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●株式譲渡契約における「みなし損害条項」についてサラっと一言。


●今年(2011年)は、
震災の影響もあってか、
何故か7月が忙しかった…。

 ということで(?)、
本日は余り時間も無いので、
株式譲渡契約における「みなし損害条項」についてサラッと一言。


●さて、
株式譲渡契約においては、
売主が対象会社に関する表明保証を行う場合がありますよね。

 そのような表明保証が真実・正確でなかった場合が典型的ですが、
対象会社において買主が把握してない損害が生じてました、と。

 その場合、
対象会社の当該損害を理由に、
株主たる買主にどの程度の損害が生じるのか、
これってのはホントに詰めて考えてみると、
よく分からん部分もあるんじゃないかなぁ、と。
 この点で、
売主買主の間で変な言い合いになるのも避けたい。

 そうした時に買主にとって有用なのが、
本日のテーマである「みなし損害条項」なのですよね。

 つまり、
例えば対象会社に関する表明保証が真実・正確でなかった場合において、
対象会社に買主の知らない損害が判明しちゃったような場合、
「対象会社の当該損害×買主の持株比率」、
この算式で求められる金額を買主の損害とみなすことができる、と。


●でね、
買主の立場からすると、
そのような「みなし損害条項」を入れられると安心なのですが、
売主の立場からすると、
仮に当該条項を受けるとしても、
気をつけないといけない点が色々出てくる。

 そのうちの一つが、
そこでいう「買主の持株比率」の内容ね。

 例えば、今回、
売主Aが持株比率にして25%の株式を買主に譲渡するとして、
買主は別の売主Bからも同26%の株式を譲り受けることを想定してる、と。

 この場合、
みなし損害条項にいう「買主の持株比率」ってのは、
特に何も限定付さなければ51%になっちゃうのよね。
 
 でも、
売主Aからしてみれば、
自分が損害賠償すべきは自分が譲渡した25%分だけであって、
残りの26%分については売主Bが負担すべき話で、
買主も売主Bに追及すればいいだけじゃない?、と。

 なので、
そこでいう「買主の持株比率」ってのは、
売主が自ら譲渡する株式数だけをベースとした持株比率を指してね、と、
そういう限定文言を付さないといけないのよね。
 もっと言うと、
「みなし損害条項」じゃなくて、
「損害限定条項」にしないといけないのね。


●それからもう一つ、
よく見落とされてるのが、
子会社・関連会社についての「みなし損害条項」。

 例えば、
子会社等に関する表明保証が真実・正確でなかった場合において、
子会社等に買主の知らない損害が判明しちゃったような場合、
「子会社等の当該損害×買主の持株比率×対象会社の当該子会社等に対する持株比率」、
この算式で求められる金額を買主の損害とみなすことができる、と。

 これってさ、
対象会社についての「みなし損害条項」と同列のように考えて、
特に抵抗なく受けちゃってる売主も多いんだけど、
よくよく考えるとやっぱ受けちゃいけないと思うんだよなぁ。

 だって、
子会社・関連会社ってさ、
理論上は倒産させることも可能じゃん?

 そうすると、
仮に倒産させた場合には、
倒産会社の株主は有限責任が原則なんだから、
子会社・関連会社の損害を一部遮断できる余地があるよね。
 なので、
子会社・関連会社において判明した損害の全額が、
「買主の持株比率×対象会社の当該子会社等に対する持株比率」の割合で、
常に買主に響いてくるわけじゃないと思うんだよね。

 もちろん、
対象会社のレピュテーションの問題もあるから、
常に倒産させられるわけじゃなくて、
対象会社による支援が必要になる場合もあるよね。
 だけど、
特に関連会社にすぎないのであれば、
倒産させることへの抵抗も小さいかもね、と。
 さらに、
海外の子会社・関連会社だったら、
さらに抵抗が小さくなるかもよ、と。

 なので、
やっぱ子会社・関連会社については、
上記みなし条項を単純に受けちゃダメではないかな?

 ちなみに、
対象会社そのものについてだって、
株主は有限責任じゃない?という話もあるけど、
株式譲渡契約に基づく損害賠償責任については、
株式譲渡代金以下の金額を上限としてるのが通常だから、
上記のような問題は特に顕在化しないんじゃないかな。


●本日のツボはここまで。

 契約ってのは、
ある意味、絶対的な正解のない世界だし、
全ての契約が紛争になるわけでもないので、
ある程度オザナリでも許される場合がないわけじゃない。
 ただ、
それに甘えちゃうと歯止めが利かなくなるかも。

 契約交渉の席においても、
「このマークアップが『常識』です!」とか、
そんなことを単に言い張られる場合もあるんだけど、
「何が『常識』か?」なんて人それぞれなんだから、
それじゃぁ有意義な契約交渉はできないのではないかな、と。
 相手方から、
「私には『常識』じゃないので理由説明してよ」と言われた時に、
ちゃんと礼節を保ちつつスラスラと合理的な理由を説明できるかどうか。
 これができないのであれば、
その内容を理解してないということなのかも。


(2011年8月1日記)
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