裕で構えてれば良い話。
 んなもん、
法的拘束力があるわけないので、
求められて強制される謂れは無い、と。

 だけどね、
今問題にしてる場面ってのは、
バックに高年齢者雇用安定法という法律が存在するのね。
 で、
使用者がルールも無いのに、
60歳以降も従前と同一条件で雇用継続してたのは、
そのような法律による義務を意識してのこと。
 もっと言うと、
そのような事実上の措置ってのは、
法律で義務づけられた雇用確保措置の一つ、すなわち、
原則65歳までの定年引上げ措置(下手したら定年制廃止措置)に沿ったものとして、
使用者においてこれを継続することに関し、
規範意識があったと認められやすい状況にあるのではないか?、と。

 そうすると、
上記のような措置は、
単なる事実上のモノではなくて、
法的拘束力を有する労使慣行に基づくモノであるとして、
今後も労働者から同様の措置を求められた場合、
たとえそのように定めたルールが無かったとしても、
使用者において同様の措置を採ることを法的に強制される可能性が出てくるかも、と。

 まぁ、
これを杞憂という人もいるでしょうが、
労使慣行が問題となる通常の場面とは少し違う気がしますけどねぇ。


●本日のツボはここまで。

 お役所の言うことをスタート地点にして組み立てていくのではなく、
まずゼロベースで有るべき姿・実務に落とし込める形を想定した上で、
お役所の言うこととどう整合を付ける余地があるのかと知恵を出して考えていく。
 分野を問わず、
こういう発想じゃないと、
どこかで行き詰まっちゃうんじゃないかなぁ、と。

 まぁ、
特に高年齢者の雇用確保の問題ってのは、
国が本来やるべきことを民間に押し付けてる側面もあるので、
より一層慎重に色々吟味していかないとねぇ…(爆)。


(2011年7月25日記)
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